mixiユーザー(id:39816565)

2016年01月17日14:45

159 view

ブリッジ・オブ・スパイ(Bridge of Spies)


 

 スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演、ジョエル&イーサン・コーエン脚本と、いずれもアカデミー賞受賞歴のあるハリウッド最高峰の才能が結集し、1950〜60年代の米ソ冷戦下で起こった実話を描いたサスペンスドラマ。保険の分野で着実にキャリアを積み重ねてきた弁護士ジェームズ・ドノバンは、ソ連のスパイとしてFBIに逮捕されたルドルフ・アベルの弁護を依頼される。敵国の人間を弁護することに周囲から非難を浴びせられても、弁護士としての職務を果たそうとするドノバンと、祖国への忠義を貫くアベル。2人の間には、次第に互いに対する理解や尊敬の念が芽生えていく。死刑が確実と思われたアベルは、ドノバンの弁護で懲役30年となり、裁判は終わるが、それから5年後、ソ連を偵察飛行中だったアメリカ人パイロットのフランシス・ゲイリー・パワーズが、ソ連に捕らえられる事態が発生。両国はアベルとパワーズの交換を画策し、ドノバンはその交渉役という大役を任じられる。(映画.comより)







この映画、実話が元になっているんですね。トム・ハンクスはさすがの貫録。実直な男を一分の隙もなく演じています。また、「こんな男が本当にスパイか」と思わせるほどの見栄えのしない初老の男アベルを演じたマーク・ライランスが出色です。この映画は彼で持ったと言っても過言ではないと思います。

背景は冷戦時代の1950年代。米ソは躍起になってスパイ合戦をしていた頃。早く言えば、お互いのスパイを時期は少しずれていたとはいえ捕まえ、機密を知られたくない両国がお互いにスパイの交換を申し出るというもの。その誠実さから「誰もが平等に裁判を受ける権利がある」と、アメリカ国民でありながらソ連スパイの弁護を受け持ち、死刑を免れさせたドノバン(トム・ハンクス)が、ここに来てスパイ交換の交渉という大役を担うことになります。

最初はお互いのスパイを一対一で交換するはずでした。それだけなら話は早かったのです。ところが、ちょうどベルリンの壁を建設し始めたときのどさくさで、アメリカの学生が捕まってしまいます。彼はたぶん素人です。でも、東側はそう簡単には解放してくれません。やっぱり疑っているのです。アメリカの政府筋は「ほっとけ!こんな時期にソ連の政治学を勉強している方が悪い。自業自得だ」と、さっさと元来のスパイ交換を済まそうとします。なるほどもっともですね。しかし、「正義の人」ドノバンはあきらめません。「”二人対一人”で交換するんだ。それまで帰らない」と言い張り、なにがあっても学生を連れ帰ろうとします。すると、彼を拘束している東ドイツが、「東ドイツを一国として認め、同等に扱うべき。こちらこそ一対一で交換するなら応じよう」と、国の威信を懸けて交渉に臨んできます。ややこしいですね。私は、この時代の(今の時代でもそうですが)国同士の交渉術をよく知らないので、どちらの言い分がもっともなのかはよくわからないのですが、やはりこちら(アメリカ)の人質が一人なんだから、後から条件をつけ「二人で」などと言い出したアメリカのほうが、分が悪いんじゃないでしょうか。もちろん、罪のない一国民は救われるべきだとは思いますが。

しかし、誠実なドノバンは折れません。交換のキワのキワまで可能性を探り続けます。史実は史実。映画にもなってますし、結局ドノバンの正義が通るわけです。東ドイツの外相には気の毒でしたが。なんだか「大国のエゴ」を見たような気もしました。そんな単純なものではないかもしれませんが。

ともかく、少し長いですが、秀作です。スパイ交渉を主軸におきながら、さりげなく「ベルリンの壁」の悲惨さも盛り込み、見るものに衝撃を与えます。今までいくつか見た、「壁」に関する映画を思い起こしました。タイトルはめっきり思い出せなくなっている今日この頃ですが(笑)。

お勧めです。

1 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する