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2016年10月19日03:56

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激震!英国EU離脱へ(3)





 英国のEU離脱は、難民危機と密接に連動している。2015年夏以降、シリアなどから100万人を超える難民がヨーロッパに流れ込んだ。




ドイツのメルケル首相は、2015年9月に、ハンガリーなどで足止めを食っていたシリア難民の受け入れを発表した時、事前に英国やフランスの了解を得なかった。このことは、誇り高き両国民のドイツへの反感を強めた。




 英国は、メルケルの難民政策に背を向ける。EUは、去年9月にギリシャとイタリアに到着した難民の内16万人を、加盟国の人口や国内総生産に応じて強制的に割り当てることを決めた。




だが「ドイツの独り歩き」に立腹した英国が2015年に受け入れた亡命申請者の数は、3万8000人にすぎない。これはドイツの11分の1だ。




 英国の右派ポピュリストたちは、有権者に「このままでは将来、EUから難民の受け入れを強制される恐れがある」と訴えた。つまり難民危機という地政学的な大異変が、英国をEU離脱に押しやる追い風となったのだ。




 ちなみに難民受け入れに消極的だったのは、英国だけではない。フランスやスペイン、スロバキアなども協力を拒み、メルケルを孤立に追い込んだ。「欧州の連帯」は、すでに事実上の死語となっていた。

 英国の離脱派が指摘し

た、EUのもう1つの重大な欠陥は、「民主主義の欠如」である。現在EU加盟国で適用されている経済関連の法律の半分近くは、EU指令を国内法として施行したものである。




製品の安全性、食品衛生、環境保護から反カルテル規則に至るまで、市民の生活や企業活動の隅々まで、EUの権力が及んでいる。




 ところが、EU政府・欧州委員会の閣僚にあたる「委員(コミッショナー)」たちは、大きな権力を有しているにもかかわらず、各国での選挙によって任命されない。




つまり、加盟国の有権者たちは、自分たちの生活に大きな影響を及ぼす委員の選定について、全く関与できないのだ。各国の市民たちは、欧州議会選挙に投票権を持つ。だが、大半の有権者にとって欧州議会は縁遠い存在だ。




 近年ヨーロッパでは、「政治統合と経済統合によって、欧州委員会の権力が肥大し、自国の議会の権限が縮小されている」という不満が強まっていた。




英国の離脱派が「我々英国民は、EUの指図を受けなくても、自国のことは自分たちで決められる」としばしば主張するのは、そのためだ。(続く)




(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)筆者ホームページ: http://www.tkumagai.de



















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