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2016年06月20日22:12

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JOG-Mag No.956 暴発する中国から世界を護る戦略

 下記は、 Japan On the Globe(956) ■ 国際派日本人養成講座 ■です。

                      記

The Glove Now: 暴発する中国から世界を護る戦略

 中国の「対外強硬論」を挫折させたのは日本とベトナムだった。
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■■■伊勢雅臣著『世界が称賛する 日本人の知らない日本』■■■

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夏目壽 さんのレビュー: ★★★★★ 世界が称賛する日本人が知らない日本

 我々国民も景気が悪い景気が悪いの大合唱をし政府におねだりするだけででなく、自国の歴史と文化を勉強し、このような伝統のある国に生まれたことに感謝しないといけないと思います。そこから道が開けてくると思います。この本がその一助になることを期待します。
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■1.中国の傍若無人な軍事拡張主義

6月9日、中国のフリゲート艦、すなわちミサイルや魚雷を装備した軍艦が、尖閣諸島の接続水域に初めて侵入した。

 日本政府の動きは素早く、外務省の斎木事務次官が午前2時に中国の大使を呼び、抗議した。斎木事務次官はマスコミに対して「中国側の行動はこの海域における緊張を一方的にエスカレートさせるものだと、非常に深刻な懸念を持って捉えている」と語った。

 6月15日には、中国兵250人がインド北部に侵入したことを、インド防衛省が公表した。

 南シナ海では、中国はすでに南のスプラトリー(中国名・南沙)諸島、西のパラセル(西沙)諸島、さらにルソン島に近いスカボロー礁を押さえて、主要航路を三角形で囲む海域を軍事基地化しつつある。

 最近の中国の傍若無人の軍事拡張主義は誰の目にも明らかになっているが、これをどう押さえ込んで世界の平和を護るのか、その戦略を軍事戦略研究の世界的権威エドワード・ルトワック氏が最新著『中国4.0 暴発する中華帝国』[1]で明らかにしている。


■2.チャイナ1.0〜3.0

「中国(チャイナ)4.0」とは、近年の中国の外交政策の変遷を言い表した表現である。ルトワックは以下のように定義している。

・チャイナ1.0「平和的台頭」(2000年代初め〜2009年末)
 GATT(関税及び貿易に関する一般協定)や知的財産権などの国際法を順守し、台湾問題も平和的に解決すると約束して、国際社会の中で警戒感を呼び起こすことなく、経済発展を遂げた。

・チャイナ2.0「対外強硬論」(2010〜2014)
 リーマン・ショック後の混乱する世界経済の中で、中国は自らの経済力を過信し、「金を出せば、相手は黙る」と思い込んで札束外交を展開した。さらに南シナ海の大部分を自らの領海であると言い出して、フィリピンやベトナムの反発を買い、尖閣諸島に関しても対日強硬策に出た。

・チャイナ3.0「選択的攻撃」(2015〜)
 対外強硬論で、周囲に「反中同盟」を作ってしまった事に気がついて、抵抗の無い所には攻撃的に出るが、抵抗があれば止めるという路線に変更した。ベトナムや日本には新たな強硬策は控えた。


■3.「決して降伏しない」というベトナムの「国体」

 チャイナ4.0とは南シナ海の領海主張を引っ込めるなど、ルトワックが中国に奨める平和的政策だが、彼自身、その採用は今の中国には不可能だと判断している。とすると、チャイナ4.0は、経済も低迷しだした中国が、軍事的に暴発する道かもしれない。

 中国の暴発を抑え込むためには、世界がチャイナ2.0「対外強硬論」をどのように挫折させたかが参考になる。特にこの点は日本の多くの偏向マスコミが国民の目から隠している真実である。

 チャイナ2.0を挫折させたのはベトナムと日本だった。

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 まず中国は、ベトナム沖にオフショアの石油切削用プラットフォーム(リグ)を送り込み、2014年8月まで居座るつもりだった。これに対するベトナム沿岸警備隊は小規模ながらも反応し、彼等が持つすべての艦船二十数隻を石油プラットフォーム周辺に送り込んだのである。

それに対抗する形で、中国はさらに大きな艦船を100隻以上送り込み、その海域から高圧放水銃などを使ってベトナムの艦船を排除し、当然ながらベトナムの艦船は多少の損害を被ることになった。[1, 421]
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 中国側は「中国海軍の強さを誇示すれば、ベトナム側は圧力に屈する」とみた。しかし、それが間違いだった。ベトナムには「決して降伏しない」という覚悟があった。これは中越戦争で中国軍の侵略を跳ね返し、ベトナム戦争でも米軍に屈しなかったベトナムの「国体」であった。

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中国海軍が優位であるとわかったのなら、別の方面で仕掛ける。具体的には、自国民による、中国人旅行者やビジネスマン、そして大使館などへの集団的な暴行、それに自国民が中国系の店や工場に火をつけたり、船を沈めたりするのを、ハノイ政府は事実上、黙認したのだ。

 さらにハノイ政府は、中国に対する軍事侵攻すら厭わない態度に出た。もちろんベトナム陸軍は劣勢だが、それでも国境を越えて中国領内に侵入してゲリラ活動を行って、まるでベトコン時代のように、中国国内の家や施設を燃やすことくらいのことはできるのである。[1, 457]
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 自国民に相手国の企業などを襲わせるというのは、2012年に中国自身が反日暴動として行った策略である。それをベトナムにやり返されたという事になる。ベトナム国民自身が「決して降伏しない」という気概を持っていたからこそ、こういう反撃もできたのだろう。


■4.「一つの合意と一つの約束」

 日本に対しての中国の強硬策は、日米同盟にクサビを打ち込もうとする事だった。

 第一のクサビが尖閣諸島である。米国政府は、他国どうしの領土紛争には特定の立場をとらないことを決めている。中国が尖閣諸島の領有権を主張しても、米国は日本を支持できず、そうなれば、日本は同盟国としての米国には頼れないと思うだろう。

 第二のクサビが靖国神社の参拝問題である。中国が侵略の被害者として日本の首相の靖国参拝を非難しても、米国としては日本を弁護できない。

 この二つのクサビを打ち込むべく、中国は「2014年11月の北京でのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の会合に参加したければ、一つの合意と一つの約束を守れ」と日本政府に迫った。

「一つの合意」とは領土問題が存在すると認めることについての合意である。それを合意した途端に日本政府は尖閣諸島の主権に異議がある事を認めたことになり、交渉のテーブルにつかなければならなくなる。「一つの約束」とは靖国神社に参拝しないとの約束である。

 中国は「言う事を聞かなければ巨大市場を失うぞ」と脅しをかければ、日本企業が日本政府に圧力をかけ、中国の要求に屈すると読んだのである。中国政府はよほど自信があったようで、2014年9月14日に中国国営メディア『環球時報』で、この要求を公表までした。


■5.安倍外交の完勝

 しかし、中国の読みは幻想に過ぎなかった。

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 交渉に入る際に日本に対してこのような幻想を抱いていたので、安倍首相が靖国不参拝の約束と尖閣が係争地であることの認定を受け入れないという現実に直面して、北京政府は右往左往することになったのである。・・・

 その結果、どうなったか。日中間で激しい応酬があり、数回の交渉の後に「安部コミュニケ」を出すことになったが、ここで明らかになったのは安倍首相がほとんど何も同意しなかったということだ。[1, 500]
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 そのコミュニケには靖国参拝については何も書かれていなかった。靖国不参拝の要求は、安倍政権によって完全に無視された。

 尖閣については、「双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し」とあるだけで、「領土問題が存在することを認める」という要求も拒否された。安倍外交の完勝である。

 以下は弊誌の推測だが、そもそも「APECの会合に参加したければ」などと脅す事自体が、自国の経済力に対する過信からきた妄言である。安倍首相なら「そんな事を要求するなら、日本は参加しない」と脅しをかけたかも知れない。

 日本が参加しない「アジア太平洋経済協力会議」など意味はない。日本政府が「中国の無法な要求に従わなかったので、参加を拒否された」と公表すれば、参加国は一斉に非難の声をあげ、中国は国際社会で赤っ恥をかき、反中包囲網はますます結束を強めたであろう。

 こんな素人でも分かる国際情勢を読み間違えるほど、中国の自己に対する妄想はひどかった。チャイナ2.0「対外強硬論」という唯我独尊の幻想を打ち砕いたのはベトナムと日本であった。


■6.「中国が大きくなるほど日本に味方する同盟国は増える」

 ベトナムや日本が大国・中国に一泡食わせた事例は、ルトワックの言う「大国は小国を倒すことができない」という逆説的論理の一例である。

 ある大国Aが小国Bを攻撃しようとすれば、他の小国は、次は自国がやられる番だと予測して、小国Bを助けようとする。他の大国も、大国Aが勢力圏を広げようとするのを阻止しようとする。こうして、ある大国がその軍事力・経済力で特定の小国を支配しようとしても、周囲がそれを許さない、という構図が生まれる。

 日露戦争では大国ロシアに対して、英米は日本を助けた。ベトナム戦争では大国アメリカは、中国やソ連が支援した北ベトナムを倒せなかった。

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 この逆説的論理を中国に当てはめるとどうなるか。中国が大きくなればなるほど、日本に味方する同盟国の数は増える。日本はアメリカだけでなく、最終的にはロシアからも支援を受けられるようになるだろう。そうなると、中国が強大になってアジア地域を支配するというシナリオは全くあり得ないことになる。[1, 1653]
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 ロシアからの支援とは唐突に聞こえるが、ルトワックの逆説的論理から言えば合理的だ。中国が強大化すれば、シベリアと中央アジアを抱えるロシアは中国に脅威を感じるようになる。

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 この時点でロシアには他の選択肢はない。日本および日米同盟と、歩調を合わせるほかないのだ。[1, 1438]
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 実際に、この5月、安倍首相はプーチン大統領と首脳会談を行い、プーチンは9月にウラジオストックで行われる東方経済フォーラムに安倍首相を招待した。

 対ロシアを含め、安倍外交が米国との同盟を再確認し、東南アジア諸国、オーストラリア、インドなどとも連携を強めて、対中包囲網を作りつつあるのは、正しい戦略と言える。


■7.「島を占拠されても、誰にも相談せずに迅速に奪還できるメカニズムが不可欠」

 ただし、尖閣諸島の防衛に関しては、他国に頼るべきではないとルトワックは説く。

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 これでは(JOG注: 日本が尖閣防衛までアメリカに依存したら)アメリカ側は「日本はわれわれに要求しすぎだ」と感じ始めるだろう。「日本はわれわれに核抑止力を求めている。これは提供できる。大規模な侵攻の抑止? これも提供できる。中国・ロシアの空爆? これにも対応できる。ところが島嶼奪還にような能力まで期待されても困る」と。・・・

 他国の島をとって基地を建設してしまうような中国に対抗するには、島を占拠されても、誰にも相談せずに迅速に奪還できるメカニズムが不可欠である。国家が領土を守るには、そういう覚悟が必要なのだ、それ以外の選択肢は存在しない。

 ここで肝に銘じておくべきなのは、「ああ、危機が発生してしまった。まずアメリカや国連に相談しよう」などと言っていたら、島はもう戻ってこないということだ。ウクライナがそのようにしてクリミア半島を失ったことは記憶に新しい。[1, 1463]
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■8.「僕が、とことん話して、酒を飲んで、食い止めます」

 中国海軍が技術的には日米同盟にまったく及びもつかない張り子の虎であることは[a]で論じた。尖閣諸島を奪われても、自衛隊だけで奪還する力を備えることは、技術的にも経済的にも可能だろう。

 問題は、偏向した教育や報道の結果、ルトワックの説くような安全保障上の常識が国民の間でほとんど共有されていないことだ。

 安保法制に反対する学生が「もし本当に中国や韓国が攻めてくるというのなら、僕が九州の玄関口で、とことん話して、酒を飲んで、遊んで、食い止めます。それが本当の抑止力でしょう?」などと言ったそうだ。本稿で紹介したベトナムや日本の事例を教えれば、中高生でもこんなセリフは一笑に付すことができるはずだ。

 周辺諸国と協力して対中包囲網を作り、島嶼防衛ができるだけの独自戦力を築くことは、政治家や自衛隊諸士の使命だが、まずは国民が国家の主人公として、それを支持する見識と気概を持たなければならない。それが自由民主主義国家を守るための国民主権の大原則である。

(文責:伊勢雅臣)


■リンク■

a. JOG(920) 張り子の虎の中国海軍
 中国の軍事力を過度に恐れることは、その野望を増長させ、暴発の危機を増大させる「戦争への道」。
http://blog.jog-net.jp/201510/article_1.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. エドワード・ルトワック『中国4.0 暴発する中華帝国』 ★★★、文春新書 [Kindle版]、H28
([]内の数字はKindle版の位置No.です)
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B01CZKS2I4/japanontheg01-22/


■前号「左翼と在日の深い闇 〜 『井上太郎最前線日記』から」に寄せられたおたより

■「朝鮮人暴動」は間違い(Yamamotoさん)

 共産党と朝鮮人の関係については専門外ですので何とも言えないのですが、関東大震災については知人に研究者がおります関係から、ある程度の知識があります。

 最近、工藤美代子さんの著作が契機と思われますが、朝鮮人暴動を事実とする説がインターネット上に広まっております。

 びっくりして工藤さんの著作の内容を紹介したサイトをみると、当時の新聞記事を丸のみしているようで、これは明らかに間違いです。

 南京大虐殺は根拠となっているラーベの日記は、噂話をそのまま記載して本人は虐殺の現場を一度も見ていないことから、信頼性が低く、でっち上げに過ぎないと言われています。当時の新聞記事を鵜呑みにするのは、それと同じ誤りをしていることになります。

 実際に研究者の知人に問い合わせてみましたが、その認識は正しく、工藤さんの著作については震災を契機とした前後の社会情勢を論じているという観点は素晴らしいものの、史料の信頼性を批判的に検証するということが全くできていないので論外、とのことでした。

■編集長・伊勢雅臣より

『井上太郎最前線日記』は、貴重な情報満載ですが、その出典が記されていない所が弱点です。

 関東大震災での朝鮮人テロに関しては、工藤美代子さんの『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』をもとに、以下の号をまとめていますので、概ね史実に近いだろうと判断しました。

JOG(665) 震災下のテロとの戦い
 関東震災直後の混乱の中で、朝鮮人独立運動家たちは被災民に対して無差別テロを仕掛けた。
http://blog.jog-net.jp/201009/article_2.html

 確かに、工藤氏の著書には多くの新聞記事が引用されていますが、それだけで「論外」というのは、歴史研究者としていかがなものでしょうか。

 南京大虐殺は当時、多くの日本人記者も欧米人記者も現地にいたにも関わらず、それを「報道」したのは、現地にいなかった米人記者のみでした。震災下のテロに関しては、複数の新聞に多くの記事が書かれており、同じ新聞報道と言っても、レベルが違いすぎます。

 小誌としては、工藤さんの著書に十分な説得力を認めて、このような記事にしています。ただ、このようなご意見があった事は、弊紙の読者にもご認識いただきたいと思います。

 読者からのご意見をお待ちします。
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