佐藤芳直「船井幸雄がこの世に遺してくれた魔法の言葉」より。
「成果なくして成長なし」
これは、人材育成の現場で感じることです。
「部下を成功に導いてこその上司じゃないか?」
部下や後輩の失敗を責める上司に対し、時に船井先生はそうたしなめていました。
いまでも心に残っているシーンがあります。
それは、まったくの初歩的ミスから、船井先生の古い顧問先からクレームがきたときのことでした。先輩社員がうつむきながら社長室へと入って頭を下げると、すぐに明るい先生の声が響きました。
「気にしなくていいよ。先方にはよく言っておいたからな」
そして、こう付け加えたのです。
「申し訳なかったね。もっときちんと説明すべきだった。どうも最近いい加減で迷惑をかけているね」
なるほど、リーダとはこんな人をいうのかと、目頭が熱くなりました。部下を成功させてこその上司。船井先生が率先してそのありようを見せてくれていました。
部下を成功に導く上司としての心構えを、先生は簡潔にこう教えてくれました。
「24時間仕事漬けにするくらいに仕事を詰め込むことだな!」。
働きグセ、学びグセをつけるコツは、まさにその一点に絞り込まれるのです。
冬の研修の席で若手女性社員がこんな質問をしました。
「会長のような人間性に近づくには、どうすればいいのでしょう?」
「まず、人間性を高めることが人間の使命だと思いなさい。そのためには労を惜しまないことです。周囲の人々に誠意を示しつづけようと覚悟を決めたらいいのです。
これを実現する方法は、日常にたくさんあります。たとえば、とにかく手紙を書いてごらんなさい。相手を喜ばせよう! そう思って書くことだよ」。
さらに先生は、次のように続けました。
「相手に喜んでもらおうと思って書くと、小さなことに気づくようになる。それが思いやりにもつながっていくんだよ」。
人間性を高める――そんな大きなテーマに対して、すぐに取り組める日常の行動を示す。そこに船井先生の真剣さを感じたものでした。
分け隔てすることなく目の前の人の未来のために全力で応える先生の姿に、“労を惜しまない”姿勢が表れていると思います。
何か問題が発生した場合、経営コンサルタントは多くを仕組み=システムの課題ととらえがちです。しかし、さまざまなケースを見て教えられるのは、“仕組みではなく、モラルにこそ課題がある”ということです。
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