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2016年01月20日13:43

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2月初頭に劇団・解体社のトークイベントで東京へ、そして交流会を


 2月2日(火)に東京へ行く。目的は、劇団・解体社の公演「セリーヌの世紀」の第二部「虫けらどもをひねりつぶせ」の上演後のトークセッション「皆殺しのための戯言」に参加するためだ。劇の第二部のタイトルも、トークセッションのそれも恐ろしいが、いうまでもなく、これはセリーヌの反ユダヤ主義の作品に拠る。  G・スタイナーによれば「1937年、セリーヌは『みな殺しのための小曲』を発表した。その中で彼は、ユダヤ人をヨーロッパから根絶せよとの叫びをあげ、彼らを、文明がその活力を取り戻し平和が維持されるためには、徹底的に除去されなければならない悪臭、人間以下の屑、として描写している。世紀の変り目頃、いわゆる『シオン調書』なるものの偽造と関係のあるあやしげなパンフレットがいくつか東欧で出版されたが、それを除くと、セリーヌのこの小冊子は、後のヒトラーの<最終的解決>になったことを公然と提唱した最初の文書だった。」(『脱領域の知性』) まさに、いわくつきの反ユダヤ主義の、しかもホロコーストを要請する内容の文書であり、当然だが、数多くの批判の的とされてきた。スタイナーはさらにセリーヌよりも、理論的であり組織的でもある反ユダヤ主義の作家としてリュシアン・ルバテの名をあげているが、セリーヌの文学やルバテの文学については、それを評価する声も高い。問題は、スタイナーがいうように、優れた文学的営為と、野蛮なホロコーストの肯定が、セリーヌやルバテにおいて両立していることであり、スタイナーもいうようにサルトルが『文学とは何か』でいうような文学の人間性に対するアンチ・テーゼであることだ。それゆえ、よくあるような人間性の立場からセリーヌやルバテの殺戮の思想や表現を批判しても、お決まりのヒューマニズムに落着するだけであり、そしてそのようなヒューマニズムは、その無力性により生きのびるだけだろう。ここで問われなければならないのは、誰もが納得し、支持するヒューマンで肯定的な思想や表現ではなく、そのようなことでは思想も表現も出来ないものとは何かということだ。上記したようにトークセッションのタイトルは「皆殺しのための虚言」という恐ろしいものだが、それに負けない、つまり、恐ろしさを突き抜けるような徹底性、あるいは過激さを持つ内容のトークに出来ればと考えている。  私は、エルンスト・ユンガーというドイツの文豪に取り組んでいるが、ユンガーもその初期においては、徹底的な戦争肯定の思想や「ナチの先駆」とされる立場と、鋭角的な思想と優れた文学表現との両立が問題となり、現代のドイツで最も論議された問題的な作家でもあった。ユンガーが戦争肯定で示したことは、よくあるような反戦やヒューマニズムによっては捉えられない問題でもあった。  興味のある方は、足を運んでいただければと思う。トークセッション後は、その二次会となり、よくあるように、さらに濃密な話が展開される場になるかもしれない。


 東京には数日、滞在する予定であり、3日(水)は、交流会を持つ予定。大阪では毎月、定例の研究会や交流会をしているが、東京は、数年前に飯田橋近くで催された元高校全共闘の集い以来、数年ぶりであり、在東京&関東の人たちと膝を交えて、諸般の事共の現在的な状況について話し合ったりしたい。交流会そのものは、午後6時頃から予定しており、交流会では、昨年の夏に刊行した拙著『思想としてのファシズム──「大東亜戦争」と1968』(彩流社)の内容について、分からないところや疑問点があれば、それに答える場にもしたいと思う。交流会は午後6時からだが、私は昼間も時間があるので、もし時間の空いている人たちがいたならば、東京の街中を歩きながら、あれこれと歓談したい。  交流会の場その他については、追って、この近況へのコメント欄において告知するので、興味があったり、顔を出してみようと言う方は、適宜、参観してもらいたい。

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劇団・解体社から

トークセッション「皆殺しのための戯言」
2/2(火)20:00からの上演終了後
於:左内坂スタジオ

セリーヌの世紀 三部作 第二部「虫けらどもをひねりつぶせ」
今月末1/28(木)より2/2(火)まで毎夜20時からの上演となりますが、最終日の2/2(火)の回の上演終了後に、思想家(イデオローグ?)の千坂 恭二氏を大阪よりゲストに迎えて、「皆殺しのための戯言」と題したトークセッションを開催することとなりました。演出の清水も登壇し、制作・パフォーマー の森澤が司会を務めます。なお、この日に限らずいずれの回かの上演をご観劇の方は、どなたもご参加いただけます。
千坂氏の詳しいプロフィールや発言等はWikipediaやtwitter、Facebookをご参照いただければと思いますが、エルンスト・ユンガーの ドイツ・ファシズムを特権的な対象とする氏と、フランス・ファシズムの文体/神経的結晶としてのセリーヌを対象とする解体社の上演との間に、いまひとたび の独仏同盟は成立するのか!?
東京では貴重な機会ですので、「総動員」の時代の表現/暴力をめぐって、大阪弁でなされるスリリングな言論空間にも、ぜひご期待いただければと思います。
ご予約は下記より。
http://www.kaitaisha.com/booking_trirogy_celine.html


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