mixiユーザー(id:6393203)

2016年03月21日21:06

176 view

「AI碁」歴史的勝利の衝撃 レジェンド棋士5人はこう見た

「AI碁」歴史的勝利の衝撃 レジェンド棋士5人はこう見た
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=125&from=diary&id=3908349

>>>>>
 囲碁でコンピュータが勝つのは、10年以上先のこと――。これが囲碁界の主な認識だった。従来のコンピュータはトッププロにハンディキャップをつけないと対等に戦えない実力で、アマ強豪といった棋力だった。

 囲碁は将棋やチェスに比べて盤が広いので、手順も長い。変化も、チェスが10の120乗、将棋が10の220乗に対し、囲碁は10の360乗。将棋より140コも多くゼロがつく桁数も変化があるということだ。また、駒の動きが決まっているチェスや将棋に比べ、囲碁は石の価値が状況や場面ごとに変化していき、コンピュータに認識させにくい。

 そんな背景があり、チェスや将棋のトッププロがコンピュータに負けても、囲碁はまだまだ、と思われていたのだ。

 ところが……。

 2016年3月9日〜15日。世界チャンピオンを何度も獲得した韓国の棋士・李世ドル(イセドル)九段(33)と、米グーグルグループ・ディープマインド社製AI(人工知能)「AlphaGo(アルファ碁)」の五番勝負が行われ、なんと、AIが4勝1敗で勝ち越したのだ。

 この衝撃的な状況を、囲碁界はどうとらえているのか。碁界を代表する“レジェンド棋士”5人に話を聞いた。

【日本棋院の元副理事長 小林光一名誉棋聖・名誉名人・名誉碁聖(63)】

「こんなに速く、強いソフトが誕生するとは驚きです。ここ10〜20年はたいして進歩していませんでした。僕が生きているうちは無理だろうと予想していたのですが……。

 碁は変化が無限大。一局一局違う未知の世界。一手ごとに状況や形勢がかわるほど、価値判断も難しい。対局していてもわからないことだらけ。なので、碁界ではAIが碁に最適というのは昔から言われていました。

 コンピュータとの対戦は、相手がいるようでいない。気合いが入りにくい状況です。とくに李世ドル九段は、実戦派で、相手との駆け引きに長けている天才。世界のトップ棋士の中で、李世ドル九段が一番、コンピュータが苦手なのでは。もっと学究肌タイプの棋士ならいい勝負をしたのではないかと思います。

 各マスコミが大々的に報じて、社会的にも話題になった。注目を浴びることは碁界にとってマイナスなことはない。

 グーグル社が大金を使い、AIで囲碁の研究するほど、囲碁がすごいものだと多くの人に理解してもらえ、興味を持ってもらえたことでしょう」


【日本棋院理事 元・女流本因坊の小川誠子六段】

「アルファ碁の強さに驚きました。中盤から後半がとくにしっかりしています。コンピュータなのに、感情が入っている気がしたくらいで、李九段とは人間同士の碁のように楽しみました。

 アルファ碁作者のインタビューを読んだのですが、李世ドルさんと打たせたいという熱い思いがあったというのも、感銘を受けました。

 1局目を打ってみて、李世ドルさんはアルファ碁をそんなに強いと思わなかったかもしれませんが、アルファ碁は1局ごとに強くなっていくようでした。反対に、どんどん李世ドルさんは疲れていっている感じ。心も折れたのではないでしょうか。

 そんな中で4局目を李世ドルさんが勝って。なんかウルウルきちゃいました。シリーズが終わり、「今回、負けたのは李世ドルの負けであって、人類の負けではない」と、態度も立派でした。

 あの環境の中で最後まで打ったことは、勝ち負けに関係ないくらい感動しました。これから何かが変わる気がします。時代が変わりそうな予感がしました」


【元・名人の依田紀基九段(50)】

「始まる前は、李世ドル九段が全勝すると予想していました。

 昨年秋に打たれたアルファ碁とヨーロッパチャンピオンとの碁を見て、まだまだだと思っていたのだが、李九段との対局中にもどんどん強くなっている印象で、3局目は完璧な打ち回しでした。アルファ碁の強さは疑いようがないレベルです。

 ただ、アルファ碁は李九段を研究できたでしょうが、李九段はアルファ碁の情報が少なすぎて研究ができなかった。なので、こんなに強いとは予想できなかった。不利な面も多分にあったと思います。

 アルファ碁の出現が、棋道の発展に大いに寄与してくれることでしょう」

【東京大学客員教授の石倉昇九段(61)】

「アルファ碁は非常に強かった。従来のコンピュータは接近戦が強かったのですが、アルファ碁は大局観があることが素晴らしい。

 これは囲碁界にとってはプラスです。新しい考え方が生まれ、これまでの常識や定説が覆っていきます。碁の考え方が向上するでしょう。

 故・藤沢秀行名誉棋聖が「碁の神様が“100”わかっているとすると、自分がわかっているのは“6”」というほど、プロがわかっている世界はまだまだ少しだけ。それだけ囲碁は広いのです。

 

 李九段は本来の力が全然出ていません。プレッシャーがすごかったことでしょう。相手が目の前にいるようでいない。これはすごいマイナスなこと。李九段がふつうの心境・状況での対局を見たかったですね。


【日本棋院顧問・元理事長の大竹英雄名誉碁聖(73)】

「みなさん、アルファ碁の強さにびっくりされたことでしょう。私の予想より10〜20年早く強くなりました。我々はコンピュータから学ぶことが必要です。

 世の中にはアルファ碁を作ってくださるすてきな方がいらっしゃるなんて、感心しています。アルファ碁を作ってくださった方々に、心から尊敬と敬意を表します。

 みなさんには碁盤の持っている広さを感じていただけたことでしょう。アルファ碁には、人間の雰囲気が感じられるのが嬉しいことです。

 ただ、4局目。最後のほうで突然、品のない手を打ち出しました。機械といえども、品が大事。そこのところを研究者の皆様にも考えていただきたい。人間も、コンピュータも、碁盤への挑戦ですから。

 囲碁を通じての世界平和を。これが大切。世界中の人が仲良くできるよう、世界平和に囲碁が役立てるよう、囲碁を見直していただければこんな嬉しいことはありません」

* * *

 アルファ碁の出現をほとんどの棋士が歓迎し、ネガティブに捉える声はまったく聞こえてこなかった。強い棋士がひとり誕生した。みな、そんな捉え方をしているようだ。

 アルファ碁は棋士の発想にない手、常識外の手を打ち、勝った。「悪そう」に見えた手も、局面が進むと悪い手ではなくなる。

「悪い手」と「悪そうな手」には、大きな差があること。これまでの定石や常識を疑い、さらに研究しなければならないこと。それらはアルファ碁が世に出てきたことで、棋士が感じたことだ。まだ研究する材料があり、まだ強くなれる。

 碁はまだまだ発展できる――。アルファ碁が囲碁の明るい未来を感じさせてくれたのだ。

●文/内藤由起子(囲碁ライター)
>>>>>

囲碁棋士の発言はいいなぁ。なんか人間性がいいな、と感じることが多い。もちろん、実際は嫌な奴もたくさんいるだろうけど。

さて、普段の解説でも、これはプロには思いつかない手というのがある。また見損じというのもよく起きる。

プロの頭の中で何が起きているかはわからないが、どうも、すべての手を読んでいるのではないことだけは確からしい。

アマチュアにとっての盤面の広さとプロにとっての盤面の広さは意味が違う。よく知らない人は、すべての手を読んでみない限りはっきりしたことは分からないと考える。それはAIでも不可能なことである。

すると、脳としてもどうすればよいか分からないから、途中で読んだり考えるのを中断することになる。ここで次の方法が見つからなければ、面白くないゲームということになる。

つまり、全ては読めないとしても、何等かの方策もあるし、方針を立てれば、さらに先に進むことができるのではないか。ここからが、本当の発想の始まりとなる。

それはホワイトアウトした山でなんとか生き延びようとするのにも似ているだろう。そこでの決断とは根拠はない、しかし、状況からみて、自分はこう考えるというものが根拠となる、根拠にするしかない。

囲碁ならば石の働きとは効率という考えもあるし、筋場だったり、厚みという考えもある。碁盤の広さを信じるという考えの人もいれば、常に厳しい手を選ぶという人もいる。

もちろん、人と人の争いであるから、手が読めなくとも、脅したりすかしたりはったりをかます戦い方もある。また相手の考えが自然と分かるときもあるだろう。それがおそらくAIにはない、という点が全く新しい戦いだったのだろう。

米長も言っていたが、コンピュータは後半は間違えない、故に勝負は前半にしかない、と言っていた。囲碁も時期に寄せはコンピュータに聞けという時代がくるだろう。

それほど、すべてを読むことの力は大きい。結局、強い人は読みの深さというものが決めてになる。それはより遠くを見れるレーダーを持った軍隊が圧倒的に強いのと同じだろう。

だけれども、プロならこの手は読まない、この手は思いつかない、という話を聞く限りでは、ならば、名人といえども知らぬ手はある、という話になる。それはいくら強い剣豪といえども死は免れないのと同様だ。強い剣士がコレラで幾人死んだことか。

それでもプロたちは、その限られた根拠の中で決断するしかない。それがどういう意味を持っているか、それがどういうドラマを生むかもわからないが、そこに何かがあると信じているわけである。

すると我々はどういう手が、よりもなぜこの手をという考え方の根拠にこそ面白さが潜んでいるかもしれないと考えるのは当然である。プロの手など我々には打てぬのは当然としても、その考えの根拠であるとか、考え方の筋道ならば、理解できる部分もあるだろう。

そこには石の働き、効力というものがあって、それがどうリンク、連結してゆくかが重要な話になる。さらに部分である局面の勝敗と全体の大局観との関係など、面白さが潜んでいるはずであるし、それをベースとしたドラマだってきっと描けると思うのだ。

ドラマの原作となる棋譜が世の中にあってもいいではないか。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年03月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031