友人のカメラマンから聞いた話。
俺、十代の後半から何年間か、ギター持って旅人やってたんですけど。
そんでそうやって日本中ふらふら旅して回って数年経ったころに、ある街に着いたんすよ。米軍基地のある街で、米兵も来るようなバーがあったんで、そこのドアの前に立ったんす。
そしたらね、中から、すげーたくさんのひとの話し声とか笑い声が聞こえて、それがすっげえあったかくて。
だから俺、ドア開けて入ったんすよ。
そしたら、誰もいなくて。奥のカウンターにマスターが一人でいて。
俺、おっかしいなぁって思いながらまごまごしてたら、そのマスターが、
「兄さん、流しかい?一曲弾いてくれよ」
って。だから俺、弾いて。そんで、それ終わってお礼言って出てこうとしたらマスター、
「またあした来なよ。明日はうちでクリスマスパーティーやるから」
って。
俺、それまでいろんな街で、いろんなひとにやさしくしてもらってきてたんすけど、「またあした来なよ」って、はじめて言われたんすよ。そんですげーうれしくて、次の日行ったら、ほんとに大賑わいで。前日にドアの前で感じた話し声とか笑い声がほんとになってて。
そんで、俺、その街で暮らすようになったんす。
DATA:Leitz minolta CL M-Rokkor QF 40/2 Kodak Tri-X 400 f5.6 1/250
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