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2016年07月14日23:28

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映画 ”シング・ストリート”  ”ブレイク・ビーターズ”

1985年、イギリス・アイルランドでバンドと恋に目覚めた高校生、
かたや社会主義体制下の東ドイツでブレイクダンスに夢中になった若者、
そんな同じ時代の青春映画を渋谷ではしご鑑賞。


”シングストリート〜未来へのうた” ジョン・カーニー監督

”ONCEダ〜ブリンの街角で” ”はじまりのうた”(15/2/26日記)が
共に素晴らしかったジョン・カーニー監督、
彼が満を持して作った自伝的青春バンドやろうぜ物語!
これを見ずにはいられよか。

1985年、アイルランド・ダブリン、親の失業のせいで荒れた公立高校に転校したコナー、
両親は離婚寸前、学校では苛められる日々の中、唯一の楽しみは音楽狂いの兄と見る
MV紹介番組だった。ある日、年上のラフィナに一目惚れしたコナーは
自分のバンドのMVに出ない?と声をかける。
そこから、彼のバンドメンバー集め、練習、曲作り、
そしてMV作りにかける青春の日々が始まった。

いや〜、監督、今作もはずしません。
物語的には大体想像がつく王道の展開なれど、全2作同様、曲が出来ていく過程、
バンドのアンサンブルが出来上がってくる過程(メンバー集めから始まって)が
丁寧に描かれているので、バンドをやっていて、同じく曲を作る人間としては
わかるわかるといちいち叫びたくなります。

さらには、彼らが影響を受けるMVの曲、デュランデュラン、クラッシュ、キュアー、
ホール&オーツ、A-ha、ジャム、スパンダーバレエ、ジョー・ジャクソンなどの
まさに80’s王道ロックが懐かしくて、懐かしくて、
一気に大学時代にバンド活動に夢中だった自分が蘇ってきました。
昔の曲だけでなくコナーとその相棒のギター(いいキャラでした)が作る、
家庭や学校での悩み、彼女への思いを綴った歌がこれまたええ感じでグッときます。

コナーの良き理解者である兄はいいます、
”他人の曲で口説くな”
(さらにいうと”自分の言葉で歌え”って私は思うのですが)
この”スクール・オブ・ロック”のジャック・ブラック的な兄との関係が
すごくこの映画のアクセントになってます。
大学でドロップアウトしてしまった、その兄の再生を予感させる終わり方もよかったし。

曲やバンド作りの過程に加えてMVを撮る過程が描かれているのも
この映画の見どころの一つですが、
これがまた当時のMVにありがちの岡崎体育的なMVあるあるな映像なのが笑えます。
影響される曲ごとに曲調や髪型や服装が変わるのも愉快。

ツッコミどころでいうと
兄は”フィルコリンズを聞く男はダメだ”といいますが、
映画で兄弟がかっこいいという曲”RIO”のころのデュランデュランは
すでに金満バンドになっていたので、どっちもどっちかなと思ったり。
しかもジャムやキュアーを好む人間が
音楽性の違うデュランデュランやスパンダーバレエを褒めるとは
当時をロック分布図を実体験している人間としてはちょっと違和感あり。

主人公はオーディションで選ればれたそうで、
初々しくもなかなかな演技、そして歌もうまい。
(この映画を見た同じダブリン出身のU2・ボノは”当時の我々より上手い”といったとか)
ヒロイン役は実に80s的な美女でした。

最後は音楽映画なのに嵐の海を越えていく場面で終わります。
そう、彼らは自分を表現する自信を持って、
人生の大海原へ(ロンドン)と向かっていくわけです。
ずぶ濡れになりながら前を見据えるコナーの不安と自信の入り混じった目が素敵でした。
あんな目に戻りたい!
いい映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=BswbA7zW1qc


主役と相棒のテレビでの演奏、すっかり色男になってます。
二人の歌(コーラス)と演奏もなかなかです。
https://www.youtube.com/watch?v=0do1AkU0TI4






”ブレイク・ビーターズ”

社会主義国でブレイクダンス!っていうおもしろいテーマだったので、
興味はあるものの見るかどうか迷ってましたが、
”シングストリート”が凄くよくて気分よかったし、
同じ渋谷で公開されてるし、こちらも同じ1985年が舞台ということで、
共通点や逆に差が浮かび上がるかなと思い、はしごして見ることにしました。

1985年、東ドイツの街デッセウ、ブレイクダンスを紹介するアメリカ映画”ビート・ストリート”にすっかり夢中になった四人の若者、同じジムの特待生だったフランクと親友のアレックス、
元オリンピック女子体操候補選手マティナ、そして街で一人で踊っていたミヒャエルは
路上で見よう見まねでブレイクダンスを一緒に踊るようになる。
党の娯楽芸術委員会は西側文化が路上ではびこるのを恐れ、規制しようとし、
考え出したのは”ブレイクダンスの社会主義化”。
四人は”ブレイク・ビーターズ”という人民芸術集団として認められ、
専属コーチ(ただの体操コーチ)もつき全国ツアーも大盛況。
踊りを取り上げられるよりは、妥協して踊りを続けることを選んだのだ。
国家体制に魂を売ったと路上の仲間からは裏切り者と軽率され、
ただの国家の宣伝道具にされ始めているのを自覚したフランクは
全国放送の人気番組で思い切った行動にでる、、、。

大人や周りに理解されないものに挑戦するという青春映画の王道ストーリーですが、
やはり社会主義とブレイクダンスという相反する文化の軋轢が実にユニークでした。
自由のない国なので、路上で自由にパフォーマンスすることはご法度やし、
そもそも踊り自体がくねくねくるくるで今までのダンスの常識にないもの、
一人一人がソロを回していくっていうのも全体主義にはなじまない、
こんなギャップを党が理解できないのは当たり前。
だからトンチンカンなゆるーい音楽が用意されたり、
四人揃った踊りを強制されたり(これは意外といいのだが)。
実際、当時はライセンスを与えられたチームのみが踊ることを許されたとのことです。

それともう一つのテーマ、売れるために妥協するかどうか?
これは社会主義に限らず、資本主義というか売れたものが勝者の芸能分野では
つねについて回る難しいテーマ、それだけに考えさせられます。
この映画では贅沢なアパートの提供とか逮捕された親の釈放と交換という甘言で
言い含められたりもするし。
特にこの時代の東ドイツは”良き人のためのソナタ”でお馴染みの秘密警察と
密告に支配された世界、だんだんと国家に迎合することに疑問を覚え始める彼らに
どんな仕打ちがあるのか、やはり妥協するのか、最後はそこが見どころになっており、
その結果がわかる全国放送のシーンは痛快、そしてその後の警官と対峙するシーンも。

音楽は”シングストリート”と違って、知ってる曲がなかったのが残念ですが、
もちろんダンスの音楽は当然ノれるし、四人の吹き替えなしの踊りも見事。
フランクとマティナのブレイクダンスをしながらキスを交わすシーンが美しかった。
踊りだけでなく、恋あり(お色気も)、親子の衝突、友情ありいので
なかなか上手くまとまった映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=8wZOuZTGS1E



1985年のアイルランドと東ドイツ、
いずれの若者も好きなことに励むべし、そうすれば未来は開ける!ですな。
そしてそんな風に前に進む若者はとてもキラキラしています。
いい組み合わせの映画を見れました。


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