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2016年01月13日14:27

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北にだまされ続けた二十余年の道程 古森義久

 下記は、2016.1.9 付の産経新聞の【緯度経度】です。

                        記

 北朝鮮の核武装目的の爆発実験と核兵器保有の公式宣言には、1990年代からその動きを追ってきた記者として「ついに」という負の感慨を禁じえない。思えば北朝鮮に米国など主要諸国が操られ、だまされ続けた二十余年の道程だった。

 1994年の米朝核合意では、北朝鮮は軽水炉の建設や経済援助と交換に核爆弾の製造をやめることを誓っていたのだ。そんな「誓約」が虚偽となる複雑な展開がその後、続いてきた。

 ワシントンではいま、北朝鮮への非難とともにオバマ政権への糾弾が噴出してきた。共和党側の大統領候補たちは「オバマ政権の無策」を責め、とくに同政権の国務長官だったヒラリー・クリントン氏が北朝鮮に対して唱えた「戦略的忍耐」策に非難の矢を浴びせ始めた。忍耐をすれば事態は好転するという楽観こそが、いまの事態を招いたのだという批判である。

 今回の事態は、超大国の米国の対外戦略とその米国を手玉にとる北朝鮮の虚偽戦術の長い経緯と、無法国家の核武装という国際危機の現在の広がりという、縦と横の両次元での考察が欠かせない。その観点から、北朝鮮核問題に90年代から取り組んできた前議会調査局朝鮮問題専門官で現在は戦略国際問題研究所(CSIS)研究員のラリー・ニクシュ氏に、見解を問うてみた。

 「米国主導の国連などでのこれからの北朝鮮制裁の動きは、オバマ政権が年来、中国とイランの真の役割の指摘をあえて避けてきたため、シャレード(みせかけ)だけに終わると思う。中国は公式には北朝鮮の核兵器開発への反対を表明しているが、現実には黙視してきた。イランは長年、北朝鮮の核開発に技術と財政の両面で協力してきた。オバマ政権はその両方の事実を正面から提起しないのだ」

 ニクシュ氏によると、中国は北朝鮮に石油と天然ガスを大量に供給し、金正恩(キム・ジョンウン)政権にとって不可欠な軍や党のエリート用の外国製ぜいたく品の確保をも支えてきた。もし中国が本気で北に核武装の放棄を求めるならば、それらの停止を通告すればよいのだが、そうはせず、オバマ政権も中国にそんな措置を求めようとしないというのだ。

 北朝鮮が核兵器や弾道ミサイルの開発でイランと緊密な協力をしてきたことはすでに知られている。当初は北朝鮮からの技術供与がほとんどだったが、最近ではイランからの供与も多くなった。北朝鮮の2013年2月の前回の核実験にはイランの技術者一団が立ち会ったという情報もある。

 「北朝鮮とイランのこの種の協力のため、機材や人員を輸送する航空機と船舶はみな中国の領空や港を通っていく。中国政府はそれを知りながら何もしない。オバマ政権も中国に阻止を求めることがない。イランとの核合意を別個に成立させることに熱心なあまり、北朝鮮とイランとの大量破壊兵器開発でのつながりが論議を呼ぶことを極端に嫌ってきたのだと思う」

 ニクシュ氏はこう解説したうえで、北朝鮮の今回の核実験の技術面での最大の狙いは核弾頭の小型化、軽量化による弾道ミサイルへの着装を可能にすることであり、現段階でも韓国と日本を射程におさめるノドン・ミサイルへの核弾頭装備能力はもう確立されたという不吉な分析を強調するのだった。(ワシントン駐在客員特派員)

 http://www.sankei.com/world/news/160109/wor1601090014-n1.html
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