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2016年12月13日08:10

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原美術館が快楽の館に

戦前の38年竣工の西洋式現代建築の原美術館で、ちょっと意表を衝く展示をやっている。
篠山紀信が33人のモデルの女性を、すべてその現場の原美術館でこの展示のために撮り下ろした「快楽の館」という女性ヌードと現代建築展だ。
これは面白い。

http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum/IoXcFNSpLejTadmKb86i

私は過去、それと似た写真を、二度観たことがある。
2人とも白人の写真家で、被写体も白人女性だ。
ひとりは、ヘルムート・ニュートン。
これはニューヨークに住んでいたとき、ブルックリン美術館で観かけ、次いでアプタウンの古本屋で見つけてゆっくり見た。
ワイマール共和国の首都ベルリン生まれのかれは、ニューヨークの摩天楼や橋梁を背景のヌードが有名だ。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3RSF%E5%86%99%E7%9C%9F%E9%9B%86-%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%83%88-%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3/dp/4573080015

もうひとりは、フランス人女性ベッティナ・ランス。
戦後の56年生まれの彼女は、職業写真家としての最初の被写体がパリのストリッパーであったことで知られる。それや売春婦のシリーズで、77年に創刊され、編集・広告・インタビューまですべてパリの社交界のカリスマのニコル・ヴィス二アックが仕切り、編集部はリッツに置いた伝説的高級誌の『エゴイスト』で抜擢され、名を挙げた。
女性被写体としては、マドンナ、ソフィー・マルソー、シャロン・ストーン、ケイト・モス、シンディ・クロフォードなどで有名。
5年まえに、銀座のシャネルビルの階上で、タイトルは忘れたが、彼女の個人展があった。ベッティナ・ランスの作品にはじめてお目にかかれると、喜んで観にいった。これが、唖然とさせられた。
有名モデルたちの正面からの等身大の全裸ヌードがずらりと並んでいる。正視するのは憚られた。18歳未満禁止でなかったのが不思議だった。まあ、ここにこんなものがあるとは誰も思わないので、そうしなかったのだろう。
ただ、いずれも見事なその肉体のヌードのその彼女たちの全裸の表情が、何ともいえないものだった。
媚態でもなく、優雅でもなく、敢えていえば、私には、「彼女たちのそれまでの生の連続性を断ち切られた表情」に見えた。なぜこのような表情になったのか。ランスは、裸体の脇に石だけを置き、モデルたちに、「石から何かを想像してみて下さい」とだけ指示したのだそうだ。彼女がその言葉で何を喚起させようとしたのか、私には分からない。あるいは私は、彼女たちのヌードを、生の連続性とも室内という環境とも断ち切ろうとしたのかなとも、考える。ランスの女性ヌードの写真は、「彼女たちの死生観」を写しているといわれる。周囲と断ち切られた非連続で投げ出されると、個人の内面がいやおうなしに現われる写真だとは思う。

http://ism.excite.co.jp/art/rid_E1305015908005/

上記の2人の作品を、もちろん篠山はよく知っていよう。
ニュートンの都市の硬質のエロティシズム、ランスの肉体と個人の生の非連続の緊張感。
に対するに、日本人の現代女性のヌードと昭和のモダニズム建築で、篠山は何を語るのか。
品川の御殿山で、観てくる。
1/9まで。



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