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2015年11月23日00:52

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今週の科学ニュース−11月22日

 皆様、こんばんは。侍ジャパンは、プレミアム12で、期待された優勝ではなく、残念ながら3位に終わりました。もっとも、メジャーリーガーがほとんど出場しないこの大会で優勝したからと言って世界一を標榜することは出来ないと思っています。メジャーリーグの運営側は、徹頭徹尾こういった企画に非協力的です。事情はわからないでもありませんが、ちょっと残念です。

CO2濃度:2016年に危険水域に迫る400ppm超え(環境省他)
 環境省と宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの研究チームは、JAXAが打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の観測結果として、大気中のCO2の月平均濃度は平成27年5月に約398.8 ppm を記録し、このままCO2濃度が経年変化すれば、平成28年中に400 ppm(の大台)を超える見込みと発表しました。大台に乗ったからと言って直ちにどうこうというわけではありませんが、JAXAのプレスリリースに掲載されている大気中のCO2の濃度変化のグラフでわかりますように、国連をはじめとしてお偉い方々がCO2削減を叫んでいても全然影響がないし、今後も少なくともしばらくは効果が無いことを示しています。
環境省のプレスリリースはこちら
宇宙航空研究開発機構のプレスリリースはこちら

蛍光に光るウナギの仲間を発見、世界初(米ニューヨーク市立大学)
 10月初めの本欄で、甲羅が蛍光に彩られたウミガメの発見に関する話題を掲載しましたが、同じ研究グループが、今度は蛍光(緑色)を発するウナギ(正確に言うとウツボ)の仲間(イワアナゴ)を発見したと発表しました。そして、今度は標本の入手にも成功しています。なぜ蛍光を発するかについては、異性へのアピールや、産卵の季節に集まるときに目印になるなどの理由が考えられるそうです。しかし、蛍光色のウナギなんて、おいしそうには見えませんね。
The City University of New Yorkの該当HPはこちら
PLOS Oneの該当論文はこちら

エルニーニョ現象、年末までに過去最大規模に(世界気象機関)
 先ほどは二酸化炭素の濃度がかつて無いほど上がっているという話を掲載しましたが、今度は、エルニーニョ現象の話です。世界気象機関(WMO)は16日、異常気象をもたらすとされるエルニーニョ現象が年末までに強まり、過去最大規模になるとの見通しを示しました。だからどうなんだという部分はまだよくわからない部分もありますが、地球規模の異常気象とエルニーニョ現象との相関は言われており、警戒するべき事態と言えます。
WMOの該当HPはこちら

西之島に新しい火口、島の面積は噴火前の12倍(海上保安庁)
 海上保安庁(と大学の火山学者たち)は、11月17日に飛行機で、いまだ噴火中の西之島を上空から観測し、西之島の面積が噴火前の12倍になっていることを確認したと発表しました。西之島の噴火は、すでに二年以上にわたっており、日本本土上、もしくはその近くでなかったことは幸いであったと言えると思われます。
海上保安庁のプレスリリースはこちら

コウモリが空中で反転して止まれる理由を解明(米ブラウン大学)
 ブラウン大学の研究チームは、コウモリが部屋の天井に張った網に飛んできて逆さまになって止まる様子をハイスピードカメラで撮影し、画像を解析した結果、どんな技を使って逆さまになるのかを解明したと発表しました。それによると、コウモリは、網に止まる直前に片方の翼を畳んで、広げたままの翼にかかったエアブレーキと、体にかかった慣性を利用して、広げた翼側に偏った重心を中心に回転(一種のひねり)を加えながら両足を振り上げて(反転して)網をつかむことがわかったそうです。動画を見ると、棒高跳びでバーに向かって足からむかう陸上選手の姿勢を連想できます。棒高跳びの選手は棒を支えにしていますが、コウモリは、広げた方の翼を支えにしているわけです。研究者達によると、これは、鳥や昆虫などのように体のわりに軽い翼を持っている生物では出来ない芸当だそうです。しかし、コウモリにとって、このような進化をしたから逆さまに止まるようになったのか、逆さまに止まる必要があるからこのように進化したのかについてはまだ未解明だそうです。
Brown Universityの該当HPはこちら
PLOS Oneの該当論文はこちら

声帯組織の培養に成功、移植も視野に(米ウィスコンシン大学マディソン校)
 ウィスコンシン大学マディソン校の研究チームは、正常な人の声帯細胞から2週間をかけて、声帯としての構造を持った組織の培養に成功したと発表しました。まだ、犬にしか移植されていないようですが、こんごは人間への移植の適用を進めるとのことです。声帯は、問題が起きても修復できない臓器の一つなので、今後の研究に期待されます。
University of Wisconsin at MadisonのHPがリンクしている記事はこちら
Science Translational Medicineの該当論文のAbstractはこちら

人類3種が数万年も共存、デニソワ人研究で判明(独Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology他)
 2010年にその存在が報告されたデニソワ人について、2010年に見つかったデニソワ人の臼歯(えらく巨大です。)から抽出されたDNAを解析したところ、一本は5万年前、もう一本は11万年前のものとわかったとのことです。デニソワ人の骨が出たアルタイ山脈(モンゴル)のデニソワ洞窟の周辺からは、同じ時代の現生人類とネアンデルタール人の骨も出ており、このことから、少なくとも6万年にわたって、(仲良くしていたかどうかはわかりませんが、)現生人類とネアンデルタール人とデニソワ人が共存していたと考えられるとのことです。なお、この三者の間に多少の交配があったことが考えられ、メラネシアの現地人のDNAの5%はデニソワ人のものと思われる結果が出ているそうです。次の疑問は、なぜ、デニソワ人とネアンデルタール人が滅んだかになるかになると思われます。
米科学アカデミー紀要の該当論文はこちら

遺伝子操作サケが食卓に=成長速度2倍−米で認可(米食品医薬品局(FDA))
 米食品医薬品局は、タイセイヨウサケに、ゲンゲというウナギに似た魚などの遺伝子を組み込み、成長を加速させることに成功した遺伝子組み換えサケについて、安全であると認められるので、米国内で食用として認可したと発表しました。今まで、遺伝子組み換え生物については、農産物で大豆など植物に限って食用として認可されてきましたが、遺伝子組み換え動物に対する認可は今回が初めてとのことです。そうでなくても、日本だけでない複数の国で遺伝子組み換え作物に対する疑惑の目が向けられている訳ですから、遺伝子組み換えサケの食用認可に対する反発は容易に予想されます。当分、日本では食べられないでしょう。食べたいという気も置きませんが。
米食品医薬品局のプレスリリースはこちら

抗てんかん薬:妊婦服用で生まれる子の脳に悪影響の可能性(九州大学)
 今度は、医薬品の副作用に関するニュースです。九州大などの研究班は妊娠中に抗てんかん薬を服用すると、生まれる子供の脳神経細胞(ニューロン)の生成が低下し学習・記憶機能に悪影響が出る可能性があることをマウス実験で突き止めたと発表しました。一方で生まれたマウスが自発的な運動をすることで機能が改善することも分かったとしています。重要なのは、どちらかというと後半の方で、同じような脳神経細胞の生成の点で障害が出ている子供に対しても、自発的な運動によって改善する可能性があることを示しています。しかし、こういった副作用についての報告は、新薬にはつきものと言ってもいいくらい枚挙にいとまがありませんが、できれば臨床の段階で調査しきってほしいものです。
九州大学のプレスリリースはこちら
Stem Cell Reports誌の該当論文のAbstractはこちら

小鳥の求愛タップダンス、北大の研究チームが撮影成功
 北海道大学の研究チームは、アフリカの小鳥「セイキチョウ」の雄の求愛行動をハイスピードカメラで撮影したところ、通常の再生速度では両足で小さくジャンプしているようにしか見えない行動が、スロー再生すると、実は、止まり木の上で高速で足踏みしていることがわかったと発表しました。朝日新聞のリンク先の動画を見ると、一目瞭然ですが、しかし、研究者達はよく気づいたものです。通常速度の再生では、私には全然わかりませんでした。気がつかないだけで、他にもこういう行動をしている鳥がいるかもしれません。
北海道大学のプレスリリースはこちら
Scientific Reports誌の該当論文はこちら

火星の衛星フォボスが崩壊し始めている(NASA)
 火星の二つある衛星の一つ、フォボスが火星の重力によって崩壊しかかっている状態にあるとNASAが発表しました。昔の話になりますが、フォボスの表面に、リンク先の写真にあるような筋があることは、ヴァイキング宇宙船の写真撮影で知られていました。その当時は、フォボスは硬い、一つの岩石であると考えられていたので、筋は別の理由(例えば、小天体がかすった跡)とされていました。しかし、最近の研究で、フォボスは、もっとがさがさすかすかで脆いものであるという見解が支配的となっていて、そうなると、この筋は、火星の潮汐力によるものと見なされるというものです。つまり、フォボスは、現時点でも100年に2メートルずつ火星に向かって落ちている状況なので、3〜5千万年後にはロシュ限界に達してばらばらに分解してしまうのですが、そのだいぶ前に空中分解する可能性があるのだそうです。フォボスに基地を、と言うSFがあったと思うのですが、実際にやろうと工事を始めた瞬間にフォボスは分解してしまうかもしれません。
NASAの該当HPはこちら

大きいほど幸福感?脳の部位 京大、世界初の相関解明
 要するに、人間の右脳の一部に、幸福を感じる領域があって、この領域が大きい人は、強い幸福感を得られると言うことがわかったと言うことなようです。また、この領域は、快感情強度・不快感情強度・人生の目的の統合指標と関係することが示されたとのことです。こうなると、人生の目的って何だろうという気がしてきます。また、プレスリリースによると、瞑想トレーニングがこの領域を広げるとしていますが、逆に、先天的に幸福を感じられない人も存在しうると言えるような気がします。G・イーガンの「しあわせの理由」の元ネタは、十分有り得る話なようです。
京都大学のプレスリリースはこちら
Scientific Reports誌の該当論文はこちら

 では、今週はこの辺で。
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