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2016年08月21日18:03

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国防軍 「洗脳」された世論を正常化できるか 井上和彦氏

 下記は、2016.8.21 付の 【iRONNA発】 に寄稿した、井上和彦 氏の論考です。

                       記

 自民党の憲法改正草案は9条2項を改め、「国防軍」の創設を明記する。先の参院選では、憲政史上初めて改憲勢力が衆参3分の2を超え、憲法改正はいよいよ政治スケジュールに上ろうとしている。安倍晋三首相は護憲派勢力の反発を恐れず、「本丸」である9条改正について自らの憲法観を語れるか。(iRONNA)

 ようやく憲法改正に「王手」がかかった。本命は憲法9条となることは衆目の一致するところであろう。だが、ここまできて、急(せ)いては事を仕損じる。ここは安倍総理も慎重に事を進めねばならない。

 今後、安倍政権が何よりも優先して着手すべきは、広報戦略に重点を置き、これまで偏ったマスコミと護憲勢力による極めて悪質なデマと妄想によって洗脳された世論を正常化させる必要があろう。

 「自衛隊が軍隊になると戦争になる」「憲法9条があるから平和が保たれてきた」など、全くお門違いのウソを信じ込まされている多くの国民に、しっかりと真実を伝え、洗脳を解き、迷信を払拭することに着手してゆく必要があろう。国防軍の創設はここから始まる。

言葉狩り

 そもそも「自衛隊」なら許されるが、「軍隊」なら許されない−。こんなへ理屈などバカバカしいにもほどがある。こうした「言葉狩り」は他にもある。「戦争」は「有事」と言い換え、憲法の条文通り、日本社会から言葉の上でも戦争を放棄しているのだから、開いた口が塞がらない。

 言葉の上で違いを見せても、自衛隊の実態は法体制や処遇などを除けば、外見上はどう見ても軍隊にしか見えない。そんな組織を、それでも軍隊ではないというのはあまりにも滑稽だろう。いずれにせよ、戦後の日本が「軍隊」という言葉を使わず、あくまでも「自衛隊」の呼称に固執する。

 おかしな話だが、実は自衛隊という呼称自体が「かつて日本は、軍隊を保有して他国を侵略しましたが、自衛隊は軍隊でないから決して侵略はいたしません」という国家の意思表示としか思えない。誤解を恐れずに言えば、自衛隊という名称には「かつて日本は侵略しました」という自虐的歴史観が込められているのだ。

 だが、仮に日本が過去に「侵略戦争」をしたとしても、そうした国は軍隊を持って国を守ることが許されないのだろうか。決してそんなことはない。過去の歴史が自国を守る権利と軍隊の保有さえ認めないというのは、どう考えてもおかしい。

 世界最高水準の24万人の兵員と、世界に冠たるハイテク兵器を保有する組織の名称が「自衛隊」なら文句はないが、「軍隊」なら許さない、などというバカげた理屈がどこにあろう。

 もっと言えば、日本があのような実力組織を保有していながら、「これは軍隊ではない」という詭弁(きべん)を続ければ、むしろ探られなくてもよい腹を探られることになり、他国に不信感を抱かせることになるだろう。

ヒステリックな妄想

 日本は国際社会の一員として、国際社会の平和と安定に寄与する責務がある。にもかかわらず、憲法の制約でその責務が果たせないのなら憲法を変えるべきなのだ。「憲法を守って国は守れず、世界の平和構築にも関与せず」というのは本末転倒ではないか。

 筆者の周りの自衛官の中で、自衛隊という組織が軍隊になったら他国と戦争を始めようとするような輩(やから)は一人としておらず、自衛隊が軍隊になれば戦争が起きるなどという反対意見は、あまりにも現実を理解していないヒステリックな妄想でしかない。そんなことは絶対にあり得ない。

 昨今の日本を取り巻く安全保障環境の劇的な変化に対応し、国民の生命と国土を守るためにこそ、その行動に理不尽な法的制限の課せられた自衛隊を、いかなる脅威にも柔軟に対応し得る世界標準の「軍隊」に改編すべきなのである。

 繰り返すが、安倍首相がこうしたことを国民に分かりやすく根気強く訴えてゆくことが国防軍創設の第一歩となろう。

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 【プロフィル】井上和彦

 いのうえ・かずひこ ジャーナリスト。昭和38年、滋賀県生まれ。法政大卒。軍事・安全保障・外交問題などをテーマに、テレビ番組のキャスターやコメンテーターを務める。国家基本問題研究所企画委員、航空自衛隊幹部学校講師。著書に『日本が戦ってくれて感謝しています』(産経新聞出版)など多数。

 http://www.sankei.com/premium/news/160821/prm1608210008-n1.html
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