今年は近年まれにみるオペラの当たり年になりそうだ。現時点でオペラ・ハウスの公演が,10本も予定されている。といっても,数に限っての話で,質に関しては一時期ほどではないが。
ウィーン・フォルクスオーパ(5月)
・カールマン: 喜歌劇『チャルダーシュの女王』
・J.シュトラウス: 喜歌劇『こうもり』
・レハール: 喜歌劇『メリー・ウィドウ」
ローマ・スポレート歌劇場(7月)
・プッチーニ: 歌劇『ラ・ボエーム』
マリインスキー歌劇場(10月)
・ヴェルディ: 歌劇『ドン・カルロ』
・チャイコフスキー: 歌劇『エフゲニー・オネーギン』(ゲルギエフ)
ウィーン国立歌劇場(10月〜11月)
・R.シュトラウス: 歌劇『ナクソス島のアリアドネ』(ヤノフスキ)
・ワーグナー: 楽劇『ワルキューレ』(フィッシャー)
・モーツァルト: 歌劇『フィガロの結婚』(ムーティ)
シュターツカペレ・ドレスデン(11月)
ワーグナー: 楽劇「ラインの黄金」演奏会形式(ティーレマン)
なんといっても,白眉はティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデンの「ワルキューレ」。このコンビによる「リング」を1作品でも聴くことができるのは望外の喜びだ。暮れにペトレンコの指輪(バイロイトのライブ)をFMで聴いたが,ティーレマンの指輪を初めて聴いたときほど面白くはなかった。現在,望み得る最高のワーグナーだと個人的には確信している。
ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場の「ドン・カルロ」とムーティ&ウィーン国立歌劇場の「フィガロの結婚」にも期待がもてる。「ドン・カルロ」はゲルギエフの芸風に最もふさわしい作品のひとつだろうし,「フィガロ」もムーティの熟達した指揮が楽しみだ。
オーケストラのコンサートでは,ティーレマン指揮のシュターツカペレ・ドレスデンの演奏会は万難を排して聴きに行かねばなるまい。昨年の3月に聴いた「英雄の生涯」は,想像をはるかに超えた圧倒的な迫力の演奏だった。二匹目のドジョウは必ずいると信じている。
今月のムーティ&シカゴ交響楽団にも期待したい。もう何年も前に,バレンボイムの指揮でシカゴ交響楽団のコンサートを聴いたことがある。そのときは完全な空振りだった。ショルティが退いた後のシカゴが力を落としていることは止むを得ないとしても,いくらなんでもあの演奏はないというほど凡庸なレベルだった。ムーティの指揮による演奏で捲土重来を期してほしい。
オーケストラの演奏会では,山田和樹&バーミンガム市交響楽団も聴いてみたい。この指揮者が振る公演はホールでじっくりと聴いてみる必要がある。批評を読んだり放送を観たりする限り,山田和樹の才能は突出しているような印象だ。そのことを実際に確認してみたい。
室内楽では,ハーゲン・クァルテットは聴き逃すまい。このアンサンブルの底力はステージでこそ発揮されることを昨年痛感した。昨年オープンした六花亭のふきのとうホールの公演では,ライプツィヒ弦楽四重奏団が面白そう。素朴だが渋い演奏が聴けたらと思う。
地元関連では,10月の末に内田光子とマーラー・チェンバー・オーケストラが札幌コンサートホールで3回も公演(そのうち1回は室内楽)を行う。内田光子は必ずしも手放しで絶賛するピアニストではないものの,かといって聴き逃す手もないだろう。プログラムは発表されていないが,現代作品を織り交ぜた面白い演奏会をやってくれるような予感がする。
11月の中頃,バッハ・コレギウム・ジャパンが「ロ短調ミサ曲」(J.S.バッハ)を演奏する。この演奏団体の面白いところは,同じ作品を取り上げても,毎回,白紙の状態から取り組み直すので,いつも新鮮な演奏を楽しめることだ。今回はどのような「ロ短調ミサ曲」を聴かせてくれることだろう。
札幌交響楽団の定期演奏会もできるだけ聴こうと考えている。地方オーケストラの定期演奏会は,海外オーケストラの日本公演とは本気度が決定的に違う。技量の面で地方オケが劣るのは明らかだが,いつもオーケストラの浮沈をかけたような全力投球なので聴き応えは格段に違う。また,海外オケの公演と比べるとプログラムがヴァラエティに富んでいるのも魅力だ。
またひとつ禁断の味を覚えてしまったようだ。
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