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2016年01月07日12:27

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韓国軍予算決定 軍事費増額も「焼け石に水」 徴兵費用と不正で消えていくマネー

 下記は、2016.1.6 付の産経ニュース【軍事ワールド】です。

                       記

 韓国国会は2016年の国防予算を前年比3・6%増の38兆7995億ウォン(約4兆円)とする案を可決した。人口がほぼ倍の日本の防衛費(約5兆円)に比べてもかなりの高水準で、韓国の予算全体(約386兆ウォン)の約10%にあたる。しかし内実は火の車で、国防の要の徴兵制が致命傷となり「マネー」が消えていく悪循環に陥っている。新鋭軍艦の救命胴衣に粗悪な不良品が使われるなどの不正もマイナスに作用し、軍も経済も危険水域にある。(岡田敏彦)

 今も戦争中

 韓国の予算は12月3日に国会で可決した。うち国防費は前年比3・6%増とはいえ、軍が優先事項に掲げる新型戦闘機の開発予算は増額要求が却下され、わずか670億ウォン(約69億円)と絶望的な額に抑えられた。韓国の国防予算で最も重きを成すのは実は人件費で、その多くが徴兵制に起因する出費に充てられるのだ。

 韓国はいまだ北朝鮮と休戦中で、いつ戦争が再開されるかわからない状態にある。北朝鮮とは地続きのため、特に陸軍に膨大な人員が必要となるが、志願制では人員を充足できないため徴兵制度で補っている。徴兵期間は21〜24カ月で、国籍を有する男性は18歳までに検査を受け、19歳から30歳までの間に入隊しなければならない。入隊すれば最下級の2等兵からスタートし、厳しい訓練が待っている。

 現在は約44万人が訓練や国境警備の補助に従事しており、その人件費は膨大だ。軍事費の約3割は人件費(職業軍人含む)で、韓国軍と韓国経済にとって最大の問題はこの徴兵制なのだ。

 水筒を磨く

 首都のソウル市内でさえ約9000人のホームレスがいるとされる韓国で、徴兵された兵隊にまともな宿舎が完備されているわけもなく、韓国紙「ヘラルド経済」(電子版)などによると、軍施設への上水道普及率は50%未満、くみ取り式便所は1400カ所に及ぶという。

 そんな2等兵たちの給料は1カ月約13万ウォン(1万3千円)、除隊間際に兵長となって約17万ウォン(1万7千円)。日給ではなく、月給だ。韓国の物価は近年、日本と大差ない。衣食住が無料とはいえ、衣類は迷彩服2着に、すぐ底のはがれる軍靴などごくわずかで、新兵がまず手をつける仕事は水筒磨きだという。幾多の先輩兵が使い、白サビの出たアルミ製の水筒を支給された新兵は、そのサビを歯ブラシで磨き落とすのだ。毛布は30〜40年使い続ける年代物。食にいたっては夜食のインスタントラーメン(自費)が唯一の楽しみという水準だ。

 ケチりにケチって経済負担を最小限にした国防システムは、韓国の置かれた状況ではほかに選択肢がないとはいえ、経済的には絶望的な手法だ。

 経済に寄与せず

 韓国を例にとれば、徴兵制とは、44万人の若者を国の経済活動から“切り離す”ことを意味する。

 旅行にも行けず、外食も飲み会も映画もなし。国境警備の任務につくと、さらに悲惨だ。韓国SBSテレビ(電子版)などによると、北朝鮮との国境地帯のうち東部の標高約1000メートルの地域の基地には売店すらなく、「黄金馬車」と呼ばれる行商のトラックが希にやって来るのだが、懐には月に1万3千円の小遣い銭しかない…。

 民間人のように金を儲けることもなければ使うこともない。経済活動とは「お金」を社会に循環させることであり、誰もが溜め込み使わなければ経済はどん底となる。ところが韓国では、社会人としてバリバリ働いたり、あるいは学生として学費を払いアルバイトもすればレジャーや趣味にお金を使うはずの若者44万人が、軍隊に強制入隊させられる。

 言い換えれば、経済活動に何ら寄与しない若者を44万人も作り出すのだ。経済面だけを捉えれば、20歳を超えた若者を、国家が強制的に“体力の有り余った引きこもりの無職”にする、と言った方が的確かもしれない。

 では、諸外国のように民間並みの給料を払うとどうなるか。それは“普通の給料”をもらう国家公務員を44万人増やすことであり、国家財政の破綻を意味する。どちらにしろ「マネー」を生み出すことはない。それゆえに韓国の徴兵制はいま、危機に陥っている。

 不況で志願者急増

 韓国では徴兵に応じる時期を19〜30歳の間、自分で選べるのだが、これが仇となった。韓国通信社の聯合ニュース(電子版)などによると、不況に陥った韓国では、「いま就職活動をしても無駄だ」と見切る大学生が増えている。いまのうちに徴兵を済ませ、2年後の経済復活に期待しようとの考えから入隊希望者が急増し、2015年に受け入れ体勢が事実上パンク。このため今回の予算編成では、1万人の追加入隊に必要な財源632億ウォン(約66億円)を確保した。44万人に加え、さらに1万人を国の経済活動から切り離そうというのだ。

 浪費と不正

 一方で軍の浪費は続く。中央日報(電子版)によると、北朝鮮の無人機による攻撃を防ぐため、今年に入って韓国大統領府に新型レーダーが配備されたのだが、これはイスラエル製を輸入したものだった。

 兵器の国産化は、実際に戦争となった場合に兵器を自前で製造することができる点で継戦能力に資するが、平時にも重要だ。国産化を止めれば兵器関連の技術開発は途絶え、世界の潮流から取り残される。製造業者は関連技術者の育成を放棄するだろう。そして、国内でお金をまわしてこそ生かされる経済効果も期待できない。輸入するだけでは「マネー」は海外へ消えていくのだ。世界の主要国が防衛装備の国産にこだわるのは理由がある。

 地上設置式レーダーすら作れない一方で、壊した話には事欠かない。韓国の通信社「聯合ニュース」(電子版)によると、韓国海軍の誇る最新鋭潜水艦「214級」の3隻に装備している欺瞞弾計54発が取り扱い不良のため海水で錆び付き、使用不能になっていたことが今年9月に明らかとなった。

 欺瞞弾とは、スクリュー音を手がかりに向かってくる敵の魚雷を回避するため、似た音を発生させる囮魚雷のこと。韓国海軍では基本的に徴兵された“未熟な兵”を配置することはなく、ほぼ全員が職業軍人。それでいてこの不祥事は、軍全体のレベルを危ぐさせるとして問題となった。

 救命胴衣が不良品

 また最新鋭のイージス艦では、2010年から13年にかけ、艦の水中の目となる音波探知機のカバーが計3回、相次いで破損したことも判明した。韓国では複数の造船所がイージス艦を建造しているが、韓国紙の世界日報(電子版)によると壊れたのは全て現代重工業製の艦だった。カバーは艦首の水面下部分にあり、大型の魚や浮遊物とぶつかった程度で破損したなら強度不足の可能性があり、韓国内では「手抜き製造ではないか」との疑惑が持ち上がっている。

 別のイージス艦では、配備されている救命胴衣128着のうち94%にあたる103着が浮力検査で不合格になっていたことが判明した。軍では1年間の品質保証を義務づけているが、発覚は納入から1年を過ぎており、納入業者は交換を拒否するという不良品の売り逃げも発生した。

 消えていくマネーと不正による浪費のダブルパンチで、膨大な軍事費を掲げても実質的な戦力アップにはつながらず、予算増額も焼け石に水のようだ。

 http://www.sankei.com/west/news/160106/wst1601060009-n1.html
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