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2016年05月03日20:00

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若冲展

東京都美術館で開催中の『若冲展』に行きました。
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チケットは、毎度お馴染み、新聞屋さんからの貰い物。新聞屋さん、本当に有難う!今回の若冲展、1か月しかやらないのに、展示替えがあるので2回行かないといけないのです。新聞屋さんのおかげで1回無料になりました。
しかし・・・。このチケット。抽選で当たる物なのだが、若冲展ですら、チケット当たるって、私以外、応募してないのか?という疑問が湧いてくる・・・。

1週間くらい前に行ったのですが、平日に行ったのにも関わらず、外に70分並び、中で更に1時間並ぶという、超混みっぷり。どうやら、その2日前に、若冲関連のTV番組を、NHKがバカバカ放送してくれたようで、それを見たお客さんがわんさか訪れてしまっていたという。実際、おばちゃんの団体が「こんなに混んでるって知ってたら、来なかったわよぉ〜。」と言っていた。若冲はただですら混むんです。なのに、更に混ませてどうするよ!

そんな状態なのに、先日も、バカスカ若冲関連の番組を放送していたNHK。もう、放送しなくても大丈夫だよ。今現在で、十分激混み状態だよぉ〜・・・。

トーハクでやった、奇想の日本画展(みたいなやつ)の時より混んでた・・ような気がした。私の日記を遡ると、その時のレポがありますが。東京都美術館の企画展示室が狭いって言う理由もあるのかなぁ。動植綵絵は、トーハクの時の方が見やすかったような気がする。あの時も、釈迦三尊像以外は、全部展示してあったよね?その時と今回、かなり、展示作品被ってますけどね。プライスコレクションもそうだケド。この見づらさは、単純に広さの問題なのか、都美の導線の作り方が上手くないのか・・・。

と、そんな文句も言いながら、私は若冲は好きなので、見に行ってしまうのですが。

伊藤若冲1716年〜1800年。江戸期に活躍した絵師。京都の錦小路の枡屋という青物問屋に生まれます。八百屋じゃないんですよ。小売りの八百屋に野菜を売る商売をしている問屋さん。お金持ちですね。その枡屋の4代目主人が若冲はん。でも、あまり商売には興味がなかったらしく、40歳で家督を弟に譲って、自分は隠居してしまう。酒も飲まない。女遊びもしない。唄や踊りの芸事も苦手。周りの旦那衆から見たら、随分無粋な人に見えたかも知れないね。そんな若冲はん。でも、絵を描くのは好きだった。40歳で隠居して、10年かけて動植綵絵を描いた。描いた絵は、相国寺に喜捨した。相国寺の大典を通じ、若冲は、仏に帰依した・・と言われている。信仰心が厚かったんでしょうね。だからなのか、妻帯もしなかった。

こんなちょっと変な若冲はんの絵を、チョロっと見てみる。
『糸瓜群虫図』。虫食いの穴開き葉っぱの糸瓜。ところどころにはバッタや蛙。蛙は穴から覗いている。曲がった糸瓜も描かれている。若冲は、○が好きなのかな?と見るたび思う。真ん丸の虫食い。

『鹿苑寺大書院障壁画 芭蕉叭々鳥図襖絵』 墨画の芭蕉の葉と叭々鳥。叭々鳥は岩に乗っているのだが、顔がね、キョットーンとした顔してるんだ(笑)。若冲は良く、動物のきょっとーん顔を描くと思うが、コレもキョットーン顔。ややマヌケ(笑)。芭蕉の葉の勢いの付け方とか良いな・・と思う。

『鹿苑寺大書院障壁画 菊鶏図襖絵』 こちらも墨画。正面顔の鶏さん。だーかーらー、若冲はん、何故に正面顔を描く?鳥の正面顔はマヌケなんだって!(笑) 案の定、この鶏さんもマヌケ顔。ちょっと漫画チックかも。そんな中、ちょっとデザイン的な菊が恰好良い。一瞬アンバランスに見えるんだ。菊の下にある、丸いの何?キノコ?何なの?若冲は〜ん。

『孔雀鳳凰図』 うって変ってのこちらは極彩色。これ、最近見つかったんだっけ?松にとまる、孔雀と鳳凰。極彩色の羽。孔雀は白孔雀で、足元には牡丹も咲いている。どちらもおめでたい鳥なので、吉祥絵なんでしょうね。鳳凰の尾羽は・・やっぱりハート形なんだなぁ。

『旭日鳳凰図』 波に岩。そこに羽を広げてポーズをとる鳳凰。右上には旭日だ。良く見ると、羽の絵具が盛ってあるのね。これは、実際見ないと分からないね。若冲の水の描き方、変だよなぁ。凄く粘着質な水なの。触手に見えるの。ちょっと気持ち悪い。でも、これで「あぁ、若冲だぁ〜。」って思う。

『雪中雄鶏図』 若冲は〜ん。何故に、雪をこう描く!これ、雪ちゃいます!スライムですがな!と言いたくなるほど、若冲の雪は粘着質に見える。ドロっとしてそうな。美術評論家の辻氏は「雪にも生命が宿っているみたい。」と仰っていたな。私には精液にも見える。そんなドロリンな雪の中、片足を上げ、後ろを振り返る鶏さん。

『虻に双鶏図』 墨画。雄と雌の鶏。2羽とも上を向いている。彼らの頭上には小さな虻が飛んでいる。鶏の羽の部分は筋目描きだね。技をちゃんと使ってる。

『鳳凰之図』 墨画。これ、鳳凰なんだね。首の羽部分バッサバサ。でも、顔は凛々しい鳳凰。

『竹虎図』 墨画。ちっとも虎に見えない虎さん。猫っぽいよね。おそらく、虎皮と猫を参考に描いたのだろう。猫のように手で顔を洗おうとしてるのかなぁ?尾っぽを輪っかを繋げたチェーンのように描いている。

『月に叭々鳥』 叭々鳥落下!下を向いて、落下してるように見える叭々鳥。急降下の場面なんだろうか?でも、叭々鳥「やっちゃったーーー!!!!」って顔してるんだよ(笑)。だから、ミスって墜落しちゃったのかも。うっすら月も出ている。

『乗興舟』 墨版画で、川下りの様子・・なのだけれど。ネガポジ反転のようで、水の色が黒。ちょっと死の世界っぽいと思ってしまう。あの世の川・・うん、三途の川の川下りのような・・・。良く見ると、人も描かれている。これ、「空いてるところか見ろ」って言われるんだケド、空いてるところからだと横入りっぽくなるから、絵巻関係は、列に並べて見せた方が良いのかも(それだと、列が際限なく伸びるのだと思うけれど・・)

ここから『花鳥版画』のシリーズになる。彩色版画で美しい。『青桐に砂糖鳥図』では、葉に細かい点々が打ってあり驚く。そして、お馴染み丸い虫食い。緑色の砂糖鳥。
このシリーズって版画だけど、ちょっと切り絵にも見えません?私、このシリーズ好きなのですが、そんな感覚になる部分も面白い。私が絵ハガキ持ってる、白い鸚鵡の「こんにちは」する姿も本物が見られた。

『達磨図』 なんで、達磨さん、ロンパリに描かれているのだろう?朱色の衣が鮮やかだなぁ。

で、ここから『動植綵絵』になる。今回は1室に、動植綵絵30幅と、釈迦三尊像を全て並べる構成になっていた。
動植綵絵は、若冲が40代前半〜50代前半にかけて描いた作品。若冲は、草木の英(はな)や鳥や虫などの様を描き表そうと、写生や模写を繰り返して習得し、画師になった・・と解説にあった。張思恭の筆と伝えられる釈迦、文殊、普賢の三尊の仏画を見て、比類ないほどの功名さに魅了され、若冲は模写し、釈迦三尊像を作成したそうな。
若冲は、この絵を仕上げ、相国寺に喜捨する。その際「絵描きの名誉なんていらないよ。この絵が未来永劫残れば良いな。」って言ってるんだよね。

確かに煌びやかな部屋だったが、何分人が多いので、絵を前でじっくり見るのは難しいかな・・と。
特に最初の方は、人の頭越しに見る感じ(^_^;)。私は「まぁ、前回見たからいいか・・」と言う感じで、後ろからゆっくり見た。

『池辺群虫図』 私が得に好きな絵だ。私は「虫いっぱい図」と呼んでいる。蛇、蜥蜴、蛙、蝸牛、赤腹イモリ、カブトムシ、おたまじゃくし、毛虫、バッタ、蟷螂・・・等々、ありとあらゆる虫沢山。赤腹イモリが可愛いんだ。良く分からない虫もいるんだけど。あと、何か黒い点みたいなの何?ダンゴ虫?若冲の虫の目視点。1匹だけ、向かって右を見てる蛙がいるんだケド、これ、ボス蛙なのかな?

『雪中鴛鴦図』 水にめり込んでるように見える鴛鴦の雌。そして、木に絡みつくような、相変わらずの粘着質の雪。木にとまってる小鳥もいる。

『群鶏図』 鶏一杯。一面の鶏だ。若冲は自宅の庭に鶏を飼い、1年間ずっと観察していたらしい。お店の人、心配したろうね。「うちの旦那さん、何か悩み事でもあるんだろうか?」と。中央下に正面顔の鶏。だーかーらー、何故、鳥の正面顔を描く若冲はん。正面顔はマヌケなんだって!でも、この正面顔のおかげで、目がここに留まる。引っかかるんだ。そこで、ふっと思う。「ひょっとして、この正面顔の動物たちって、若冲本人なんじゃなかろうか?」と。「僕の絵どう?」と、若冲が話しかけてきてるんじゃないか?と、そんな気がした。

『芙蓉双鶏図』 芙蓉の花の下に雄鶏と雌鶏がいる。雄鶏は片足を上げ、股の間から顔を覗かせる、やたらアクロバティックなポーズをしている。それを見上げる雌鶏。これ、私はこの2羽がダンスを踊ってるようにも見える。雄鶏は「Shall We Dance?」って言ってるんだよ、きっと。

『梅花群鶴図』 鶴どうなってんのー!何羽いるのー?と言いたくなる鶴の配置。何でも足を数えると6羽いるそうなのだが。梅の木の前に鶴。中央の鶴はお尻を向けちゃってる。顔だけにゅんっと出して、こっちを見ている鶴もいる。でも、私は、向かって左にいる鶴に注目して欲しい!すんごい人を小バカにした顔してると思うんだ。高橋留美子が描く漫画の目だよ、これ(笑)。何で、こんな顔で描いたのかな?全然優雅じゃない鶴。でも、面白い。ずっと観ていられる。

中央には釈迦三尊像。『普賢菩薩像』 良く見ると、菩薩様が乗ってる象の顔が怖い!着物の柄の細かさな・・・。これ、信仰心からだって言うのがこれでも分かる。信仰心があるから、ここまで細密にしたんだよね。

『牡丹小禽図』 サブタイトルは「やりすぎ、若冲はん。」 牡丹がみっちみちでみっちり過ぎるんだ。「この人、空間恐怖症じゃないのか?」とすら思う。この辺り、若冲はんの狂気を感じます。でも、2羽いる鳥はとても可愛い。1羽、首をグインって上げて空を見上げてるんだケド、何を見てるんだろう?

『老松白鶏図』 白い鳳凰のような鶏。番でいる。雄鶏は、赤い日を振り返っている。雌鶏は足を上げて、後ろを振り返る、ちょっと変なポーズしてるんだよな。この辺り、実際観察してた若冲らしい。きっとこんなポーズを実際の鶏もしていたんだろう。「何だ、このポーズ。面白い。」と思って、若冲はんも描いていたのかも。そして、松の表面が、蛸の吸盤のようで、ちょっと気持ち悪い。これも、安定の若冲節。

『秋塘群雀図』 見るたび、ヒッチコックの鳥かよ!と思う。雀の大群図。1羽アルビノらしき、白い雀もいるんだよな。粟であろう、穀物を食べに来たらしい。粟のツブツブの描き方も是非じっくり見て欲しい・・・のだが、あの混雑では、じっくりは見られないんだよなぁ。

『雪中錦鶏図』 咲いてるのは牡丹の花かな?そこに雄雌つがいの錦鶏。雪が積もっているのだが、出た!毎度お馴染み、スライム雪!この雪は特にベタベタ度が高そうに見える。積もってる雪に開いてる丸い穴も、何か気味が悪いんだ。そこから花がのぞいているんだケド。雪が意思を持って、上からドロドロ流れて来ているような・・・・。

他にも、全然生きてない魚の絵とか、そういうのも楽しい。凄くペタ〜ンってしてる魚。多分、魚屋さんで見たのを描いたからなのかな?と思うんだケド。なのに、貝は生きてるように見える。貝の絵は「若冲の不思議ワールドへようこそ!」と言う感じにも見える。

前述通り、若冲には仏に対する敬虔な想いがあったようだ。1788年に大火で住まいを失った若冲。その後、大坂へ行き、その後、京都の石峰寺門前に住んだ。石峰寺には、若冲プロデュースの五百羅漢があるよ。私、行きました。羅漢可愛かったよ。若冲さんのお墓もあるので、ちゃんとお墓詣りをして来ました。

『三十六歌仙図屏風』 もう、可愛い〜目がハート。私が勝手につけたタイトルは、「三十六歌仙の休日」 だって、誰1人、真面目に歌を詠んでない。頬杖ついて暇そうな人もいれば、本を読んでる人もいる。お酒飲む人もいる。すり鉢で味噌をすってる人がいて、その手前では、一心不乱に田楽焼いてる人がいる。ヨーヨーやってる人もいる。琵琶を弾きもせず背負ってる人はいるは、琴にまたがっちゃってる人はいるは・・・。でも、皆楽しそう。私も仲間に入れて欲しい。田楽美味しそうだし。後期には、おはぎ作る人が見られるはず。見るのを楽しみにしている。

『象と鯨図屏風』 墨画。デッカイ鯨とデッカイ象。背中だけ出ている鯨は潮を吹いている。右隻の象は三日月型の涼しげな目元。鼻を上げパオ〜ンと鳴いてるのだろうか?象は座っているのかな?

『菜蟲譜』 野菜と虫沢山の世界。キノコのところに、緑(瑠璃色)の黴が生えてるようなキノコがあるんだけど、あれ、何?単純に見た時に黴が生えてたからそのまま描いたとか?
そして、何で、蛙を漫画チックに描いた、若冲はん。

『鳥獣花木図屏風』 升目描きの動物たちの楽園。鳥一杯と動物一杯。右隻にいる毛むくじゃらな黄色い生き物何だろう?狒狒?
実は昔から不思議に思っているコトがある。若冲って、猫を描かないですよね。犬は描く、虎は描く。でも、猫は出てこない。この動物一杯図にも猫はいない。若冲はんは、猫嫌いだったのかなぁ。

こんな感じでした。
お土産は・・・特設ミュージアムショップが1時間待ちの行列で、何も買えませんでした!!悲しい。図録は、1階の書籍コーナーや外売りもしていたので買えたケド。虫一杯のクリアファイルが欲しかったのにぃ〜!!あと、蜘蛛とトカゲの缶バッチも欲しかったのにーーー!!!
絵ハガキは、前回の若冲展の時沢山買ったし、動植綵絵だったら、三の丸の美術館で買った方が安いと思うので(30枚セットで1200円くらいだっけ?)、別に良かったんだケド・・・。虫一杯クリアファイルは、きっとここじゃないと買えないよぉ〜。後期の時、ちゃんと買えるかしら?

因みに、悔しかったので、下のミュージアムショップに売ってた、升目描き象さんクリアファイルを買った。あと、マグネットも買った。私、東京富士美術館で、この絵のチケットケースも買ったはずなのに、絵ハガキともども、何処かに行ってしまって見つかってないんだよな・・・。何処に行っちゃったんだろう?

混みっ混みが大丈夫な人は、行ってみて下さい。多分、いつ行っても混んでます。炎天下に長時間並ぶ可能性があるので、UVカットのタオルとか日よけになる物を持って行った方がいいよ。水分も必須。列で日傘は邪魔になるからお勧めしない。コミケの列に並ぶときのような恰好がベストだよ。

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動くCG若冲の鳥獣花木図屏風もあるよ。

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すんごい並んでいる列が映った都美の球体。

若冲はんは、「自分の絵を分かってくれる人が出て来るまで千年待つ。」と言ったケド、1000年待つ必要はなかったみたいだよ、ねえ、若冲はん。
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