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2016年10月09日17:29

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大の虫を生かすのに小の虫も生かせないものか

この週末、僕の住む街にかなり大きな商業施設がオープンした。道は混むし、マンションの住民たちの合言葉も「もう行った?」で通じるらしい。駐車場待ちが1時間だかもっとかかるとか。とりあえず年内はその方面には近づかないようにして、年明けぐらいにゆっくり行ってみようとは思うのだが。

東京五輪もCMしているような大きな不動産会社がヘッドラインに立っての大事業だけに、道路も広げ信号機まで新たに付け、バスの路線まで変更してしまうくらいだから、これから先、駅から人の流れもがらりと変わってしまうのだろう。村上春樹さんの「ダンス・ダンス・ダンス」に出てくるドルフィンホテルみたいなものだ。

しかしそうなると、駅の周辺の商店街はますます寂れていってしまうのだろうな。市内にある他のスーパーや量販店は、どこがあおりを食って潰れるか、戦々恐々といったところだろう。毎年夏が近づくと恒例になっている全国的に有名なお祭りも、今後存続できるのか、無用な心配をしてしまう。

こういう競争っていうのは高度資本主義経済のもとではどこにでもある話なのだろうけど、無力な小市民がそれに巻き込まれてしまった日には災難。僕は以前、学習塾で専任講師をやっていたのだけれど、その当時、小都市のなかでは校舎を二つ、三つと抱え、評判も良くなかなか好調だった。今思うと、バブルの終焉のほんの手前の頃だったんだな。それがバブルが弾け、少子化の波ってのが見る見る押し寄せてきて、今まではそんな小都市には縁のなかった大手の学習塾がどんどん進出してきた。

駅の目の前に自社ビルを建てて、ドーン!と看板を掲げられた日にはああこりゃダメだってはっきり分かったもんな。テキストひとつとってもあちらは小奇麗なカラー印刷の冊子、こっちは切り張りのコピーだし、無料体験に安い金額設定で毎週のように広告を打たれちゃ手の打ちようもなし。完全に負け組に転じたうちの学習塾の人員整理を食らって、僕もあれよあれよと言う間にあえなくリストラされてしまった。

まだ小泉政権が非正規雇用の就業形態に完全に市民権を与えてしまう前で助かった面もあったけど。とりあえず今の会社には正規雇用で入れているわけだから。色々考えると、いい引き時だったんだなとは思うけれど、それも今だから言えること。あの当時は本当にきつかった。

毎日のように大刷りの広告が入ってくる商業施設の影で、もう店をたたむしかないって頭を抱えている店主の人や、これから人員整理にあう人たちが少なからず出るんだろうなと、他人事ながら心配している。そういうのって、自分の身に降りかかるまでは、ほんの昨日までの他人事で、なったらなったで呆然とするしかない種類の、いわば天災みたいなものだからね。まったく、こういう時だけは大樹の陰に寄っていたいものだとつくづく思ってしまう。でも大樹は、自分の身にたかるアリの身の振りかたなんか気にもかけないものだけどな。

今週の映画は「オデッセイ」(監督:リドリー・スコット/出演:マット・デイモン)を観ました。火星にひとり取り残された宇宙飛行士のサバイバルを緻密な科学描写とともに描いた、アンディ・ウィアーのベストセラー小説「火星の人」を映画化。

間違いのないリドニ―・スコット監督が、丁寧に作った感のある映画、決して悪くないのだが、似たようなシチュエーションの「ゼロ・グラビティ」を先に観てしまっているせいで、どうも損をしている気がする。こっちが先だったら文句なかったと思うんだけどね。

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