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2016年03月14日00:09

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今週の科学ニュース−3月13日

 皆様、こんばんは。先週の暖かさから一転して、今週は寒い日が続きました。体調にご注意ください。

「醜い」動物の研究、人気のなさに警鐘(豪マードック大学)
 オーストラリアのMurdoch Universityの生物学のFleming准教授らは、論文の中で、(少なくともオーストラリアでは)見た目の良い人気のある動物か害獣にばかり目が行っていて、人気の無い「醜い」動物に関する研究が少ない、このことは、生態系を理解する障害になる、と警鐘を鳴らしました。ただ、元研究者から言わせていただきますと、誰もお金を出してくれない分野の研究を行うことは難しく、(お金を出す側にとって)人気・関心のある研究に偏るのは仕方の無いことと思えます。論文は、「Mammal Review」誌に掲載されていますが、これは研究者向けの雑誌ですので、できれば同時に一般向け雑誌や新聞に掲載されるべき文章だと思われます。つまり、お金を出す側の意識を変えない限り、この傾向は続くものと思われます。
Murdoch Universityの該当HPはこちら
Mammal Review誌の該当論文はこちら

ペットボトルを分解する細菌、慶大など発見 リサイクル実現へ
 一般的にプラスチックは生分解性が無いので、土に埋めても腐らないし、再利用にも時間とコストがかかってしまうのが普通です。特に、飲料のボトルに多く使われるPET(Polyethyleneterephthalate)は、容器包装リサイクル法で再商品化が義務づけられているプラスチックですが、一度製品化されると劣化が見られるため、ガラス瓶のようにボトルだったものが再びボトルに再生させることが簡単にいかない欠点がありました。今回、慶応大学と京都工芸繊維大学などの研究チームは、堺市の土壌から分離・培養した細菌の一つがPETを低エネルギーで分解することを突き止めたと発表しました。(これは、昨年ノーベル賞を受賞した大村先生の研究方法と同じやり方です。)この細菌は、PETをモノマーに分解したあと、エチレングリコールとテレフタル酸に分解し、最終的に二酸化炭素と水に分解してしまうとのことで、モノマーで反応を止めることができれば、かなり安価に高品質のPETを再生産することができるものと考えられます。まだ確認することはたくさんあるようですが、実用化が期待される発見です。
慶応大学のプレスリリースはこちら
京都工芸繊維大学のプレスリリースはこちら
Science誌の該当論文のAbstractはこちら

シジュウカラに「文」作る能力=人間以外で初確認(総合研究大学院大学)
 総合研究大学院大学の研究チームは、(チンパンジーにもできない)単語を組み合わせて文章を作成する能力があることを確認したと発表しました。とはいえ、まだ一種類の文章の確認にとどまっていますが。発表内容によると、シジュウカラの「警戒せよ」という鳴き声と、「集合せよ」という鳴き声をスピーカーで流したところ、「警戒せよ」という鳴き声であたりを警戒し、「集合せよ」という鳴き声でスピーカーの方に飛んでくることが確認され、「警戒せよ」と「集合せよ」を連続して流すと、あたりの様子をうかがってからスピーカーの方に飛んできて、「集合せよ」を流してから「警戒せよ」を流した場合は無反応だったとしています。このことは、単語単独を理解しているだけでなく、「警戒して集合せよ」と言う「文章」を「集合して警戒せよ」と区別して理解できることを示しています。鳥は小鳥でも意外と頭が良いようです。
総合研究大学院大学のプレスリリースはこちら
Nature Communications誌の該当論文はこちら

メキシコの海岸で“未知なる生物”発見か
 メキシコはアカプルコの砂浜で、今まで見たことがない生物の死体と思われる物体が打ち上げられているのが発見されたそうです。動画を見ると、クトゥルー系のなにかのように見えます。果たして、これは何なのでしょうか。謎は尽きません。

・Google アルファ碁ソフト搭載のコンピューターが世界第4位のプロ棋士に三連勝
 読売新聞…第一戦でアルファ碁勝利
 読売新聞…第二戦目もアルファ碁勝利
 読売新聞…アルファ碁人間に三連勝
 読売新聞…四戦目で人間が一矢報いる
 「歴史に残る日が何だかしれっと訪れた。」吉川一 二段→全くこの言葉がすべてを表しているように思います。その計算の難しさから、将棋は人間に勝てるようになっても、囲碁はあと10年はかかると高をくくっていましたら、このほどソウルで行われたGoogle社開発のAlphaGoと世界四位の強さを持つと言われる韓国のイ・セドル九段の対戦は5番勝負の最初の3番をコンピューター側が三連勝するという衝撃的な結果を示しました。なんでもソフトの方で学習機能を改良した結果とのことですが、驚くべきはプロ九段に勝利するのに必要なハードが、約170枚のグラフィックカードと1,200の標準的なCPUからなるコンピューターネットワークでできていることだと個人的には思います。これは、日本最強のスーパーコンピューター「京」がCPU88000個(しかも、カスタムメイドのCPU)を搭載していることを考えると、驚くべきソフトの軽さと言えると思います。シンギュラリティも近いかもしれません。
 各関係者の(ツイッターでの)コメントを集めたHPはこちら。関係者の狼狽ぶりがよくわかります。

 では、今週はこの辺で。
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