安易な怒り、安易な国会前デモ

待機児童問題は確かに深刻で困った問題ですが、すぐに対策して解決できる問題ではありません。

待機児童について世の母親が困っている事は事実ですし、それについて怒りを覚えるのも分かります。ただ、自分の主張の為に都合の良い解釈と揚げ足取りは関心しません。


■ 安倍首相の答弁

記事には非常に悪意があり、要点を見ていない安直な記述があります。

＞山尾志桜里議員（民主党）に対し、安倍首相はこう冷たく返答した。
＞「実際どうなのかというのは、（書き込みが）匿名である以上、実際にそれが本当かどうか
＞ということも含めて、私は確かめようがないのでございます」

本当に山尾議員とのやりとりを聞いていたのか疑問です。

まず、阿部首相は 「冷たく返答」 など一切していません。山尾議員の発言です。

「日本死ねという投稿があり、（中略）大反響を読んでいます。総理、この投稿について…あ、もしかしてご存じありませんか？」

その返答として、記事にあった

「匿名である以上、それが本当かどうかも含めて私は確かめようがない」

という発言があるのです。

これはネット上の匿名の投稿である以上、首相がそれを「事実である」と認めることはできないのは当然であり、至極普通の発言です。

私を含め、誰もその事実を確認できない。なんなら私も同じように投稿することだってできますよ。その人に本当に落ち度はなかったのか？そこにどういった事情があったのか、それこそ「それが本当か」どうかも分からないのですから、国会でそれを「事実」と言う訳にはいきません。


■議員のヤジ

「出典はないんだろ出典は」，「誰が言ったの」 はその通りです。

本人に会って聞き、更にどういう状況だったのか調べ、その上で現政権の脆弱性を発言するのであれば、この投稿が「事実」であるから対策が必要と言えます。

「本人出てこいよ」 は確かに違います。

ですので、この発言に怒りを覚える事は問題ありませんが、逆に言えばヤジがこれ一つだったとしたらそれほどに問題視するものでしょうか。

正当な理由な安倍首相の答弁、その他のヤジはあくまでも問題ないのに十把一絡げにしているから私としても「安易な怒り」と言わざるを得ない。


■ 順番を忘れた「安易な国会前デモ」

「『誰が書いたんだよ』と言うならば、書いた内容に賛同する人達が国会前でデモすれば、事の重大さが分かるか？そこまでしなきゃ分からないお馬鹿が国会議員だという時点で日本は既に死んでるよ。ヤジ飛ばした議員、辞職しな！」

この人の発言も問題ですね。

恥を知らない集団のデモが跋扈したせいで、国会前デモ（本来は道路使用許可がおりないので出来ないデモ）が当たり前だと勘違いしている節がありますね。

では今回の問題が国会前デモに相当する程の大きな問題でしょうか。否です。

確かに深刻で、可能な限り早急な解決が望まれますが、山尾議員所属の民主党時代は軽く扱われ特に改善がありませんでしたが、安倍政権では緩やかではありますが、確かに改善され、それは今後も政策が打ち出されています。

更に、この発言の人やデモの人に問いたい。では貴方達は

『待機児童問題の事についてどれだけ知っていますか？』
『前政権から現政権への変遷についてご存じですか？』
『現政権の対策とそれに対する問題点、改善点は熟知してますか？』

ということです。

本来は国会前デモなどで政策が変更されるのであれば、選挙で代表を選出する民主制の否定ですよ。民主主義ではありません。逆に言えば、デモを行うという事は国民と政治家の考えの隔たりが大きく、まるで反映されていない場合などに行う最終的な手段です。安易に起こすものではありません。

そしてそこまでするのであれば、その程度の勉強も議論も成され、その上で自民党議員に訴えてもどうにも改善されない時である、ということです。

良く知らない人は批判してはいけないという事ではありませんよ？そこまで仰るなら余程詳しいのでしょうね、ということです。

そもそも、“日本死ね” 発言をした人はどれだけの努力と挫折を以てその発言をしたのでしょうか。

賛同する人は「皆の代弁」だと仰ってますが、ネット情報を信じるなら、この人は初めての娘（一人目）で1回落ちただけでしょう。ここまで語気を荒げて主張する程に酷い仕打ちをされたとは思えません。1人目も2人目も、しかも何度も落ちてどうにもならなかったという人とは違うんです。

それなのに “日本死ね” ですからね。本人の人間性を疑われても仕方ありません。

待機児童がゼロで無い以上、必ず落ちる人がいます。それを1度でも落ちる人がいないよう真っ先に改善しろというなら、他に回している税金をそこに注入するということです。世の中がそのようにある一点を全く非がない程に対策するとなると他は必ず疎かになりますが、どうせそうなったらそれはそれで文句を言うのでしょう。きりがありません。

ともあれ、デモや“日本死ね”発言のようなものは、それなりに問題と向き合ってきた人が行うべきであって、むかついた程度で行う事は程度が低いと言わざるを得ません。


■ メディアも程度が低い

吉永みち子 ： 「国会答弁は保育園に落ちて絶望している人たちを切り捨てた」
羽鳥慎一 ： 「ネットと国会との温度差を「溝っていう表現じゃ、もう言えない」」

安倍首相は一言も切り捨てるような事は言ってませんし、むしろ大きな問題として現在も対策をしているが、それだけでは足りないとして具体的な例まで言及してます。

そして匿名のネットで、かつ問題を十把一絡げにしている集団を私は民意と安易に呼びたくありません。国会との温度差を指摘するなら、本来私を含めた国民がもっと政治に関して勉強しなければいけないのです。


■ 山尾議員の酷さ

番組では「実際の現場をどう改善していくかという建設的な議論をして欲しかった。論点がズレてる」とも言っているが、論点をずらして建設的な議論をしなかったのは安倍首相ではなく、山尾議員（民主党）です。

山尾議員は昨年11月の講演で安倍首相の発言の揚げ足をとり、しつこく曲解主張していました。

安倍首相は

「待機児童は前年より増えた。第2次安倍政権発足以来、女性の就業者が99万人以上増えたから無理もない。その意味でうれしい悲鳴ではあるが、待機児童ゼロは必ず成し遂げなければならない」

と述べ、それに対し、山尾議員は

「待機児童が増えた事を 『うれしい悲鳴』 と言う。理屈、感情両面で不適切だ」

と発言しました。安倍首相の返答は

「私は待機児童が増えた事をうれしい悲鳴だと言った事はありません。『その意味で』 とは、“就業者が99万人以上増えた” という所においている訳で、普通の読解力があれば分かるのではないか」

としています。全く持ってその通りで、安倍首相の発言のどこをどう解釈したら 『待機児童が増えてうれしい悲鳴』 となるのか分かりません。また、安倍首相は「待機児童ゼロは必ず成し遂げてまいります」とも言ってます。

その後も安倍首相の答弁の内容をきちんと聞いていたのか疑問なほど、同じことをまたもや曲解して繰り返し

「自民党員もこの投稿の話をした、総理は本当に有識者の話を聞いていない、一方総理は“うれしい悲鳴”という発言、総理には言っても無駄と思ってる、待機児童が増えてうれしいと言ってないと総理は言ってるが“日本死ね”投稿を聞いても（うれしい悲鳴）発言を撤回しないのか、子育て世代を踏みにじる発言…」

と、主張は具体的な政策などかすりもせず、あくまでもそういう意味ではないと説明もあった「嬉しい悲鳴」発言を言った言わない、撤回しないのか、それ以外は総理に対する誹謗中傷、文句だけです。

軽減税率や年金などの話も絡めてはいますが、どうあっても待機児童に結び付けようと無理やりに持って行ってます。政策に対して話をしているのは安倍首相のみであり、山尾議員からは多少案のような発言もありましたが、具体性を伴わず、民主党政権時代同様、口だけ発言で実施できるようなものではありません。

“議論”というからには相手がいます。その相手の山尾議員に問題があるのですから、現政権を責める前に、山尾議員にもっと建設的な意見を述べるよう注意を促すべきです。


■ ということで・・・

保育園の数が増えない理由に保育士の給与の低さがありますが、平均年収310万円。これは地方では普通かそれよりも低い給与の会社員の方が結構います。逆に都会の方ではこれでは暮らしが厳しいでしょう。そういう意味では一律では難しく、かといって差をつけると不平不満が出る難しい問題です。

また、保育士の給料の一部は親御さんからの保育料もあります。低給与で保育士になりたい人がいない、でも保育料を値上げしたらそれはそれで怒る。税金で負担すれば増税につながり、また怒る。

どこかで折り合いをつけないといけないのに、「安易に怒る」人たちからはそういった話も案も何も無い。簡単に目の前の出来事に同調して周囲に当たり散らす様は、こちらとしても溜息しかでない。

私は子供の頃、こう教わりました。

『相手が8割悪かったとしたら、2割は自分に悪いところがあるということ。相手に反省を促すのは難しい、だが自分で反省するのは、今すぐにやろうと思えば簡単にやれることだ』

相手に問題を提示し、改善や反省を促す事もしますが、私はまず問題があった際に自分自身を振り返ります。その上で自分に反省すべきところがあれば先にそれをします。

安易な怒りにまかせ、安易なデモを行うより、まずは我が身を。
それが済んだら、罵詈雑言ではない話を、議論をしていくべきだと思います。



■ツイッターのハッシュタグ「 #保育園落ちたの私だ 」に母の怒り殺到　国会前の抗議行動に発展
(キャリコネ - 03月04日 20:41)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=210&from=diary&id=3883126