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2016年10月23日10:12

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短くても面白さを感じる役者

 昨日は、シネマヴェーラ渋谷で荒木一郎さんがトークショーをするということで、仕事を休みにしトークショーに行くようにする。
 チケットを取るために、朝の10時くらいにシネマヴェーラ渋谷に来たのだが、すでに受付のある階の下の階までに列ができていた。

 トークショーは夕方からだったので、いったん家に帰る。
 シネマヴェーラの会員証のポイントが溜まっていて一回無料で見られると知り、トークショーの前に上映される二本の映画を観る。
 ピンク映画の監督、小林悟監督の『鏡の中の野心』は予想に反して面白かったが、大島渚監督の『日本春歌考』は退屈極まりなく観ていて拷問であった。

 そして、トークショーとなる、その前に和田嘉訓監督の『脱出』が上映された。
 『脱出』は二度目であるが、『日本春歌考』よりも楽しめた。
 そして、トークショー。
 荒木一郎さんと『脱出』で共演したフラワー・メグさんと共に登場。

 まず、荒木さんは『脱出』を今日初めて観たと言われ、撮影の時の話として和田嘉訓監督とは肌が合わなかったような話をされていた。
 和田監督を含めて東宝という会社自体のカットをポンポンという会社的な撮り方が荒木さんには合わないというのである。そうゆう撮り方では演技ができず、セリフだけ言えばいいと感じだからである。
 その話から荒木さんの演技についての話となり、荒木さんはカメラを意識した演技というのを強く言われていた。それはデビューがスタジオのテレビドラマからの影響であると言われていた。
 そして、『白い指の戯れ』での村川透監督がベットシーンの演出ができなかったので代わりに演出した話をし、スリの設定なので手を器用に動かす意識をしたというのである。
 荒木さんの演技に関する話を聞けたので演技に関わっているものとしてはとてもいい話を聞けた。こんないい演技論を持たれるのだから春日太一氏はインタビューをするべし、と思った。

 話は出演された映画の話となった。
 『現代やくざ 血桜三兄弟』は主役の俳優が作品をわかってなく演じていたので薄くなり、自分の役が膨らんでしまい、撮影したあるシーンが荒木さんの役が主役になってしまうということでカットされというのである。
 しかし、荒木さんはそれを不服と思わず、脇役は脇役に徹すると言われていた。

 『0課の女 赤い手錠』はどうしても頼まれて出演で、台本にセリフもなく芝居も書かれていないその他の役を指名して出演されていた。
 それを考えると荒木さんの役がセリフが少ない理由がうなずけた。でも、それでかえって役を強烈にしてしまっているのだから、荒木さんの存在感の凄さである。
 また、荒木さんは当初は途中で死ぬという話であったが、死なないという変更が続き、結局、最後に出て死ぬということになった。

 30分くらいのトークショーであったが、話の内容が濃かったので、とても楽しめ、荒木一郎という人物の魅力をさらに感じた。
 トークショーの中で、東映の岡田茂元社長が荒木一郎で映画を作れと言われていたが、個人的にはぜひして欲しいと思った。
 それくらい短い時間でも荒木一郎という人に面白さがあったというわけである。

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