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2016年07月24日14:48

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「天皇と安倍が対立」韓国メディアの“ジコチュウ”報道

 下記は、2016.7.24 付の【黒田勝弘のから(韓)くに便り】です。

                      記

 最近、天皇陛下が退位の意向を示されたというニュースは韓国でも関心を持たれている。一般の人がとくに関心を示しているわけではないが、メディア次元ではそれなりに注目された。新聞によっては「退位後の韓国訪問の可能性」を論じていたところもあった。

 ちなみに天皇陛下の韓国訪問はまだ一回も実現していない。皇室外交でいわば唯一の空白になっている。歴史のしがらみから韓国側に受け入れの雰囲気ができていないからだ。

 しかし戦前の支配・被支配の歴史とは関係のない陛下は、韓国では好感を持たれている。その理由の一つが日韓共同開催になった2002年のサッカー・ワールドカップ大会を前に、前年12月の誕生日会見で語られた「ゆかり」発言である。

 「日本と韓国との人々の間には、古くから深い交流があったことは、日本書紀などに詳しく記されています。(中略)私自身としては、桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると、続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」

 古代・朝鮮半島の王国の一つだった百済の武寧王(在位501〜523年)は父・東成王が日本(倭)からやってきた日本人と伝えられ、韓国・公州で発掘された武寧王陵の木棺の材質も日本原産の「コウヤマキ」だったことが明らかになっている。

 古代の百済と日本の「ゆかり」を物語るものだが、桓武天皇(在位781〜806年)は武寧王時代から300年近く後の人である。それでも陛下の発言に韓国マスコミは当時、「日本の皇室のルーツは韓国!」などと拡大解釈して興奮し、大喜びした。

 韓国での陛下への好感の理由にはもう一つ、近年の韓国マスコミの異様な“安倍たたき”が関係している。

 韓国マスコミは安倍晋三政権下の憲法改正論や安保法制を非難、罵倒し続けている。この安倍政治に、陛下が終戦の日など各種行事で語られる先の戦争への思いや平和への願いを意図的に対置させ、ことあるごとに「天皇と安倍の対立」を強調しているのだ。

 日本の戦後の天皇の存在と役割を勘違いした、いつもの我田引水、ジコチュウ(自己中心主義)的報道である。陛下が先の戦争や韓国支配など“不幸な歴史”に心を痛めておられることは間違いないが、だからといって安倍政権批判という政治的利用(!)に使われるのは迷惑というものだろう。

 ところで日本とゆかりの百済は660年、唐(中国)と手を組んだ新羅によって滅ぼされた。日本に亡命していた百済勢力の要請を受けた日本は、百済復興のため4万人もの支援軍を旧百済の地に派遣する。これが唐・新羅VS日本・百済による「白村江の戦い」(663年)である。

 「日本史上、国家の規模においておこなう最初の外征」(司馬遼太郎『街道をゆく2 韓のくに紀行』)だったが日本・百済連合軍は大敗する。日本は朝鮮半島の隣から永遠に引っ越せない。それにかなり「ゆかり」もある。しかし頼まれたからといって深入りしてはいけない。「海峡を越えるときは用心しろ」が歴史の教訓である。(ソウル駐在客員論説委員)

 http://www.sankei.com/world/news/160724/wor1607240013-n1.html
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