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2016年10月27日14:29

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華人系は嘘っぱち、ドゥテルテに騙されるな!田中角栄元首相に重なる面が多いフィリピンの新大統領

 下記は、2016.10.27 付の JBpress に寄稿した、 ジャーナリスト 末永 恵 氏の記事です。


   末永 恵 Megumi Suenaga

   米国留学(米政府奨学金取得)後、産経新聞社入社。産経新聞東京本社外信部、経済部記者として経済産業省、外務省、農水省記者クラブ等に所属。 2001年9月11日発生の同時多発テロ直後に開催された中国・上海APEC(アジア太平洋経済協力会議、当時・小泉純一郎首相、米国のブッシュ大統領、 ロシアのプーチン大統領、中国の江沢民国家主席等が出席)首脳会議、閣僚会議等を精力的に取材。

 その後、大阪大学特任准教授を務め、国家プロジェクトのサステイナビリティ研究(東大総長の小宮山宏教授《現・三菱総合研究所理事長・東大総長顧問》をトップとする)に携わり、国際交流基金(Japan Foundation, 外務省所管独立行政法人)の専門家派遣でマラヤ大学(客員教授)で教鞭、研究にも従事。

 「東洋経済(雑誌、オンライン)」「週刊文春」「週刊新潮」「選択」などにも幅広く執筆。政治経済分野以外でも、タイガー・ウッズ、バリー・ボンズ、ピーター・ユベロス米大リーグコミッショナー(米国オリンピック委員会会長、ロサンゼルスオリンピック大会組織委員長歴任)、ダビ・フェレール、錦織圭などスポーツ分野の取材も行う。マレーシア外国特派員記者クラブ所属。

 連絡先はこちら:megu23@gmail.com


                      記

 「暴言」「失言」「放言」――。その毒舌でフィリピンの名を世界的に知らしめた「フィリピンのドナルド・トランプ」こと、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が国賓として日本を初訪問中だ。

 親日家と言われるが、素顔のドゥテルテ氏はあまり知られていない。

 南沙諸島問題を棚上げし、警戒する日本を横目に、中国から巨額の経済援助を引き出し、米国との決別をも表明。今年限りの米比合同軍事演習中止も発表している中、その親中度が高まる一方だが、日本訪問後にはロシア訪問も予定。

 その手法はあたかも、小国ながらも大国を手玉にとり、自国の利益を優位に得るベトナムの外交戦術を手本にしているかのようだ。

 親日家、それとも親中派か。「裸のドゥテルテ」を暴いてみたい。

 庶民派は演技、実はインテリ

 ドゥテルテ氏は、現在71歳。フィリピン航空の客室乗務員だったドイツ系(祖父がドイツ人)のエリザベス・ジムマーマンさん(68歳)と約30年間の結婚生活後、3人の子供に恵まれたが2000年に離婚。

 現在、正妻はいないが、かつてミス・ダバオ医科大学に選ばれ、米国で看護士をしていたハニレット・アヴァンセナさん(46歳)というパートナーと暮らしており、2人の間には12歳の女の子がいる。

 ドゥテルテ氏は庶民派を“演出”しているが、もともと「父が元州知事で弁護士」「母は教師」というインテリ出身。しかし、最近になって、両親からというよりか、「自分の人間的(価値観)形成や政治への考え方は、子供の頃、カトリック教会の司祭に、とてもショッキングな性的虐待を受けたことが大きく影響している」とカミングアウトしている。

 そして、10年ほどダバオ地検検事を歴任した後、父の後を継ぐ形で政界入り。7期当選で22年間、ダバオ市長に君臨。その間、下院議員選挙に立候補し当選、中央政界での経験もある。地方、国政と行ったり来たりする内情はこうだ。

 実はフィリピンでは、「3期9年以上」連続し市長職に就任できないという法律があり、自分の身内に4期目に席を渡す一方、当人は下院議員など他の公職に立候補。3年後に3年腰かけて元職に返り咲く“常套手段”がまかり通っている。

 これこそがフィリピンの「地方独裁腐敗政治の温床」「政治屋一族による私物化」にもなっているが、全く改められる気配はない。ドゥテルテ氏もうまくこの手法を使い、実娘に市長の座を渡すことで、一時期、副市長も務めてきた。

 暴言、放言から海外からは単細胞に見えるが、なかなかのしたたか者である。今回の大統領選でも、エリート層であることをあえて表舞台に出さず、「犯罪者は死ね。皆殺しだ」と暴力的過激発言を繰り返すことで、アキノ政権で不満を爆発させた庶民の支持を吸い上げた。

 一方、貧困層だけでなく、犯罪撲滅で治安回復や海外からの投資を目論む知的ビジネス階級からも、自分の生い立ちやイメージ作りを巧みに演出することで、満遍なく票をかき集め、下馬評を覆し、あっさり大統領に当選した。

 最たるものが、彼のその「生い立ち」作りだ。民主党の蓮舫代表ではないが、この出生秘密は、今回、日本訪問前に初訪問した中国でも最大の武器として大いに“その役目”を発揮した。

 これまで、ドゥテルテ氏は母方の祖父が華人で、本人も「中国人はフィリピン社会に昔から根を張ってきた。私はフィリピン国籍だが、中国の血筋を誇りに思う」と語り、日本でも“親中”である背景とされてきた。

 しかし、フィリピンには華人系政治家が多く、南シナ海領土問題で国際仲裁裁判所に中国を訴えたべ二グノ・アキノ3世前大統領も、実は華人系だ。

 一方、中国ではすでにドゥテルテ氏が、「本当に華人系か」「中国人なら公式な場で中国語を話せ」などネットでバッシングを受けている。果たして本当に華人の血が流れているのか――。答えはどうやら、「NO」のようだ。

 「華人の血が入っている」は真っ赤な嘘

 最近、筆者は彼の息子の親友である人物と接触する機会に恵まれた。

 「あれは嘘だよ。息子が言っている。華人の血は入っていない」。当然、日本で一部報道されているような「中国語が堪能」も嘘っぱちのようだ。ドゥテルテ氏が嘘をついているのは、筆者の知人のフィリピンの有力紙ベテラン記者からも聞いていたので「やはりね」と納得だ。

 そう言えば、大統領選挙中に初めて「華人の血が混ざっている」という情報が流れたが、その出所は当然、ドゥテルテ氏本人。前述の人物が、「おじさんはいつも冗談ばかりで、知らない間に真実のように語られることはこれに限らず多いんだ」とニンマリ笑う。

 フィリピンの華人は、人口約1億人のうちの約120万人と少数派。しかし、戦後、西側とともに反共体制を敷いたフィリピンでは同じく反共だった台湾からの商業移民がフィリピン経済の土台を築き、今でも「コファンコ財閥」などが、国内ビール最大手の「サン・ミゲル」(キリンビールが約50%の株式保有)やフィリピン航空など国内の基幹産業を牛耳っている。

 当然、こうした華人の経済力を味方にしたいドゥテルテ氏の思惑があったが、大統領が華人系とし自ら「嘘」を拡散させた最大の理由は、どうもフィリピンで今、渦中の「麻薬撲滅戦争」と関連するようだ。

 ドゥテルテ氏は7月、マラカニアン宮殿で記者会見を開き、フィリピン国内の違法薬物密売を取り仕切る「麻薬王」3人の名前を公表、いずれも中国系フィリピン人で、実業家でもあるピーター・リムとは面会も行った。

 そこでいきなり「殺してやる」と自ら脅した経緯がある。華人系は経済だけでなく、フィリピンを蝕む麻薬にも深く関係しているからだ。

 ドゥテルテ氏の大学時代の恩師は フィリピン共産党(CPP)の最高指導者ジョマ・シソン氏と言われ、ドゥテルテ氏が危険だが大胆な発想で国を動かし、麻薬犯罪から救い出そうとしているのは確かだ。

 今でも麻薬戦争で逮捕、殺害が繰り返されているのも、麻薬密売人やそのボスの多くが華人系だからだ。ダバオ市長時代から「殺すか、殺されるかだ」と宣戦布告する一方、自身はいつも暗殺される危険に晒されてきた。

 そのため大統領に就任後、「自分には華人系の血が混ざっている」と公言することで、命の安全を確保し、さらには「嘘」でガチガチの中共をさらに「嘘」で騙し打つ・・・。

 暴言、放言の裏で、そんなしたかかな戦略的戦いを展開する本当は頭の切れる人物のようだ。

 日本の政治家ではなかなか太刀打ちできそうにない。そういった意味では、日本の歴代首相の中で絶大な人気だった田中角栄元総理とカリスマ性も含め重なるところが多いようにみえる。

 そう言えば、田中角栄氏、また米国のドナルド・トランプ氏にも強力な秘密兵器の「実娘」がいるが、ドゥテルテ氏の場合は「じゃじゃ馬娘」がいる。

 父親譲りの現ダバオ市長、そのやんちゃぶり

 別れた妻のジムマーマンさんとの子供で、「彼の秘蔵っ子で最も優秀」(ジムマーマンさん)と言うだけあり、ドゥテルテ氏が溺愛している。

 父親と同じ弁護士という経歴を持つ。2010年、前述のように法律で3期以上務められない父親に代わって2010年の改選で最年少、女性初のダバオ市長に就任した。

 選挙戦では、対立候補で前下院議長という政界の大物が立候補したが、絶対君主的な強力な政治権力を持つドゥテルテ氏一族が圧勝、副市長には兄のパオロが当選した。

 何の実績もなかった彼女が当選したのは紛れもなく、ドゥテルテ氏の七光りだ。このサラ市長が一躍、全国区で名を馳せることになったのが、裁判所の執行官に食らわせた「顔面4発パンチ」だった。https://www.youtube.com/watch?v=kqTFB9vC8L0

 ダバオ市内の不法占拠地域の立ち退きを巡り、住民側と立ち退きを執行する裁判所の執行官側とで投石騒ぎが発生。ここにサラ市長が乗り込み、「立ち退きを2時間待ってくれ」と要請したものの聞き入れられなかったことに激怒し、執行官を手招き、呼び込んだところで胸ぐらをヒョイと掴み、顔面に「バン!」「バン!」「バン!」「バン!」4発のパンチを浴びせたのだ。

 この一部始終が全国放送のニュースで何回も流された。批判がある一方、フィリピンでは日常茶飯事のことで擁護する声も多かった。フィリピンらしい。

 日本では考えられないほど「役所イジメは庶民の味方」とする考えが横行するフィリピンでは、停職するわけではなく、一方のサラも全く悪ぶれた様子もなく、父親譲りの強烈パンチでフィリピン全土に名を馳せることとなった。

 ドゥテルテ氏がかつて市長を務めたフィリピン南部のミンダナオ島ダバオ市は、「世界一広い面積」を持つ市として知られ、人口(約150万人)はセブに次ぎ、同島で最大だ。

 極めて親日的で知られる。なぜなら、ダバオの経済発展の裏には20世紀初め、兵庫県から移住してきた太田恭三郎が始めた「マニラ麻」と「ココナッツ農園」があるからだ。

 マニラ麻は船舶用ロープとして重宝された。第1次世界大戦の特需景気で販売が急拡大。ダボスは「マニラ麻の大産地」に急成長し、当時、約3万人の邦人が居住。当時としては、東南アジア有数の日本人の入植地と知られていた。

 今では、日本資本によるバナナ大農園が広がり、フィリピン有数のバナナ名産地となっている。日本に輸出されるバナナのほとんどがダバオ産だ。

 日本人に対する敬意は本物

 日系人会には約6000人の会員が所属。2011年の東日本大震災では早々に、無償での日本からの避難民受け入れを表明。2013年10月には、ドゥテルテ大統領(当時市長)が日本人慰霊碑建立に自費で援助し、建立式典スピーチを買って出た。

 父親から日本人の勤勉さや技術力の高さを聞かされ、ドゥテルテ氏は地元の日本人に対しても敬意と信頼を置いてきたという。

 彼が日本の歴代首相の中でダントツ人気だった田中角栄元首相を見本としているか分からないが、「麻薬や汚職を撲滅できるのは俺だけ。ほかのみんなは、言うだけだった」とかつてフィリピンの大統領が誰もなし得なかった麻薬撲滅戦争に命をかけている姿は、日本の復興・成長を引っ張った角栄氏と重なるところも少なくない。

 例えば、「資源調達を米国から断たれたことが第2次世界大戦の要因」と公言する一方、米国との摩擦を恐れ誰も挑戦しなかった「独自の資源エネルギー獲得」へ動いた角栄氏の鋭い嗅覚と先見性が挙げられる。

 角栄氏は当時、米国が供給体制を寡占していた濃縮ウランと石油獲得に奔走。同盟国・米国との事前調整を行わず、フランスと直接交渉。濃縮ウラン年間輸入契約を締結させた。

 「米国は自国の利益のみ考えている。米国との決裂は問題ない」と中国訪問時に中国側から経済、安全保障などで譲歩を引き出すため、ドゥテルテ氏は得意の「嘘」で固めた演出を行ったが、中国は嘘と分かっていながら微笑み、巨額の経済援助を約束した。

 スペイン、米国の支配を受けたため、フィリピン人は「ラテン的で近寄りやすい一方、自国の要求や権利を過度に要求する米国的価値観を“共有”する」と言われる。手のひらで物事をコロコロ転がすのがお好きな国民性でもある。

 「嘘で固めた親中」だけでなく「嘘で固めた親日」かどうか。経済支援だけちゃっかりもらって、「アッカンべー」とされないように、日本の外交にはフィリピンの新リーダーに警戒心を持ちつつも、柔らかく時に強硬に臨む角栄氏のようなしたたかさが必要だろう。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48227
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