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2016年05月29日18:59

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世界の文字の物語　－ユーラシア　文字のかたち－

古代オリエント博物館で開催中の『世界の文字の物語』に行きました。

公式ＨＰ↓
http://aom-tokyo.com/exhibition/160409_writing.html

チケットは毎度お馴染み、新聞屋さんからの貰い物。新聞屋さんいつもいつも有難う～。
古代オリエント博物館は、企画展示が毎回面白いです。今回のテーマは文字。文字五千年の歴史の物語です。
４時過ぎになったら、お客さんが増えたのだが、アレは何だったのだろう？会社員っぽい人もいたので、外回りのついでに寄ったとか？

世界には百種類以上の文字があったのだそうです。その中には、消滅してしまって現在は使われていない文字もある。契丹文字のように、解読不能になってるモノもあるんだそうな。現在残っているのが30種類以上と説明にあったかな。でも、その文字は数種類の文字がルーツ。

そもそも文字とは、私たちが日常話す言葉と密接な関わりがある。形を持たない言葉を具現化したのが文字。それにより膨大な量の伝達が可能になった。
文字は世界のいくつもの地域で別個に無関係に生み出された。前3300年の文明誕生と軌を一に成立したらしいのだが、それは、都市国家や組織の形成という物に関係している。都市が出来た。膨大な情報を伝える術が必要になった。言葉では覚えきれない。そうだ！文字を作ろう！ってワケだな。

最初の文字は古代メソポタミアと古代エジプト。その文字は単純な絵文字だった。

まずは西アジアの古代文字。イラク南部で前3300年に出来た。まずはトークンや印象など。絵文字と原楔形文字で、粘土板に刻まれていた。粘土だったのは乾燥していて植物が少なかったかららしい。原楔形文字はその後、シュメル語やアッカド語、ヒッタイト語に広がっていった。
最初期の原楔形文字は1200種の絵文字。主に物品の種類を表す物。言語はシュメル語で粘土に葦の筆を押し付けるのに適した楔形文字になったそうな。“音”の機能が加わり表音文字の要素も出来た。読み方は文脈から判断したらしい。

まず、『絵文字粘土板文書』　前3300があった。３欄に区分してあり、囲みで細分化。文字というよりほぼ絵です。○も書いてあるが、コレは数量を表すらしい。数字の代わりですね。

『粘土板文書』　破片みたいな物があり、メモ書きだったみたい。何でも、畑の草取りに６名を派遣した～とか書いてるんだって。古代の派遣会社のメモ？

前述と同じような、『粘土板文書片』　前2400～前2300　シュメル語で楔形文字。チーズ、乳脂、アイシャドウなど、儀式の過程が書いてあるそうな。コレもメモ書きですかね。

前述通り、１つの文字に意味が複数あったりする。例えば、頭という原楔形文字には、先頭、前側と言った意味もあったり。どの読みかは、文脈判断なんだね。

『紡錘形封泥』　前3200　シリア。紐の結び目を覆って粘土で紡錘形を作りハンコを押す。コレだと荷物に直接粘土封を貼らないで済むのだ。左方向に歩く牛文の印章が押されていた。ここには、荷物に直接貼る封のパターンも展示してあった。

『シュメル・アッカド語辞書粘土板文書』　前1500～前1200　北メソポタミア。既に死後となっていたシュメル語と当時使われていたアッカド語の対応表だそうな。楔文字が羅列されていた。私はアッカド語も分からんが、当時の人は、これに照らし合わせて昔の資料などを読んでいたのかな？

『封筒入り粘土板文書』　アナトリア　前2000初頭　シリア商人の物らしい。粘土で作られた封筒ね。粘土で作って中に文書を入れたら封を粘土でする。当時のお手紙だ！

『肝臓占い粘土板文書』　北メソポタミア　前1600　まず、肝臓占いって何？なのですが。何でも、生きた動物から取り出した肝臓の状態で吉凶を占う占いらしい。何その斬新なレバー占い！アッカド語楔文字で書かれ、外交や戦争の成り行きなどを占ったそうな。何で、そんなホラーな占いを考え付いた、メソポタミア人！

『グデア王銘入り粘土釘』　前2144～前2124　イラク　デッカイ粘土の釘です。その釘に楔文字が書いてある。『ラガシュの王グデアが市神ニンギルスの為に神殿を再建した』と銘文が書いてあるらしい。神殿に使った釘なんでしょうか？えらくデカイ釘だったので、神殿もでかかったのかな。

『円筒印章』なるものがああった。初期は幾何学文字や人物群を書いていた。前3000年の『銘入り円筒印章』は人物と文章が書かれたコロコロスタンプのような物だった。筒状の印章を転がして押すスタンプ。シュメル群市神名を楔文字で表していたり、長い祈祷文もあったり。謁見図の印章もあったり。王に謁見する場面を描いた物。コレは前2000年。花文円筒印章も。前2900～前2350。花模様のコロコロスタンプ。可愛いぞ。
今もコロコロスタンプってあるよね？前3000年から今まで、さしたる変化はないぞ(^_^;)。

青銅斧にも文字が書いてあった。儀式用かな？他、鏃（やじり）にも文字が。

前34年紀中頃からセム語の一種アッカイド語が誕生。楔形文字で表記された。そして表音文字機能が拡大。独自の文字を持っていたキプロス、エジプトも外交書簡は楔形文字を使っていたらしい。前14年紀、ウラルトゥやペルシアでは楔の形を利用した別物の表音文字体系が出来た。

『石製垂飾』　前24　イラン楔形文字で人命と官職名が書いてある。名札なのかな？社員証的な物？

これだけ流行った楔形文字も滅亡してしまう。前24年　アルファベットが発明される。前14年紀、アルファベットも羊皮紙などに記す書記術がメソポタミアで出来た。文字の種類が少なく合理的だった為、主役はアルファベットになった。原始アルファベット22文字だもんなぁ～。覚えるの楽だもん。メソポタミアでは前７Ｃ末のアッシリア帝国の滅亡以降、更新育成を支える組織の断絶が起こり、そこで教えていた文字を教えるコトもなくなり、衰退していったそうな。そうか・・・伝える人がいないと、文字も絶えちゃうんですね。

『ネブカドネツァル２世円筒碑文』　メソポタミア　前６Ｃ初頭　ようは、筒型の碑文。バビロニアの王が神殿や都市の修復などをしたと記してある。原楔形文字っぽい文字。敵の調伏をマルドゥク神に祈願した・・とも書いてあるらしい。

文字は変わるし滅んでいく。書くものも、石岩粘土から羊皮紙や樹皮、紙になる。道具の変化で文字も変わっていく。中国では甲骨文字から篆書、楷書、行書、草書が生まれる。隣りの民族が使う文字が広まっていったりもする。前2000年。原始アルファベットが社会の中で文字文化を継承していく。伝統や教育が廃れていくと、その文字も滅びる。ようは国や都市の社会が機能しなくなると、文字も消滅する・・ってコトらしい。前述の伝える教育機関がなくなって文字滅んだ・・みたいなヤツだね。

古代エジプト　前3300年。最古の文字が誕生。神聖な文字（ヒエログリフ）、実用的なヒエラティック（神官文字）、それらを簡略化したデモティック（民衆文字。前７Ｃ以降に出て来るらしいのだが）が生まれた。ヒエログリフはキリスト教布教に伴い、４Ｃに消えてしまった。しかし、ヒエログリフから現代に繋がるアルファベットが派生した。へぇ～。宗教に伴って、文字が消滅したりもするんだね。新しい宗教が入って来て、古い宗教が廃れ、文字も変わるのか・・・。

『ヒエログリフ銘文リンテル』　エジプト　古王朝時代　朗唱神宮に捧げられた供養碑文。ヒエログリフの銘文が刻まれている。リンテルとは支柱の間に水平に渡した建築材のコトらしいのだが、コレ、個人蔵ってのに、ぶったまげた。えぇ！コレ、個人で持ってるの？かなりデカイよ？邪魔じゃね？家が広いのかな？他にもデッカイ化粧パレットなどもあり、デッカイの好きなっ！て思う。

『プセムテクのウシュブティ』　エジプト　前664～前332　小さい石人形なんだケド。死者に代わってこの人形をあの世で働かせる為の呪文がヒエログリフで刻まれている。以前、エジプト展で同じようなの見たな。“汝らは「私はここにいます」と言うべし”等と書かれているらしい。あの世に行ってまで、働きたくないよ～ってコトなんだろうね（笑）。

『ハルポクラテス像』　エジプト　前４～１Ｃ　コレも小さな石人形。天空神ホルスの幼少時代の姿なんだそうな。髪をこめかみで一つに結う髪型は、古代エジプトの子供の髪型なんだそうな。背中に縦の銘文帯がある。石像は顎に指をあててカワイ子ぶってるようにも見える。

『死者の書』コーナーがあった。死者を彼岸で復活させる為の経文ですね。約2000も呪文があり、故人に必要とされる物が選ばれる。全部書くワケではないのよ。

『死者の書』　エジプト　グレコローマン時代　ヒエラティックでパピルスに書かれた物。巻物状態だった。泥封がしてあるのだが、コレは後代の物だそうな。

『パピルス文書片』　エジプト　プトレマイオス朝時代　支配者であるギリシア人と土着エジプト人の二重社会だったので、証文本文はデモティックで書かれ、最下段の署名はギリシア文字で書かれていた。ギリシャ文字のディオニソ・・までは、何となく読める。

アルファベットの始まり。フェニキア人はフェニキア文字を周辺に伝え、アラム文字、ヘブライ文字が生まれた。単子音（１文字＝１子音）で、22種類しかなかった。ここで、文字は王など特別な人の物ではなくなったらしい。特別な訓練を受けなくても書ける文字だね。ギリシア人はフェニキア文字を発達させ、ギリシア文字を作り、コレが後にアルファベットになる（音表文字）。ギリシア文字からはコプト文字、キリル文字が生まれ、ギリシア文字は他にも、エトルリア文字、ラテン文字（ローマ字）となり、キリスト教の拡大で、文字も拡大していく。つまりは、元となったフェニキア文字がヨーロッパ全ての文字の母なんだそうな。

『アラム文字銘呪文鉢』　メソポタミア　４Ｃ～５Ｃ　中央に神らしき姿。この神様、ちょっとネズミ男ぽかったが(^_^;)。鉢の内側にはアラム語の呪文が螺旋状にビッシリ書いてある。パッと見怖いが、“病気と災厄をもたらす悪霊リリスを払う為の呪文”が書いてあるらしい。

『聖母子像』　ロシア　19Ｃ　イキナリ最近（って言っても200年前だが(^_^;)）になったな。聖母子像のイコン。聖母マリアの右上にキリル文字で「イイスス・ハリストス」　「スモレンスの聖母」とあるらしい。キリル文字を見せたかったんだね。

『文字刻銘黒像式陶片』　ギリシア　前６Ｃ～５Ｃ　戦士姿の黒い像が描かれている。ギリシア文字でアガメムノンとある。あるのだが、良く見ると２番目のＭとＮが間違った順番で書かれている。書く時に間違っちゃったんだね(^_^;)。

ギリシア文字とラテン文字。前14年初頭にフェニキア人から文字を採用したギリシア人。独自に母音文字を加えながら左から右へ書くようになった。ギリシア文化の拡散で、エトルリアを通じ、ローマはギリシア文字を習得した。そして、ラテン文字を生んだ。

『ワックスタブレット』　複製だったケドね。ローマ帝国時代１～４Ｃに使われた物の複製。木の板に蝋を塗り、金属製のペンの尖った先端で字を刻む。携帯用の筆記具。書き損じは、ペンの後ろの平たい方で削るんだそうな。ポケット手帳みたいな感じだった。便利そう。

『トーラー（ヘブライ語の祈祷書）』　イエメン　創世記18Ｃ　褐色の羊皮紙に書かれていた。

フェニキア文字、アラム文字。前11Ｃ　フェニキア地方（レバノン）で始まる。22種類とシンプル。
ヘブライ文字。古代イスラエルで成立。前10年頃は、フェニキア文字と瓜二つだったらしい。前９Ｃにメシア碑文で独自の特徴が出て来る。国はメソポタミア大帝国に滅ぼされるが、文字と宗教は生き残った。

『死海写本』　複製だったけど。実物はパレスティナの１Ｃの物。旧約聖書等、当時のユダヤ教に関する内容がヘブライ語で書かれていた。オカルトマニアには有名だよね、死海写本。公けに出来ない預言が書かれている・・という噂もあったり。

聖刻文字の滅亡とコプト文字。392年キリスト教がローマ帝国の国教に定められるとエジプトの異教神殿は破壊された。それに伴い「生命の家」（神殿付属の書字室）で継承されていた聖刻文字も途絶えてしまった。エジプト語はギリシア文字を採用した。それは17Ｃまで継続された。

アラビア文字。４Ｃアラム文字から派生したナバタイ文字から更に派生した文字。７Ｃイスラームと共に広がった。千年前から形が変わらないのは、神の言葉を表す神聖な文字であるから。これ、東洋文庫のコーラン展の時も、そんな説明を読んだな。
エチオピアのアムハラ語は文語化したゲエズ文字（古典エチオピア語）を改良した物だそうな。ゲエズ語はアルファベットとクシ系言語が混在しているらしい。

『南アラビア文字奉献大碑文』　南アラビア　前３～後３Ｃ　アゥワーム神殿に奉納された碑。月の神イルムクフに奉納された青銅像について祈願した物。アラビア文字ってこんなだっけ？とちょっと思った。

『ゲエズ語祈祷書』　エチオピア　聖歌集らしい。ゲエズ文字で書かれたキリスト教関連文献が８点書かれているそうな。

『クルアーン零葉』　アラビア（？）　10Ｃ　クルアーン（コーラン）のユースフ章をクーファ体アラビア文字で書いた羊皮紙。文字を区別する上下の点はない・・と解説にあった。

『インダス文字』　前2600年　インダス文字。スタンプ印章のようなもの。５文字以下が殆どで、420種の字の種類があったそうな。しかも、抽象的な図柄が多いと。前1900年で衰退したらしいが、字の種類が多すぎたんだと思う・・・。

『インダス式印章』　パキスタン　前2600～前1900　牛などの具象もあった。３つの頭の有角獣は何だろう？

『インド系文字』　前３Ｃ　ブラーフミー文字。カローシュティー文字も初期仏教経典を記すと解説にあった。コレもアラム文字の影響があったらしいが。ヒンディー語は最初ディーヴァナーガリーという表音文字だったそうな。それが10Ｃに発達してヒンディー語に。

『アショーカ王碑文拓本』　ルンビニー　前３Ｃ　ルンミンデーイー法勅の拓本。ブラーフミー文字で書かれた物。王が釈迦王の誕生地を巡礼した等と書かれているそうな。「私はこんなに信心深いよ！」ってコトか。

『サンスクリット般若心経』　ギルギッド　７Ｃ　ブラーフミー文字で書かれた般若心経の断片。インドっぽい字というか、漢字じゃないので、少し不思議。でも、仏教が生まれたのは古代インドだもんな。

『維摩詰所説経巻上』　クチャ　７Ｃ～８Ｃ　漢字で表に維摩詰所説経が書かれている。でも、見どころは裏。裏に様々な文字で落書きがしてある。どんな人が落書きしたんだろう？複数人いたのかな？モンゴル文字っぽいのも。

コインの文字。硬貨に書かれた文字は、文字解読に大変役に立つらしいよ。数字なども分かるしね。ギリシア、マケドニア、フェニキアの銀貨。ヌミディア前60～46は、新ポエニ語とラテン文字を併用していた。ユダヤ銅貨は古代ヘブライ文字で67／68と書いてあったり。アポロドス１世銅貨はカローシュティー文字で書かれている。前２Ｃの物。インドで見つかった。
『グプタ金貨（サムドグプタ）』　335～375　ブラーフミー文字で書かれている。銅貨（ゲオルグ４世）　グルジア王国　1213～1223年は、グルジア語、アラビア語、ペルシャ語の３語で書かれたコイン。瓢箪のような形をしている。

ソグド文字からウイグル文字へ。ソグド人はアラム文字から派生したソグド文字を使っていた。ウイグル人はソグド文字の草書体を導入した。仏典を通じ縦書きになったそうな。今は新ウイグル文字（アラビア文字）になったそうだが。

『ウイグル文「文殊師利成就法」』　トゥルファン　13Ｃ～14Ｃ　密教のウイグル文字の文献らしい。
漢字以外で、仏教と言うと、ちょっと妙な気分になるね。

『ウイグル語イソップ伝』　トゥルファン　10Ｃ～11Ｃ　前６Ｃにギリシアで成立したイソップ寓話集をウイグル語ソグド文字で書いた物。マニ教徒が宗教説話の一部としてもたらしたらしい。へぇ～、イソップって、最初、宗教説話の一つとして伝わったのか。

前２Ｃ頃。アラム文字が多様化した。パルミラ文字、ハトラ文字などイラン世界でも、ゾロアスター教アヴェスター文字などが出来た。南アジアの文字は前３Ｃのブラーフミー文字に紀元があるが、これもアラム文字から影響を受けた物なんだそうな。アラムは中央アジアにも広がり、マニ文字、ソグド文字、ウイグル文字となっていったそうな。

『奉納碑文』　パルミラ遺跡　２Ｃ　女神アラートに一族の繁栄を願った碑文がパルミラ文字で書かれている。
他、神殿の入場券がパルミラ文字で書かれていたり（テッセラ　２Ｃ）、銀貨（シャーブフル１世）　イラン　ササーン朝ペルシアがあったり。コレもパルミラ文字かな？
ゾロアスター教の拝火塔の火が「王の火」であるとパフラヴィー文字で記されていたり。

マニ文字。マニ教の創始者マール・マーニーが自らの宗教聖典をアラム語の方言で書き表した文字がマニ文字だそうな。パルミラ文字が基（もと）。唐代はウイグル人はマニ教か回教だったそうな。マーニーはメソポタミアの南部で主に活躍した。

『マニ文字ソグド語マニ教経典』　トゥルファン　10Ｃ　漢文の妙法蓮華経の裏にマニ教の経典が書いてある。紙の再利用？

『シリア文字アルファベット表』　トゥルファン　９Ｃ～10Ｃ　朱色の線の格子内にネストリウス体のシリア文字を２つずつ組み合わせて書いた物の断片。ネストリウス派キリスト教徒の学習用だったらしい。この頃のこの近辺の宗教って、ゴチャゴチャだよね。仏教、マニ教、回教、ネストリウス派キリスト教。私、このネストリウス派キリスト教に凄く興味があるんだケド、なかなか調べきれない・・・。

前２Ｃオスロエネという小国が起こる。そこでは、アラム文字が独自に変化した古ギリシア文字を使っていた。それを東方キリスト教徒が使うようになる。その後、西シリア教会、東シリア教会が出来、東シリア教会がネストリウス派なんだそうな。なるほど。この説明簡潔で分かりやすい。

『墓石銘拓本』　十字架とシリア文字の銘文。13Ｃ～14Ｃ　ネストリウス派の墓石拓本だそうな。シリア文字だから、十字架とあると、少し不思議かも。３Ｃのパンに押すスタンプもあった。“ｍｒｙ　ｔｕｎ”と書いてあった。

モンゴルは、ウイグル文字を採用。縦書きだが、文字の形はアラム系文字。だから縦書きでもウネウネ文字なの。コレが満州文字になるらしい。モンゴル文字の祈祷書の断片などが展示してあった。ウネウネ文字～。祈祷書もウネウネ～。

『奉天誥命』　中国　1657年　満州文字と漢文で併記された行政文書。鳥の模様入りの綾に朱と墨で書いてある。この満州文字と漢字併記って、以前、故宮博物院展でも見たなぁ。中国って56だかの部族からなってるんだよね。漢字を使う民族は漢民族で、全員が漢字読み書き出来るワケじゃないもんなぁ。

チベット高原　７Ｃ　ブラーフミー文字から発達したグプタ文字が伝来。コレがチベット文字になる。チベット密教の浸透で四川、ブータン、モンゴルにまでこの文字が広がる。仏典で書かれる有頭体（ウ・チェン）と、日常使用の草書無頭体（ウ・メー）の区別があるそうな。ヒエログリフみたいだね。聖なる言葉は特別！みたいな。17Ｃの暦に関する断簡があった。猿と鶏の絵入り。チベット文字の文章がその下に書いてある。

東アジア　前1400年～前1050年　卜占の銘文（甲骨文字）の文化を受け、それから派生した文字が、東アジア各国へ。日本、朝鮮、ベトナムは漢字を使用しつつ独自の文字も現れた。女真文字、西夏文字などもあったが、皇帝が作らせた文字だったので、国家と命運を共にし、国家が消滅すると文字も消滅してしまった。

『甲骨卜辞』が色々ああった。中国の殷時代。祭祀や戦争の可否、稔を祈る物など様々あった。「雨降るか？」などと書いてあったり。

『西夏語六祖壇経』　13Ｃ～14Ｃ　今回私はコレが１番面白かった。西夏文字の草書。漢字から派生した擬似漢字だから、漢字っぽくはあるんだ。でも、漢字じゃないから全く読めない(^_^;)。何か、漢字知らない人が「漢字ってこんなのだっけ？」って書いた文字みたい。前述通り、この文字は滅んでしまって今は消滅してしまった。こうやって残ってる資料で確認できるだけなんだね。

『観世音菩薩六時大明陀羅尼神呪経』　漢字、ハングル混じりの経文。たまに悉曇文字も出て来るらしい。

『ナシ族トンパ文字経典祭風経典』　雲南省　ナシ族のシャーマン（トンパ）が使う象形文字で書かれた経典。ゆるキャラみたいな仏がいて可愛い。トンパ文字は、ほぼ絵文字だよね。トンパ文字って一時流行って、グッズになってたケド、こう言う文字だったのか。象形文字だから、可愛くて流行ったんだね。

『バタク文字椰子葉本』　スマトラ島　ペクタ文字の呪術書。ブラーフミー文字から派生した文字に由来。インド文字系の特徴もあるんだけど、でも、インドではないんだよなぁ。手のひらサイズのヤシの葉の本だった。

最後は日本の文字。弥生時代に漢字が来て、飛鳥時代に仮名が出来た。９Ｃ半ばには草仮名（くずし）が生まれる。印刷が入り、文字同士を分離表記したので、仮名文字のリテラシーも使っていたそうな。

『金印』　勿論複製ですが。有名な“漢委奴國王”ね。弥生時代の後期の物。見た人が皆「小さい！」って驚くと言っていたケド、確かに小さい(^_^;)。イメージ的に拳サイズくらいの想像しちゃうよね。実際は、２本指くらいの幅。小さいよ。

他、弥生土器にも記号文があったり。

『七支刀』の複製もあった。コレ、恰好良いなぁ～。倭建命が持ってそうだよ（笑）。本物は古墳時代の物。表に金象嵌で銘文が入っている。

仮借から仮名。木簡に『伊香之（いわし）』　『阿津支煮（あづきに）』と書いてあった。音訓併用なんだそうな。

『陰陽寮から食料請求木簡』ってのもあった。722年のもの。コレも複製だったケド。

文字は、使う人や伝える人がいなくなれば消滅するのか・・と思ったり、宗教の力でこんなに文字って広がるのか。宗教とともに文字がこんなに拡散するんだと思ったり。やたら、ブラーフミー文字出て来るな！と思ったり、面白かったです。

ロビーにヒッタイト象形文字、楔形文字、ヒエログリフの文字スタンプがあって、自分の名前を押して書いてみよう！というのがあったので、やってみた。