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2016年07月17日10:04

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中村天風「ロックフェラーの時計」



以下、中村天風「運命を拓く」より。

私は、三世ロックフェラーと、飯を食いながら聞いた言葉が、忘れられない。
「私はね、ただ、世の中の人が、私の事業を通じて幸福になってくれれば、それでいいのです」といった。

なんで、そういう答えをしたかというと、
「あなたは、お屋敷はどこにあるのですか」と尋ねたら、
「私は、屋敷を持ちません。ニューヨークに大きなマンションを建てました、その一隅を私の部屋として三室使っています」と答えた。
「そんな、狭いところでいいんですか」
「だって私は、手伝いの秘書と、メイドと四人きりですから」。

これが、アメリカ随一の金持ちだ。日本の富の30倍の富を持っている人がだ、自分の会社を、560余り持っている人。そして、自動車の会社を、アメリカにも、ヨーロッパにも、10いくつ持っていて、自分の自家用車を一台も持っていない。

「自家用車なんか持つ必要ありません。往来に出て手を挙げれば、タクシーが来ます」
といった。

「これが私の時計です」
と言って見せてくれたのは、お祖父さんが昔15円で買ったという、その当時とび切り上等の、日本の精工舎の時計で、ニッケルがもう剥げかかった時計であった。
「この時計ちっとも狂いません。時計は、狂わなければそれでいいんです」。

だからあの人は、自分の仕事に、何も、とらわれていない。ただ自分の仕事を通じて、世界の人が幸福になればいいんだ、という一念だけだ。



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