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2016年09月19日03:42

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【創作】 オリジナル小説 短編連載 初期作品 妖怪屋敷 

03  騒動、タコもどき

「はっ!!」
気合とともに手を正面にかざす
円形の白い幕が張られる半球よりもへらべったい
向かってきたどうみてもたこの足が
その壁にはじかれる
先にこっちを片付けようとしたのか
生憎様
私は治癒の能力に加え結界の能力を身につけてた
泣いた泣いた母にできて私にできないはずは無いと
とにかく虎象さんにしごかれた
泣いてもわめいても許してくれないスパルタ
おかげで無事にこうして結界まで張れるようになりました

しかしたこの足の連打に結界がつぶれそう
なにより回り込んできそうだったので
円球で包み込むようにするかと思い立ったら
千之助が来てくれた
細身の刀を一振りするや小さな波動が大きくなり
スパーン!
3本の足を見事に切ってしまう
千手観音のお守りが妖怪化したらしいが
さすがに強い
その間に本体が出てきた
たこというよりは
なんと表現したらいいのだろう
枡でかたどった四角のくらげ?

誰かの空想が妖怪を生み出すというのなら
生みの親でてこーい!!
足だけで苦戦していたが
体が出てきたらあっさり片付いた
さすがベテランそろい
今日はうちのベストスリーがでばってる
千之助、火炎姫、守刀 どれも妖怪名
千一郎、萌香、唐次郎 人間名
どっちで覚えようがかまわないと言っていたが
管理人(続けてますよ)の身分としては
両方覚えなくてはややこしい時に
余計ややこしくなる

灰となって消えて行ったたこもどき
名前も付けてもらえないかわいそうなやつ
倒して一軒落着
話は私が結界を張れるようになったんだよという
報告でおわるはずだった

五日後町は騒然とする
どこからやってきたかわからないが
ミニチュアたこもどきが人を襲う
襲うといっても吸盤で青あざができたり
ちいさな口で噛まれて少々出血する程度だが

町中の妖怪総出動である

「なによこれ倒したはずなのに増殖したの?」
「灰になったんだ死んだはず」
「おそらく卵が孵化したのでしょう」
「たまご?」
「なかなか木の影からでてこなかったのは
そのせいだったのですね
うかつでした」

とにかく私も包丁を持ち出し
チビの脳天を突き刺す
これで灰になっていくのだが…
数が多い
目撃者も多い
記憶操作を一人ひとりやっていてはきりがないので
記憶消去結界をはるらしい
とにかく目の前に居るたこもどきを刺して
目の前のキャスターらしき人を千之助が気絶させる
中の車も入っていき虎象さんが記憶を消していく
車は夢遊病のようにテレビ局に戻って行った

敵が少なくなる事にでっかい封じ結界を
小さくしていき密になったらまた倒す
繰り返しおそらくいなくなったろうと結界をはずす
結界からもれてないかと半数の妖怪たちは
結界外を見回りしていたが今のところは見つからない

「美穂、ワシが張った結界より人周り大きく結界はれるかね?」
「えええええーっっっ。無理ですよ。そんなでかいの」
「駄目でもやってもらわんとならん」
「はう?」
「治癒結界が必要なんじゃよ」
「治癒…かざしたことない」
「原理はおなじだで」
「美穂ちゃんがんばってやってみよう?ね?」

手を天上に向ける治癒を始める
気が手に集中していく熱くなって来る
ボーっと光のわだかまりができる
これを延べ棒みたいなので薄くしてやればいいのか?
ともかく集中はとかずにそのまま薄くなって膨らんで…
あ、できそうだ
力の集中を町の中心にあわせて高く高くもっていく
どんどん高くそうすると自然と端は落ちてくる
地面に落ちるとぱーん私の意志を離れて
すんごい大きな結界ができた

私のアパートからは虎象さんと千之助
強いし記憶操作もできるんだすごいな
他はもう初対面の人わらわら
自己紹介するわけでもなしで
とにかくそれぞれが力をこめていく
私の治癒の時と同じ
最初は手の中でおぼろげに発動し
それをそれぞれ天に差し伸べる
一杯の小さな光が昇って行き
一つになって点を目指す
そして結界に触れたとき
パーン!
その音とともに金色の雨が降ってくる
子供の頃花火大会で花火を振り回したのを思い出した


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