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2016年08月10日00:17

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中間としての面白さ

 今日、三崎亜記.著の小説『決起! コロヨシ!!2』を読み終える。

『決起! コロヨシ!!2』三崎亜記.著 角川文庫
 掃除を舞踏の舞とし、それに青春をかける高校生の青春を描いたシリーズの第二作である。

 一作目で掃除の全国大会三位になった主人公、樹。
 それだけに、成長をしているため、作者の三崎は主人公に多くの困難を与えていた。
 まず、精神的に頼りとしていた後輩と掃除部の顧問を彼の前から消している。
 そして、作品の世界では危険視扱いされている「掃除」をしているために周りから迫害を受けたりしている。
 また、異国地に行き、今までの自分の生き方、さらに存在さえも踏みにじられて、一人で戦っていかなければならない状況。

 読んでいる方もこんな状況に生きる苦しさを感じずにはいられなかった。
 でも、それを乗り越え、更なる成長を樹がした時に大きな感動を得ることができる。
 三崎氏のエンターティナーの上手さの勝利である。

 『コロヨシ』シリーズは後一作あり、次で完結であろう。
 そして、この作品にはまだまだ謎が多くある。
 まず、「掃除」という舞踏が国家になぜとても強く危険視されるのか。
 そして、樹のまわりにいて彼の前から姿を隠し続けるのか。
 危険視されていた「掃除」が国技となり、樹との関わりがどうなるのか。
 樹は、掃除の全国大会で更なる上位を得られるのか。

 本作はそれらの謎に期待を持たせる作りとなっていて、次の作品へのつなぎとしては上手く書かれている。
 とても中間的位置としてはいい出来の作品である。

 三崎亜記。もっと評価されるべき作家である。

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