子供の頃、『アルプスの少女ハイジ』というアニメを観ていました。
干し草のベット、美味しそうなチーズ、幸福な田舎のイメージでした。
アルプスに1年間も取材し、若き日の宮崎駿が制作に参加していました。
当時の「名作劇場」の中でも特に優れた出来だったと思います。
欧州でも放映されましたが日本が作ったとは信じられなかったとか。
そのくらい精緻にアルプスの雰囲気を再現していました。
今でもCMなどに使用されています。
当時、小学生だった私は、原作小説も読みました。
アニメと原作が一番違った部分は、ペーターです。
原作では、ペーターは勉強が嫌いな男の子でした。
目の見えないおばあさんに本を読む時も適当にはしょります。
アニメでは、そういうおちゃめな部分は描かれませんでした。
あくまで健全で良い子的なハイジのお守役でした。
ペーターがクララの車椅子を壊すエピソードもありません。
ハイジが自分よりクララと仲良くなったことに嫉妬します。
でもアニメでは、クララ自身が車椅子を壊します。
クララ自身が、自分の足は治らないと悲観して。
でも、アニメのペーターは良い子のままです。
良い子すぎて、ペーターという人物像が魅力を失っていました。
今考えるとこの改作は不要だったと思います。
人は間違いを犯す生き物です。
嫉妬の感情は、キチンと描くべきだと思いました。
子供向けには、不要と考えたのでしょうけれど僭越ですね。
子供は、大人が考えている以上に人の喜怒哀楽には敏感です。
これは、気難しいおじいさんがハイジによって生気を取り戻す話です。
しかし、ハイジはフランクフルトに連れて行かれてしまう。
キリスト教的な試練のエピソードなのでしょうね。
また気難しい老人に戻ってしまうおじいさん。
一方ハイジは、都会の環境に馴染めずウツ状態になります。
そして再びアルプスに戻っていきます。
これが大人だと、やっぱり都会がいい、という事になるのでしょうか。
田舎は好きでも、就職先がなくては生きていけない。
原発はあるけど放射能汚染が怖い、とか。
地方再生とか叫ばれますが、貧しさを解消する抜本策はありません。
そして都会への一極集中は、今後も続いていく趨勢です。
本当の「地方の時代」が来るのは何時なのでしょうか。
ログインしてコメントを確認・投稿する