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2016年11月22日01:30

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シモーネ・ヤングをどう聴くか? 11/12

シモーネ・ヤングを聴いてきた。
彼女のブルックナーのCDは感動したが(日記にも書いた)、ブラームスはさほど感銘を受けなかった。
が、しかし、今回の生、僕の中では大感動だった。

オールブラームスのプログラムは以下の通り。

・悲劇的序曲
・運命の歌
・交響曲2番

演奏は、ブラ2が絶品だった。
一生にそう何度も聴けない名演だった、といってもよい。

先ずは「悲劇的序曲」
僕は2分以内に、「勝負あり」と思った。
先ずなんといっても陰りの濃い響きである。
オケの悪さ、ホールの悪さが気になったが、それを差し引いてもいい演奏だった。
基本テンポは速い。
しかし中間部のVcの箇所はゆったりとしていて緩急自在である。

しかしまだオケの響きが浅い。
そしてフェスティバルホールが、オケのミスをストレートに伝える。(シンフォニーであれば!)

しかし2曲目の「運命の歌」(ヘルダーリン)は、オケも熟し、よかった。
曲はワルターのCDでしか知らないが、歌詞は知っている。
ここでのオケの音色は「ブラームスそのもの」といってよい。
完熟した響き。

doch uns ist gegebenの辺り、曲としては分かりやすすぎるかな、と思いつつも、オーケストラの音色だけでものを言っており、すばらしい。
分厚いハーモニー、コーラスを伴った響き。


果たして、休憩後のブラームスは、、、。
僕が実演で聴いた中ではベストのブラ2。
指揮芸術とはかくまですごいのか、と思った。

オケが慣れているせいもあるのだろう、オケへの不備も目につかない、レベル。
Timもうってかわったよう。ホルンも検討している。

ヤングの指揮は、素晴らしい。
先月のインバルのマーラー5番もよかったが、僕に言わせればヤングは玄人をうならせる。
インバルもよかった。
が、「曲」や「大オーケストラの迫力」という側面が大きい。

しかしヤングは芸が細かい。
右手は本当に柔軟で、第二楽章ではゆったりと拍を刻む。

第二でいうと第一楽章、あの永遠のテーマが提示されたところで、「モノが違う」。
基本テンポは速いのだが、物足りなくない。

リピートの部分では微妙にテンポが遅い。
すべて計画的なのだが、もうすべてよい。
ある種、ダメな人はすべてわるい。
よい人はみんなよい。
僕の理想はもっと遅いテンポで、こことあそこでという注文はある。

だけれども一つの芸術としてヤングの2番の第一楽章は完成されている。
「これでオケが主兵ハンブルク、ホールがましだったら」と何度思ったことか。

Flの差し出すところなど、実に巧妙。
バスの動機がクッキリ、ヴィオラの内声部。
頼りなかったTimのトレモロもよい。

僕はこの第一楽章で、名演を確信。
隠し録音して家で聴きたいと思ったくらい。

第二楽章は、比較的遅い。
が、棒もうってかわったよう。
あんなにゆったり拍子をきざむ。

僕は聴いている間、この指揮者はなにがあるんだろう?と思った。
往年の巨匠のような「文学性」「精神性」「神がかり」、「カリスマ」というものはない。
現代人だし、きっちり縦の線は合わせる。
しかし出てきた響きは熟し、ブラームスにぴったり。ドイツ音楽にぴったり。
まだ掴めないが、何かがある。

第一楽章が終わるとき、「終わらないでほしい」と思った。
ブラームスの音楽は「憧れ Sehnsucht」だ。

第二楽章は前述のごとく、ゆったり。
指揮姿も別人のよう。

フィナーレは、申し分がない。
胎のすわったコーダは「久しぶりの巨匠発見!」にうなった。

***

僕は大興奮して、ホールをあとにした。
自分で言葉がうまく出てこない、「往年の巨匠にない何か」を言葉で探していたら、2駅歩いてしまう。
演奏を振り返っている時は、人に会いたくない。

ともあれ、僕はこんなに感動。
僕は前日に聴いた神戸のCafe シューベルトの店主に「素晴らしかった!」とメールを送った。
先月のインバルの感動を共にした人だ。
が、その店主は、「ドイツ音楽にしては甘すぎ」と辛口のコメント。
が、第二楽章の評価は一致。

東京では「アリアドネ」がある模様。
果たして、東京での評価はどうなるのだろう。

というわけで掲題のタイトルとなった。
皆さんの意見があれば、聴かせてほしい。
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