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2016年04月01日00:03

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MIRAI-JET

EVの本格的普及を考える上での制約のひとつは、航続距離であろう。フル充電で280km。都心部から諏訪湖に日帰り観光ができない航続距離である。国土交通省と経済産業省は、温室効果ガスの排出量削減と内需の活性化のために、EVの普及促進が重要であると考えている。
そこで、高速道路に給電用架線を架設する計画が進められている。高速道路走行中に充電残量の減ったEVは架線のある車線に移り、伸縮式のトロリーポールを伸ばして架線から給電を受けながら走行を続ける。これで、架線が整備された高速道路網の範囲なら、実質的に距離の制約なしに移動可能となる。尚、車体側に電力メーターを内蔵させ、電気代はETCで通行料と一緒に課金する構想だという。
コロンブスの卵のような計画だが、問題は言うまでもなく架線の敷設が安価迅速に進められるかどうかにある。これについてNEXCO中日本は、在来線鉄道が平行して走る上り勾配区間から優先的に工事を始めるとしているそうだ。というのは、在来線鉄道の既存の変電所から送電線をひいてきて登坂車線に架線を張るだけで良いからだ。工費は、高速道路沿いにブロードバンド回線を敷設する費用と大差ないというから驚く。具体的には、中央道上り線勝沼インター東側の、笹子トンネル手前の上り勾配区間に、JR東日本の中央本線の変電所から送電線をひく工事を、2017年4月1日から開始する計画である。

これは官民一体、異分野協同の一大インフラ整備プロジェクトである。危機感を募らせたのは、燃料電池車を擁するトヨタ-ホンダ陣営である。EVで高速道路を実質的にどこまでも行けるとなると、トヨタMIRAIの600kmというガソリン車をしのぐ航続距離でさえ、霞んで見えかねない。経済産業省の有識者会合「水素・燃料電池戦略協議会」で水素ステーションを2025年度までに現在の4倍の320箇所に増強する長期目標案の答申を得ていただけに、中央省庁に寝返りを打たれたとの思いも生じかねないだろう。
トヨタ-ホンダ陣営は自力で戦うことに腹を決めたそうだ。その際、航続距離ないしステーションの普及率で競争する途を避けたのは流石だ。そういうことは、かつてのビデオディスクの規格競争のような、誰も勝者になれない消耗戦に陥るおそれがある。
代わりに、エコカーに持たれがちなイメージを刷新する戦略に出る。すなわち、「エコカーは経済的な代わりにおとなしい」というイメージを打破するため、ケリの入った豪快な動力性能を提供する。それによって燃料電池車のブランドイメージを差別化すると共に、新規顧客層の需要を喚起する。具体的には、補助動力装置としてオプションで小型ジェットエンジンを装備する。
使用するデバイスは、米国で市販されているパワーボートのガスタービンエンジンを設計変更したものだ。大きさは特大ダイコンくらいで最大推力は1060N、これを車体床下の後端に一対装備するので、外観は大径の排気管が2本並んだように見える。尚、関連例としては、「ジェットエンジン付きパワーボート」の動画がYouTubeに出ており、参考になる。
https://m.youtube.com/watch?v=XzJXYh1cG2Q
(ジェットエンジンのパワーボート)

燃料は市販のハイオクガソリンでよいが、連続作動時間に関しては、最大推力では約20分で燃料タンクが空になる。急坂での追い越し加速など、ここぞという場面で火事場のなんとかというような爆発的な働きをさせるのが目的である。センターコンソールに設けられたレバーを作動位置に入れると、アクセルペダルの踏み込み量に連動し、主動力のモーターと協調制御されて作動する。騒音と高温排気に起因する問題を低減するため、車載ETC端末がクルマが高速道路本線上にいると認識している場合のみ作動する。
オプション価格は189万円(!)、来年度(2017年4月1日〜)目標のオプション付帯販売台数は20台。購入には、自動車安全運転センター(警視庁所管の特別民間法人)が発行するSD(セーフティー・ドライバー)ゴールドカードの提示が必要。
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