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2015年12月24日20:19

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ハロウィン特別企画小説 ミスコン&ミスターコン編

ミスター&ミスコン

パー「ミスコン&ミスターコンテストは、人々の美人性、女子力、男子力をコンテスト。
 誰が一番可愛く、誰が一番格好良い人物かを決めるコンテストなのであ〜る!」
おまわりさん「さて逮捕するか」
パー「ふはははは!甘いぞおまわりさん!
 儂は今回、ロリコン発言をしていない!」
おまわりさん「な、なにぃ!?」
パー「ふはははは!いつまでも儂がロリコン発言して捕まるだけのジジイだと思うなよ!ふははははははははは!」


パー校長が捕まるまで、後3話。

第1話 『修理』

トベルト学園・軽音部

リンベル「いやー助かったわ、ありがとうダンス!」
ダンス「あのな・・・」

軽音部の部室にある少し古い電子レンジを見ながら、二人は話していた。
 電子レンジからは黒い煙が噴き出しており、とても使える状態ではない。
 ダンスは小さくため息を着いた後、もはや恒例となった台詞をリンベルに訊ねる。

ダンス「お前今月で何回目だよ。
 今月は両手の数よりかなり多く壊してるじゃないか」
リンベル「うう、ほんとごめん・・・」
ダンス「気にしてないさ。
 お前が機械を壊すのは昔からだからな」

リンベルはしょんぼりとしている。普段明るくよく喋るだけにダンスには必要以上に責められている気になる。

 ここでちょっとダンスとリンベルの関係について話したいと思う。
 二人は幼馴染みという関係であった。
 小さい頃から隣り同士という事でよく遊びに言っていた。
 だが、リンベルはどうしようもない機械音痴で、少し操作する度に爆発していた。彼女が触る機械全てに爆薬が仕込まれているのではないかと勘違いしてしまいそうな程だ。
 その度にダンスは機械を魔術で、あるいはドライバーで直し、リンベルを慰めていた。お陰で魔術師なのに機械の構造に非常に詳しくなってしまった。
 何時もそうだった。
 だが、今月はまだ二週間しか経ってないのに機械を何度も壊している。
 今直している電子レンジも三度目だ。何故こんなに電子レンジを使おうとしているのか、ダンスには分からなかった。

ダンス「どうしたんだ一体、お前らしくないぞ?」
リンベル「アハハハ、ごめんね・・・今度のミスコンに参加しなくちゃいけないからさ、準備に色々と必要なんだ」
ダンス「そうか・・・だが流石に壊しすぎだ。
 電子レンジだけじゃない、ミシンも五回も壊してるじゃないか。
 衣装作りも良いが、お前は機械に触れないんだから気を付けろよ」
リンベル「うう、直して貰って悪いとは思ってるわ。
 でも大切なのよ。
 ミスコンまで期限が後少ししかないの、手じゃ時間がかかりすぎて・・・」
ダンス「それなら、誰かと一緒にやれば良いじゃないか、爆発覚悟で時間短縮狙うよりずっと良いだろ?」
リンベル「ま、まあそうなんだけどね・・・シティに出来るかどうか聞いてみるわ」
ダンス「そうしとけ。じゃ、俺は行くぜ」

ダンスは扉の方に振り返り、部屋を出ようとする。
 女性専用でないとは言え、女性が良く使う部屋で二人っきりでこの場に長居すれば、何処の誰にどんな噂が立つか分からないからだ。
 ダンスは早く部屋を出ていこうと足早で歩き始めて・・・。

「待って・・・」

聞きなれた筈の、聞き慣れない緊張を含んだ声にどきりとしてダンスは歩みを止める。
 振り返ると、リンベルは少し顔を赤くしていた。ダンスは声の変化に少し驚きを覚えつつ、冷静を装う。

ダンス「何だ?」
リンベル「いや、あのね・・・ちょっと話があって・・・」
ダンス「話?」
リンベル「ミスコンなんだけど、あれ、男子と一緒に出なきゃ行けないんだって・・・それで、あの・・・」
ダンス「・・・一緒に出ないかって事か?
 俺にはミスターコンなんて無理だぞ」
リンベル「わ、分かってるわよ!
 で、でも他に誘えそうな人もいないし・・・さっきも言ったけど期限もないの!
 お願い、このままだとミスコンに出られなくなわ!
 お願い・・・!」
ダンス「・・・少し、考える時間をくれないか?
 次に会ったら必ず答えを出すから」
リンベル「・・・ええ、待ってるわ」
ダンス「じゃあ、またな」

ダンスはそう言って、部室を後にする。
 残されたリンベルはもう部屋にいない相手に向かって静かに語る。

リンベル「お願い・・・どうか、OKと答えてね・・・」

 

第2話 『桜の下で』

トベルト学園・中庭

血染め桜、と呼ばれる枯れた桜の下で、アイはユーが作った弁当を食べながら血染め桜・・・ユーキと話していた。

ユーキ『今度ミスコン&ミスターコンをやるんだってさー』
アイ「ミスコンなぁ・・・俺には関係ねーや」
ユーキ『へー、関係ないんだー』
アイ「ミスターコンにだって参加しないぜ、俺はお前と一緒に話しをしている方が、ずっと楽しいもんな」
ユーキ『へー、そうなんだー』
アイ「・・・なんだ?いつもならペラペラ喋るのに、今日は随分静かじゃないか」
ユーキ『いやー?べっつにー?』

桜の枝が風もないのに揺れる。アイにはそれが笑っているように見えた。

アイ「?」
ユーキ『実はさー、風の噂で聞いちゃったんだけどさー、ユーがミスコンに出るみたいなんだよ』
アイ「え、ユーが?」
ユーキ『そ、しかも、男の子と一緒にね』
アイ「・・・・・・・・・え。」
ユーキ『なんか楽しそうにしてたみたいだよ〜?
 いやー誰と出るんだろ、自分も楽しみだな〜♪』
アイ「あ、あああああ、ああああ」
ユーキ『どうしたのかな、アイくーん?
 ミスコン&ミスターコンなんか関係無いんじゃ・・・あ、あれ?』
アイ「ユウウウウウゥゥゥ!!」

気づけば、アイは中庭から小学生校舎へ向かって走り抜けていた。
 ユーキは桜なので当然追いかける事は出来ずーー仮に出来てもこの状況で追う気はないがーー枝がゆらゆらと、まるでバイバイと手を振るように揺らす。

ユーキ『いってらっしゃーい。
 やれやれ、お馬鹿さんは何時まで経ってもお馬鹿さんなんだな〜♪
 まあ、そこが、惚れちゃった理由でもあるけど♪
 さてさて、自分は根っこからこの祭りがどうなるか見ようかな〜』

ユーキは桜であり、その地下には非常に長く細く伸びた根が学校の地下に、または壁の裏側に張り巡らされている。
 妖怪桜は静かになりながら、彼等の声を静かに聞いていく事にした。


第3話 『誘い』

校舎裏・ベンチ。

魔王「我はスーパーハイパーマスターウルトラアームストロングネオパーフェクト暗黒大魔王!
門前不動にして暗黒大陸リトル・デビルズヘイヴンを支配する魔王なり!(訳・こんにちは果心!僕は魔王だよ!)」
果心「へー、そうなの」

複雑な模様の入ったマフラーを首に巻き、ボロボロの布を体中に巻き付け、更に包帯で全身を覆い顔が光る目しか見えない自称悪魔の魔王は、果心に熱心に話しかけていた。
 対して果心はシミ一つ無い白衣を着飾っている為に二人が並ぶと、更に魔王が醜く見えてしまう。果心がとても美人だから尚更だ。
 だが魔王はそれを気にせず果心に熱心に語りかける。
 果心は静かに聞きながら、紅茶を啜っていた。

魔王「今、この世界は誰が一番を決める聖なる戦争の最中だ。何時、何処で誰が被害に合うか、未来視の能力を持ってしても理解しきれぬ、それほどまでにこの聖戦は混沌と化しているのだ!そして果心!
 百戦錬磨にして一騎当千、不老不死にして最強を誇るお主ですら何時そのような危険な状況に陥るか分からん・・・否!
 果心程の素晴らしき逸材なら、もう何度も狙われている筈だ!
 たとえ無敗伝説を持つお前でさえ、一人では限界と言う物がある。
 そこでだ!我と共に手を組めば、無敗伝説は更に強固になりこの世界の女帝に為るのも容易になるだろう・・・どうだ!
 (訳・僕と一緒にミスコン&ミスターコンに参加しませんか?)」
果心「・・・・・・ふむ」

果心は紅茶を飲み干した後、笑みを浮かべた。

果心「今の口説き文句じゃ30点かしらね。
 もっと私の廚二心をくすぐらせるような、情熱的な言葉を入れて欲しいわ」
魔王「何っ!?」

魔王は心底驚いたようで、少し仰け反る。
果心は言葉を続けた。

果心「でも、今まで私を誘った人の中では、一番高得点ね。
 それに貴方見てくれからして服に気を付ければ意外に良い線行けそうな気がするし・・・貴方、服に拘る方?」
魔王「うむ。
 この『まふらあ』は我一番のファッションなのだ」

そう言いながら魔王は首に巻いたマフラーを見せる。首には様々な模様が施され、何が格好良いか果心には分からなかった。

果心「なら大丈夫かな・・・?
 ねえ魔王、さっきの話だけど、私でよけ」

「こぉの馬鹿者がアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

何時の間にか現れたパー校長が、魔王の顔面をガイア殴りする。
 全く予想していなかったからか、魔王は抵抗することなく吹き飛ばされ、壁に激突し気を失った。

パー「ワッハハハハ!!
 果心様に手を出すとは笑止千万!
 その顔洗って出直して来い!
 ・・・大丈夫ですか果心様?」
果心「・・・・・・・・・。
 パー、頼みたい事があるの。聞いてくれる?」

果心はニコッと笑みを浮かべた。
パーはだらしない笑みを浮かべ近付いてくる。

パー「何ですかな?」
果心「ちょっと、目を閉じてくれるかしら?」
パー「はい!わかりましたァ!」

パーはあっさり目を閉じてくれる。
 それを確認した果心は日本刀を取りだし、逆刃に構える。
 そしてニコリと笑みを浮かべたまま、果心は死刑宣告を伝える。

果心「パー!目を開けて良いわよ!」
パー「はい!一体何がま」

って、と言いきる直前、眼前に迫る果心の峰が目に映り、

バッキャアアアア!!

峰打ちだから斬れなかったパーの体は、学校の外へ飛んでいく。
 飛んで、飛んで、更に飛んで、山奥にある刑務所の独房前で着地した。

警察「なんだなんだ!?」
警察「あ、こいつパーだ!ロリコンのパーだ!遂にここまで来やがったか!」
警察「オラア、ここに来たら只で帰れると思うなよ!」
パー「か・・・果心・・・様?
 な、何故〜〜・・・ガクッ」


パーが飛んでいった方を見ながら、果心は満面の笑みを浮かべる。

果心「ふぅ、すっきりしたわ。
 ん?あれは・・・アイ?」

中庭の方から、アイが物凄い速度で果心の目の前を走り抜けていく。
 アイは走りながらユーに電話をかけた。

ユー『もしもし?どうしたのパパ?』
アイ「ユー!
 お前ミスコンに参加するんだってな!相手は誰なんだ!?」
ユー『えー、誰と参加したっていいじゃん』
アイ「良くねえ!もしそいつが悪い虫だったらどうすんだ!そいつに会わせろ!」
ユー『ええ、嫌だよ!
 なんか今のパパ怖いもん!もし会いたかったら、パパもミスコンに参加してよね!ガチャッ、ツー、ツー、ツー』
アイ「ユー!ユー!もしもーし!
 く、やはりユーに直接会うしかない!
 小学生校舎へ急げ〜!」

アイは急いで走り抜けていく。途中、ダンスにぶつかりそうになったが、難なくかわして小学生校舎へ走り抜け・・・。

びりびりびりびりびりびりびりびり!!

アイ「はがががががががががが!?」

突如体を電流が襲い、アイは勢いを無くし倒れてしまう。倒れ行くなかでアイは思い出す。
 小学生校舎には校長(ロリコン犯罪者)が入らないように、近付く者に電流が襲いかかる特殊な結界がしかれている事に。

まるでギャグ漫画のように全身真っ黒にしながらアイは倒れる。
 それを見て駆け寄ってきたのはリンベルだ。

リンベル「ちょっ、アイ君どうしたの!?
 今の時間小学生校舎に行くのは危ないの、忘れたの!?」
アイ「は、はがが・・・!」

リンベルはアイの頭を膝に乗せ、タオルを頭に乗せて看病する。
 アイはぼけーっとした頭でユーの言葉を思い出していた。

ユー『もし会いたかったら、ミスコンに参加してよね!』
アイ(ミスコンに・・・ミスコンに参加しなくちゃ!
 その為には、誰かを誘わなきゃ・・・あ、目の前に・・・)
「リンベル!」
リンベル「うわ!」

アイは急に起き上がり、リンベルの両手を銀色の義手でガシッと掴む。タオルがその拍子で滑り落ちたが、誰も気にしない。

リンベル(うわ、冷たい・・・)
アイ「折り入って頼みがある!
 聞いてくれるか!」
リンベル「え、ええ・・・」

勢いに押されながらも答えるリンベル。
その後ろに、一連の騒ぎを見ていたダンスが駆け寄ってきた。
 だがダンスが叫ぶより早く、アイが叫んだ。

アイ「俺と一緒にミスコン出てください!」
リンベル「え、ええええ!?」

まさか数分前自分が勇気を出して言った言葉が言われるとは思わず、すっとんきょうな声をあげるリンベル。
 だがユーを思うあまり暴走したアイは止まらない。

アイ「俺は貴方とどうしてもミスコンに出たいんだ!(ユーを見つけるために)
 今ここでミスコンに参加出来なきゃ、俺は一生後悔する!!(ユーに付いた悪い虫が何するか分かんないし)
 頼む、この通りだ!」

アイは全身真っ黒のまま、土下座までする。
 リンベルは目を白黒させ、完全に勢いに呑まれていた。
 それはダンスも同じで、二人の間に割って入る事が出来ない。
 そして、その様子を果心はじっと見ていた。
 狼狽えるリンベルを見て、果心はリンベルがダンスの為に衣装を作っていた事を思い出し、三人を見守る。
 そして、リンベルは勢いにのまれたまま、何も考える事も出来ず、必死にすがるアイに断る事もできず、
 遂に頷いてしまった。

リンベル「は、はい・・・」
ダンス「!!」
アイ「ありがとうリンベル!ありがとう、ありがとう!」
ダンス「リ・・・!」

思わずリンベルの名前を呼ぼうとするダンスだが、その肩に果心の手が乗る。

果心「あら、ダンス君。
 こんな所で会うなんて奇遇ね」
ダンス「か、果心先生・・・」

ダンスは思わず身をすくませ、リンベルの方に一瞬目を向ける。
 だが果心は更に話しを続けてきた。

果心「ねえ、今ミスコンに参加したいんだけど、良い人がいなくてさ・・・ダンス君!一緒に参加しない?」
ダンス「!?」

ダンスは目を丸くする。
 また、果心はわざと大きな声で言った為にその言葉はリンベルの耳にも入る。

リンベル「え!?」
アイ「なんだ?あの二人ミスコンに参加するのか?」

何も知らないアイが呑気に話しかけるが、リンベルはそれどころではない。
 先程まで、ミスコンに参加する約束をしていた相手が、今別の女性に誘われてるのだから。

果心「丁度相手が居なくて困ってたのよ!
 ね、ダンス君お願い!」
ダンス「・・・・・・・・・」

ダンスは考える時間があった。
 それが余計にリンベルへの怒りを、驚きを募らせていく。
 そして、最後は静かに頭を下げてしまった。

ダンス「・・・分かった。困ってるなら、しょうがないからな」
果心「わあ、ありがとう、宜しくね〜!」

その言葉を聞いて、リンベルの顔から血の気がサーッと失せていく音が聞こえた。
 対して果心は嬉しそうに笑う。

果心「あーよかった、安心したわ!
それじゃ私、いかなきゃいけない所があるから!」

果心は嬉しそうにウィンクし、ダンスから離れリンベルの方へ歩いていく。
 リンベルは果心に声をかけられず、ただそのいく末を見守る事しか出来なかったが・・・二人がすれ違う瞬間、果心がぼそっと囁く。

果心「・・・安心して。私が必ず貴方とダンス君を一緒にさせてあげるわ」
リンベル「え?あ、え?」

リンベルは声をかけようとするが、果心はすたすたと何処かへ去って言った。

気づけばアイもダンスも何処かへ行っていた。
 残されたのは、リンベルと大きな不安だけだった。


後編へ続く!

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