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2016年01月24日11:34

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佐藤一斎 言志録 第59条 患難は才能を磨く




【現代語訳】
我々が出会うところの、苦しみ悩み、変った出来事、恥かしめをうけること、人から悪くいわれることなど、困ったことのすべては、天が自分の才能を成熟させようとの試練であって、そのどれもが徳を積み、学問を励ます糧となる。だから、立派な人になろうとしている者は、このようなことに出合ったら、これをどう処理するかだけを考えるべきで、決して逃げたりしてはいけない。


【書き下し文】
凡そ遭う所の患難変故、屈辱讒謗、払逆の事は、皆天の吾才を老せしむる所以にして砥礪(しれい)切嗟さの地に非あらざるは莫なし。君子はまさに之に処する所以を慮(おもんばか)るべし。徒(いたず)らに之を免れんと欲するは不可なり。

※払逆・・・心に合点のいかないこと

【解説1】
道元禅師の『正法眼蔵随聞記』はこういっている。
「玉は琢磨により器となり、人は練磨によって仁となる」と。そして「いずくの玉かはじめより光り有る、誰人か初心より利なる。必ず磨くべし、すべからず練るべし。自ら卑下して学道をゆるくすることなかれ」と続く。すなわち、玉は磨くことで初めて価値が出る。人もみずから磨き鍛錬して、初めて真の人となる。世の中には初めから光り輝いている玉があるだろうか。初めから優れた働きをする人がいるだろうか。とすれば、必ず磨き、必ず鍛錬すべきである。決して能力や素質がないと自ら卑下して道を学ぶ努力を怠ってはいけない、というのだ。
昔から「若いときの苦労は買ってでもせよ」というが、どうも近ごろの若者は苦労に立ち向かうどころか逃げてばかりいる。これは若者が悪いわけではない。親や社会が甘やかしすぎたのだ。逃げていては何も変らない、それどころかもっと悪くなる。
・・・・岬龍一郎「言志四録」より。

【解説2】
孟子に有名な次の句がある。
「天のまさに大任をこの人に降ろさんとするや、必ず、まず、その心志を苦しめ、その筋骨を労し、その体膚を餓(うや)し、その身を空欠(くうぼう)し、行ひ為すところに払乱せしむ」。

また西郷隆盛の有名な詩にも、
「幾度か辛酸を経て、志始めて堅し。 丈夫玉砕して甎全(せんぜん)を恥ず」。 ──西郷南洲遺訓 五条
(人の志、信念というものは、幾度も幾度もつらいことや苦しい目にあってのち、はじめて固まり定まる。真の男子たるものは、玉となって砕けることを本懐とし、志を曲げて、つまらない瓦のようにいたずらに生きながらえることを恥とする)とあります。
・・・・川上正光「言志四録」より。

天はなぜそのようなことをするのでしょう。それは、その人の心を鍛えその人を忍耐強くしできないことをできるようにさせるためです。



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