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2016年06月19日20:27

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日本の淡水魚(山渓ハンディ図鑑15)

山渓カラー名鑑『日本の淡水魚』以来となる、本格的な淡水魚図鑑です。

http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=1665264&id=3869823

『日本の淡水魚』が出版されたのは2001年のことでした。それからおよそ15年が経ち、日本の淡水魚類相の実態は大きく変化し、また分類学的な整理もずいぶん進展しました。こうした最新の動向を踏まえて編まれた本図鑑には、在来種・外来種合わせて306種・亜種の淡水魚が、見やすい標本写真や美しい生態写真とともに掲載されています。

この図鑑の最大の特徴は、「生物多様性の保全」という目的意識を明確に打ち出している点です。本書の執筆陣は、種を淡々と分類する従来の「分類学」ではなく、種の分類を通じて生物多様性の保護に貢献する「保全分類学」を提唱しています。各魚種の解説では、形態や生態や生息地に関する情報だけでなく、レッドデータブックにおける位置づけや保全の取り組みに関する情報も詳しく取り上げられています。

本図鑑のハイライトはなんといっても、シマドジョウ・スジシマドジョウ(Cobitis)種群およびヨシノボリ(Rhinogobius)種群の、微に入り細を穿つ分類とその解説でしょう。分類の根拠となっている、形態や生態や生息地や遺伝子などの差異は微々たるものです。しかし、そうした小さな差異こそが、生物たちの豊かな多様性を生み出しているのです。両種群の分類とその解説を読めばきっと、差異や多様性に対する分類学者の熱烈な「愛」を感じることができるかと思います。
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