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2016年09月23日21:48

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北、次は核弾頭付きミサイルを太平洋に発射か 最悪の事態を想定した「防衛力再構」が緊要だ 拓殖大学総長・森本敏

 下記は、2016.9.23 付の【正論】です。

                        記

 北朝鮮の核開発と弾道ミサイル開発が予想以上のペースで進んでいる。核弾頭の小型化はミサイルに搭載可能なレベルに到達している可能性が高い。各種の弾道ミサイルも開発が進み、射程・信頼性・精度とも急速に向上している。

 ≪次は核搭載弾道ミサイル発射か≫

 既に3000キロの射程を持つ弾道ミサイルがロフテッド(高く撃ち上げる方式)で飛翔(ひしょう)し、日本の防空識別圏(ADIZ)、排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。多数が配備されているテポドンは予告なしに発射されるが、この弾頭に核兵器が搭載されることは想定しておく必要がある。

 北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の目的は米国への攻撃力と抑止力を示威することによって、核兵器国として認知され、平和条約を締結し金正恩体制の生き残りを図ることであろう。しかし、米国領土近くに核ミサイルを撃ち込むことにはリスクもあり、米国の同盟国を挑発して能力を示そうとしているのであろう。

 次の段階として核弾頭付きの弾道ミサイルを太平洋に撃ち込むオプションもあり得る。安全保障は核の使用という最悪のケースを想定して対応を考えざるをえず、この脅威は新たな局面に入ったと見るべきであろう。

 北朝鮮を6カ国協議の席につかせて核放棄を促すとか、国連制裁によって北朝鮮の非核化を実現するといった手段は中国が本気にならなければ実現しない。中国は北朝鮮の核開発を歓迎していないと思われるが、北朝鮮に圧力をかけて体制の崩壊を招くことは国益に反すると思っているであろう。

 日本はまず、北朝鮮の弾道ミサイルを確実に排除する手段を優先すべきである。

 例えば、日本に各種の弾道ミサイルが複数同時にいろいろな弾道を描いて向かってくる場合、(1)現在のミサイル防衛システム(イージス艦と地対空誘導弾パトリオット=PAC3)でどれくらい撃墜できるのか(2)イージスシステムの改良とPAC3の能力向上を図った場合にそれがどうなるのか(3)それでも困難な場合にどのような新たなシステムを導入すべきか−などを総合的に判断して計画を策定し実行に移すことが求められる。事態はどんどん悪化する中で、核の脅威に確実に対応する手段を持たずに安全保障は維持できない。

 ≪尖閣での挑発は常に存在する≫

 もう一つの懸念は中国公船による尖閣諸島への接近である。海上保安庁によると、8月にはのべ147隻が接続水域内に入り、28回の領海侵入が行われた。

 7月の仲裁裁判結果を履行すべきだという日本に反発して牽制(けんせい)してきたのか、南シナ海で米国の航行の自由作戦に同調するなという警告なのか、8月以降の20カ国・地域(G20)首脳会議など一連の国際会議での対応に牽制球を投げてきたのか、理由は分からない。

 はっきりしていることは中国が仲裁裁判の裁定を無視して南シナ海の埋め立てや軍事力配備を続行する一方で、行動規範(COC)には前向きな対応を示して東南アジア諸国連合(ASEAN)には融和策をとり、東シナ海ではガス田の協議再開には応じず、一方で、海上連絡メカニズムには柔軟姿勢を示す振りをしていることである。硬軟併せ持つ巧妙なやり方である。

 尖閣諸島には9月以降も公船が接続水域・領海に侵入している。日本は警戒監視を強め、対応能力も向上させ南西諸島への部隊配備に努力している。しかし、日本側が油断し、あるいは、他の領域の問題で気に入らない対応をすると尖閣諸島で挑発行為がおこる可能性は常に存在する。

 公船ではなく海軍艦艇が入ってくると日本側の対応もステージを上げざるを得ず、望ましくない事態が生起するので日本側の挑発は禁物である。


 ≪中期防の検討を前倒しせよ≫

 しかし、領土・領域を守るためには断固とした対応をする必要がある。海空自衛力が近い将来においても優位なバランスを維持できるのか、島嶼(とうしょ)防衛を確実にするための手段を今後どう進めるのか、日米同盟協力をどのように進め、そのための役割分担を行うに十分な防衛体制ができているのか−など検討課題は多い。

 来年初頭には米国新政権が誕生する。日本は米新政権の進めるリバランスを支援し、第3オフセット戦略(技術優位によって量的優位を補完する戦略)への協力をすべきである。普天間基地問題や基地の共同使用も進める必要がある。北朝鮮の核・ミサイル開発や、海洋に進出し続ける中国に対応するため日米同盟の課題は多く、日米ガイドラインや安保法制の履行もある。

 まず、日本としては中期防衛力整備計画の検討を前倒しして、重要課題に取り組むことである。ミサイル防衛や新戦闘機構想、海上・島嶼防衛能力の向上、サイバーや宇宙、装備技術面の開発など、現中期防策定以降に出てきた新たな事態に対応する防衛力を構築する必要に迫られている。今から1年の課題は極めて緊要である。拓殖大学総長・森本敏(もりもと さとし)
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 http://www.sankei.com/column/news/160923/clm1609230006-n1.html


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