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2016年11月13日09:54

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古稀を祝う旅「祖父のこと、祖母のこと」

私の祖父は一戸町鳥海村出身。
一度、中学生の頃だったかとおもうが、祖父の生家である農家を父と訪れた記憶がある。

あたりは田んぼで、家の後方には小高い丘があったような・・・
昔、豪族が住んでいた「舘」なのだ、と父がいっていた思い出。

祖父の與助さんは、背が高くなかなかの美男子。
生れて数年経ってから出生届を出されたとか。
蔵の中の「どぶろくを飲んでから学校に行ったとかの武勇伝も聞いている。

私の記憶の中では、晩年冬には自分で編んだわらの雪靴を履いていたような思い出。

もしかしたら、幼い頃には私も編んでもらっていたのかも知れません。

慎ましく生き、生業としていたのは

馬車ふき（荷馬車引き・荷物の運搬）の仕事。
Ｓ３６年８０歳で亡くなったあと、祖父が書いた仕事日誌を見せてもらったことがあった。

詳しくは忘れたけれど、貸し借りの運搬賃。また
数字のそばに「○○の処で腹が痛くなって、薬を飲んだ」などの記述もあった。

同じ一戸町、鳥越で生まれた祖母は、どちらかと言えば鼻もどっかりと座った顔立ちで、背は低かった。子供のころ母と一緒に鳥越の母の実家に行くと、多少のお小遣いがもらえたので、父は
子ども心に、それが何よりの楽しみだったそうです。

また、祖母は鳥越観音を信心していたせいか、生涯四足の肉は食せず、魚好き。
我が家にはお手伝いさんもいた時期もありますが、夕方になると、商売で忙しい母は客のころ
あいをみて、おばあさんの魚を買ってくるよう、よく言いつけられたものです。

祖母は、父と、（同じ役所勤めだった）叔父との手助けを得て、７０歳ごろまで野菜の苗を売る仕
事をしていたと思う。

裏の畑には、温床と言って、深く掘った広い箱型畝を作り、そこに堆肥や腐葉土肥料などを入れ、
更に電熱線を引いて地温をあげ、早春の寒気を防御して野菜や花の苗を育成していました。

温かな昼にはいくつものその温床のガラス戸を外し、苗に太陽をたっぷりと当て、やがて、夕方にはまた温床にそのガラス戸をはめる。
時には、その上にムシロをかけてあげ、東北の春の息吹を待つ農作業でした。
また、日中の水かけなど、子供にもそれなりに手伝う家の仕事があった時代の話です。

祖母を想う時、忘れてはならないのが昔話を聞かせて貰ったこと。
「むがす（昔）あったずー（ｱｯﾀﾄｻ）」で始まり、「どっとはれゃ」で終わる、一人語りの物語りです。

夜にはお手伝いさんと一緒によく野良着の裁縫もしていました。

福岡（今の二戸）は九のついた日が「市日の日」
当時は店や流通も限られた時代でしたが、町には子ども達も多く活気づいていました。

市日には細長い国道四号線沿った町中に、衣料品や刃物屋、野菜や花の苗物の店、そして、
雑貨屋さんや食堂も大繁盛で、路上で売られる焼き芋やスルメイカ煮、炭火焼きの焼き魚も人
気でした。

祖母が苗売りの店を出していたのは、愛宕山下にある「南部美人」酒造会社久慈さんの店のす
ぐ目の前、上方よりでした。　　　　　　＜上方（ｶﾐｶﾀ）とは東京の方角の呼び名＞

小学生のころは、学校からの帰り、すぐに祖母の所に寄って遊び、夕方市が終わるとリヤカーに
空になったリンゴ箱や二人で折り畳んだシート等を積んで、のんびりと橋場まで帰りました。

今では、道路が拡幅された久慈酒造さんのあの辺りには愛宕さんからの清水が湧き出で、市民
の心をも潤している風景に変わっています。

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