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2016年04月11日23:15

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映画 「ボーダーライン」

昨日の朝に鑑賞。
ドゥニ・ビルヌーブ 監督の新作。

エミリー・ブラント ベニチオ・デル・トロ ジョシュ・ブローリン
「ボーダーライン」Sicario  

FBI捜査官ケイトは、上司の推薦により国防総省のマットのチームへ加わる事になる。
それは彼女が追っていた誘拐事件が麻薬組織によるもので、その組織壊滅に乗り出す。
更にそのチームにアレハンドロも加わるが、その彼の真の目的は個人的な復讐であった。


アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に、
麻薬組織と特殊部隊の戦いを描くアクション。

といってもスカッとするようなものでもなく、勧善懲悪な部分は無い。
善と悪の狭間に苦悩するヒロイン、復讐心のあまり暴走する男と、
人間の心の闇を描いた秀作!

それもそのはずで監督がドゥニ・ビルヌーブ 。
この映画感想日記では一昨年に書きました「プリズナーズ」の監督。
この「プリズナーズ」もその年のマイベスト7位で傑作です。
「プリズナーズ」の感想でも書いたのですが、この監督の特徴は「人の罪や過ち」
「心の闇」である。
劇場では見逃したのですが、その次の「複製された男」(この邦題は内容と違う)も心の闇を現実化するような作品。
なので今回も麻薬戦争をテーマに心の闇を描く。

エミリー・ブラント演じる女性捜査官ケイトが主人公のように描いてはいるが、
真の主人公はベニチオ・デル・トロ演じる特殊部隊のアレハンドロ。
今回監督が描く「心の闇」はこのアレハンドロ。
麻薬組織に家族を殺されたアレハンドロの復讐心のあまりに暴走する。
私的にはこのアレハンドロをもっと描いて欲しかったとも思う。
アレハンドロを主人公でも良かったかも。
ケイトはいわばこの物語の主観者で観客目線だったように思う。

この作品の最大の魅力は撮影!
撮影が名手ロジャー・ディーキンス!
このカメラがとにかく素晴らしい。
前半の見せ場、メキシコからアメリカへ移送する車両を空撮で見せる辺りはゾクゾクするほど。
これは監督の演出だけでなく、撮影マンのディーキンスによる手腕によるのが大きい。
後半の敵地への潜入襲撃シーンもこれまた凄い!
この緊張感がまたいい。

ディーキンスとビルヌーブ監督は「プリズナーズ」でも組んでいて、
その前作は勿論、本作もまさに演出と撮影が見事な映像と緊張感を生み出している。
今回の「ボーダーライン」はそれ以上にディーキンスによる部分が大きかったと思う。
今回もこの作品でアカデミー撮影賞候補だったんですが貰って欲しかったほど。

ヨハン・ヨハンソンのどんよりズシッとくる音楽も雰囲気たっぷり。
この人も「プリズナーズ」で組んでいる。
こちらもアカデミー賞候補だった。


キャストでは

ケイト役のエミリー・ブラント
過去作ではやはり一昨年拝見の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」での女戦士。
今回も舞台は違えど麻薬組織と戦うFBI捜査官と、ルックスは美人でありながらも男勝りな役柄。
クールで強い女性キャラのイメージが定着しつつありますが、
今回は女を感じさせる弱い部分もあり、また魅力的な女優さんです。

アレハンドロ役のベニチオ・デル・トロ
まだ未見ですが最近では「エスコバル 楽園の掟」で麻薬王を演じている。
なので役柄は違えど本作との関連性もあり見比べたい。
今回の作品は彼が1番演技的にも良かった。
それだけにもっと深く描いて欲しかったかなとも思う。

マット役のジョシュ・ブローリン
去年は「エベレスト 3D」「インヒアレント・ヴァイス」(ベニチオ・デル・トロも出ていた)などで拝見。
今回も個性的な演技を見せる。

他にジョン・バーンサルも警官役で出ている。
「ウォーキング・デッド」の初期シーズンでのシェーン役でもお馴染み。
この人のイメージって、一見善人そうに見えて裏の顔は…なイメージか。
そのイメージもあって、この人が出てきた瞬間、何か裏がありそうな雰囲気したらやはり…
映画では「フューリー」とか脇ながらも強烈な印象を残す。



ドゥニ・ビルヌーブ監督らしいドロドロした闇の雰囲気たっぷりで、
演出もさることながらロジャー・ディーキンスの撮影がとにかく素晴らしかった。

ちなみにこのドゥニ・ビルヌーブ監督次回作にはあの「ブレードランナー」の続編との事。
あの名作SFだけに、この監督ならやってくれそうな期待と不安はありますが。
撮影には是非ロジャー・ディーキンスを起用して欲しい。
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