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2016年08月28日21:30

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「プリウスPHV」最新進化は一体何がスゴいか トヨタの次世代を担うエコカーを早速解剖

 下記は、2016.8.28 付の 東洋経済オンライン に寄稿した、 川端 由美 氏の記事です。
私は車については、殆ど知識が無いのですが、この記事には大変興味を引かれました。

                      記

太陽光発電でクルマを走らせる!?

 「へええー、だいぶ変わったね」

 久々に会った元カレ…ではなく、この冬にトヨタ自動車が発売を予定している新型「プリウスPHV」を一目見たときの感想である。エンジンとモーターを併用するハイブリッド車(HV)のドル箱「プリウス」をベースに、HVとしても充電したモーターだけで走る電気自動車(EV)としても使える、PHV(プラグインハイブリッド車)の最新モデルだ。

 ベースのプリウスとしては新型から数えて4代目が昨年デビューし、当然、プリウスPHVも新型に切り替わると目されていた。ただ、正直なところ、3代目プリウスでは、HVとPHVの間に、見た目でも性能面でも大きな差がなかったため、PHVの存在感が薄かった。

 その反省もあってか、今年3月のニューヨーク・ショーでデビューした新型プリウスPHVは、HVとは明らかに違う個性を与えられていた。外観は、どちらかといえば、燃料電池車の「ミライ(MIRAI)」と似た未来的な顔立ちを採用しており、リアビューもHVとは違う独特の曲線を持つダブルバブルウインドーを採用している。

 前後のオーバーハングを伸ばして、のびやかなスタイリングとすることにより、ノッチバック・スタイルながら、ワンランク上のセダンのような印象を与える。ボディサイズは、全長4645☓全幅1760☓全高1470mmとなり、プリウスと比べると、前後のオーバーハング分の105mm長い。

 違うのは外見だけではない。搭載されるバッテリーも、エネルギーをぎゅっと詰め込めるリチウムイオン電池として、従来の約2倍の総エネルギー量とした。これにより、EV走行できる距離は、旧型プリウスPHVの26.4kmから、新型プリウスPHVは60km以上に達し、1日の移動のほとんどをEV走行でまかなえるようになった。自家用車を保有する80%の人が1日に60km以下しかクルマを走らせていないという国土交通省のデータもあり、多くのユーザーに対応できる。

 また、従来は家庭用電源での充電のみで、急速充電には対応していなかったが、新型プリウスPHVでは、急速充電にも対応する。さらに、ソーラーパネルによる太陽光発電も、オプションで設定している。

 ちょっと詳しい人なら「そんなの旧型プリウスのオプションにもあったよ!」と指摘するかもしれない。

 (3代目プリウスは世界初のアイテムとして、量産車では初のソーラー充電システムを採用した。停車中は駆動用バッテリーに充電し、走行中は12V補機バッテリーに供給する。最大6.1km、平均2.9kmの充電がソーラーで可能)

 だが、あのときは、発電量がわずかで換気などに使える程度だったが、今回は最大180Wも発電する上に、効率の高い充電システムを採用することにより、駆動用バッテリーにも充電できるようになったのだ。

 さすがに太陽さえ照っていれば、無給油でOKとはいかないが、例えば、平日はクルマに乗らないサンデードライバーであれば、週末に近所にショッピングに行くくらいは太陽光発電でまかなえる可能性もある。

 パワートレインも、HVとPHVでは大きな違いがある。ベース車のハイブリッド機構では回生と駆動にそれぞれ別の電気モーターを使っているが、PHVでは駆動用モーターはもちろん、必要に応じて、回生用モーターもクルマを走らせるために使える。簡単に言ってしまえば、折角、EV走行できる距離が伸びたのだから、もっとパワフルに走らせたいときには、エンジンをかけるのではなく、もう一個の電気モーターにアシストしてもらって、EV走行でもっとパワフルに走ろう、という考え方だ。

11.6インチの大型モニターを搭載

 技術的に見れば、プリウスPHVには、トヨタの次世代を担う2つのクルマの要素が引用されている。ご察しの通り、大型グリルとLEDの3連ヘッドランプで形成されるフロントビューは、プリウスPHVと同時期に開発を進めていた「ミライ」からの引用だ。

 また、ユニークなリアビューを形成する要素となるカーボン複合材のリアハッチゲートは、「LF-A」に採用したCFRPの要素技術を活かして制作したものだ。これにより、HV車比で40%もの軽量化に成功した。EVやPHVでは、軽量化はそのまま巡航距離の延長につながるので、今後、ますます重要になる技術だ。

 室内に乗り込むと、11.6インチの大型モニターが目を引く。大きさそのものは、テスラ「モデルS」に搭載されている17インチのそれにはかなわないが、プリウスPHVの室内空間では、この大きさでもかなりの存在感がある。シート地も凝った素材が使われており、リアハッチゲートをあけると、カーボン複合材にまでシボが入っているという念の入れようだ。

 なによりも、シガーソケットの隣にUSB充電口が標準で備わったのが朗報だ。もちろん、ベースのプリウスでもワイヤレス給電のオプションは設定されていたし、オーディオを装着すればUSB電源が備わっていたが、それらのオプション設定を選ばなければ、USBの充電口が備わっていなかった。スマホをカーナビ代わりに使う人も少なくない今の時代、クルマでスマホを充電するのは必須だろう。
 
 もうひとつ、室内におけるHVとの違いが乗員数だ。HVが前2人+後3人の計5人乗りなのに対して、PHVでは後席2名乗車の計4人乗りとなっている。後席が2人乗りとなった最大の要因は、走行距離を駆動用バッテリーの増強だ。

 8.8kWhまで増強したため、荷室下に最適配置をしたものの、荷室フロアを77mm上げざるを得なくなり、後席が2人乗りになった。ただし、トヨタでは後席3人がけのベース車の後席より、左右独立の後席2人乗りのプリウスPHVのほうが、より高級感の演出につながるとしている。実際、座ってみると、5人乗れる方が便利だなあ、と思う反面、4人乗りのほうがゆったりと座れる。

その乗り味をサーキットで試してみた

 じっくり観察したあと、ようやくDレンジに入れて走りだす。プリプロダクション・モデルゆえに、千葉県の「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」なるサーキットでの試乗となった。

 とはいえ、かっ飛ばして云々するクルマでもないと思ったので、Dレンジに入れて、EVモードを選んで、ノーマルの走行モードのままで第一コーナーに侵入してみた。コーナーの出口でアクセルペダルを踏み込んだとたん、加速の立ち上がりの鋭さにはっとさせられた。HVのプリウスと比べて、圧倒的に加速がいいのだ。

 これが、デュアル・モーター・ドライブ・システムの効果か、とあらためて感心した。いくら前後の重量配分がHVより良くなっているとはいえ、それは重たいバッテリーをリアに搭載したからであって、HVモデル比で約150kgも重量が増しており、それが走りに与える影響は大きいだろうとタカをくくっていた。

 しかし実際には、なかなかスポーティな走りっぷりを披露したのだ。ワンウェイクラッチを組み込むことで、通常は発電機として使っている2つめのモーターをロックして、駆動用モーターの出力に、発電用モーターの出力をアドオンできるのだ。

 こうなってくると、俄然、走りに興味が湧いてきた。シフトヘッドの横に並ぶボタンのうち、「ドライブ・モード」では、ノーマル、パワー、エコドライブの3つのモードから好みの走りを選べる。その隣は、EV/HVの切り替えボタンだ。

 EV/HVを切り替えると、HVモードでは80km/h程度までしかEV走行ができないが、EVモードでは135kmまで電気モーターだけで走ることができる。袖ヶ浦フォレストレースウェイの限られた直線距離では、110km/hまで達するのが精一杯だったが、日本の交通事情を考えると、それでも充分だ。HVモードを選ぶと、エンジンが頻繁にかかり、積極的に充電する。

 EVモードに固定して、ドライブ・モードをノーマル、パワー、エコドライブを乗り比べてみる。パワー・モードでは、2基の電気モーターがデリバリーする出力をフル活用して、圧倒的な加速を見せる。特に、前のクルマを追い越そうと、アクセルペダルを踏みますようなシーンでは、デュアルモータードライブシステムが効果を発揮して、電気モーター駆動ならではの鋭い加速に磨きをかける。

エコ・ドライブモードはどうか?

 それとは反対に、エコドライブ・モードでは、アクセルペダルを踏み込んでも、手応えが乏しい。実のところ、もっとも扱いやすく、走って楽しめたのが、EV走行+ノーマル・モードを選んだときだ。パワー・モードを選んだときほど圧倒的な加速感はないものの、加速したいと思った分だけ、素直にトルクがデリバリーされて、リニアに加速する印象だ。プラットフォームに「プリウス」と共通のTNGAを採用したことで、カーブを曲がるときの姿勢が安定していることも功を奏して、しっとりと大人っぽい走りになっている。

 特に、袖ヶ浦フォレストレースウェイの最終コーナーを抜けて、ストレートに向かって加速するとき、前輪駆動ながら、後ろ足でもしっかりと路面を捉えてくれる印象だ。安定して走ってくれるので、ついつい高めの速度でコーナーに侵入してしまいがちだが、過信してタイトなカーブに突っ込んでいくと、いきなり重量増加の影響が現れるので、雨などで路面が滑りやすいときの飛ばし過ぎには注意したい。

 チーフエンジニアの豊島浩二さんは言う。

「『プリウス』が普及した結果、お客様にとって、ハイブリッドは普通のクルマになりました。環境のトヨタとして、次世代車を提案するにあたっては、環境性能をもうワンランク高めた『プリウスPHV』を世に問うことが欠かせないと考えています。

 燃料電池車の『ミライ』とハイブリッド車の普及を担ってきた『プリウス』の間に位置づけられる『プリウスPHV』が登場することで、トヨタのエコカー三兄弟が出そろうことになります。
 
 一方で、先代の『プリウスPHV』はHVモデルとの差別化が明確ではなかったため、販売台数が伸び悩みました。今回、新型『プリウスPHV』を世に送り出すにあたっては、先代の2倍の距離のEV走行ができる環境性能はもちろんですが、ひと目でPHVとわかるスタイリングに加えて、走行性能の増強にも力を注ぎました」

 新型プリウスPHVはハイブリッドとしての燃費は37km/Lと、ほぼベースのプリウスと同等でありながら、電池を100kgも多く積んで、EV走行できる距離を60kmまで延長した。

 発売前なので、EV走行を含めた燃費測定値も未発表だが、少なくともハイブリッドの「プリウス」を越える環境性能は約束されている。そのためにはパワートレインだけではなく、ガスインジェクション付きヒートポンプをエアコンに採用したり、冬でもバッテリー性能を引き出すために昇温システムを搭載したり、と細部に至るまで効率を高めている。

そろそろエコカーでも個性を発揮する時代だ

 加えて、プリプロダクション・モデルを試乗した印象から、デュアルモータードライブシステムの導入とベース車でトヨタが初採用したグローバル・プラットホーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の低重心設計により、カーブが続くような道でも、高速で加速するようなシーンでも、自分で操れる楽しさを持つクルマになっている。

 コストを抑えるためにプリウスとの共通化を徹底的に行ったというが、トヨタ初のアダプティブハイビームシステムを採用したLEDランプやカーボン複合材まで活用して、スタイリングの印象を変化させて、HVと別のモデルとしてのPHVの存在感も増している。

 デザインにしても、走りっぷりにしても、個性的ではあるため、好き嫌いもあるだろう。だが、エコカーといえば、多少の我慢を強いる上に、走りもイマイチというイメージから脱却して、そろそろ、エコカーでも個性を主張する時代になったのは間違いない。新型プリウスPHVは、そう実感させるだけの個性を放っている。

 http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%ef%bd%a2%e3%83%97%e3%83%aa%e3%82%a6%e3%82%b9phv%ef%bd%a3%e6%9c%80%e6%96%b0%e9%80%b2%e5%8c%96%e3%81%af%e4%b8%80%e4%bd%93%e4%bd%95%e3%81%8c%e3%82%b9%e3%82%b4%e3%81%84%e3%81%8b-%e3%83%88%e3%83%a8%e3%82%bf%e3%81%ae%e6%ac%a1%e4%b8%96%e4%bb%a3%e3%82%92%e6%8b%85%e3%81%86%e3%82%a8%e3%82%b3%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%82%92%e6%97%a9%e9%80%9f%e8%a7%a3%e5%89%96/ar-AAi9XFb?ocid=LENDHP#page=2
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