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2015年11月20日13:29

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“日沈む国”中国の終わりの始まり 訪米外交失敗、眠れる獅子を叩き起こし腰砕けに

 下記は、2015.11.20 付の【日本千思万考】です。

                      記

 “日沈む国”中国は文字通り秋の日暮れ、つるべ落としのごとし。TPPには押し流され景気のドン詰まりに陥るわ、過日の習近平主席訪米外交が失敗に終わるわ…で、国家も政権も苦境が鮮明化してきました。オバマ政権の弱腰外交につけ込んだ中国が同大統領任期中に南シナ海の7つの岩礁(大半は暗礁)を埋め立て、軍事基地を築き制海権と制空権を握ろうと焦りに焦ってきましたが、眠れる獅子・米国がついに目覚め、イージス駆逐艦による「航行の自由作戦」を実行しました。

 威勢がいいのは口先だけ、負け犬の遠ぼえ

 中国のゴリ押しに押されっぱなしだったオバマ大統領府とケリー国務省による対話外交にしびれを切らした民主党良識派のカーター国防省と米軍、特に太平洋軍司令官のハリス海軍大将が、ついに丸腰外交を封じ、実力行使に転じたことで、中国の無法な領土(暗礁の埋め立ては国際法上認められない)・領海権主張に待ったを掛けたのです。

 さっそく行われた米中海軍高官による直接対話でも対話の継続と衝突回避に一致を見たように、明らかに中国側の腰が引けてきました。口先だけ威勢がよかったようですが、中国海軍によるイージス艦追跡のおじけた反応ぶりを見た限り、“負け犬の遠ぼえ”にすぎず、米中海軍の実力差を露呈してしまったのが現実でした。

 ここへ来て、明らかに米中関係が逆転しつつあるようで、軍事力の大差からして米中戦争など有り得ないと思われます。したがって今後の焦点は、中国がこれ以上の軍事基地建設を凍結するのか、当該海域の自由航行が保障されるのか、に絞られると思われます。

 “戦勝国クラブ”国連にも変化の兆し

 併せて、国連の対中及び腰姿勢にも、変化が現れてきたようで、中国がこれまでボイコットしてきた国連海洋法条約に対する態度をいつ改めるかも、注目点です。すでに紛争仲裁裁判所が、フィリピンの提訴を正式に取り上げたことから、今後ベトナム、マレーシアなども次々と仲裁を求めるそうですから、中国が国連海洋法条約に基づいて糾弾される日も近いでしょう。

 目下、国連憲章上の日本の位置づけは、ドイツ、イタリアなどとともに連合国と戦った“敵国”−ということでありながら、分担金の負担率は2位です。ちなみに、ドイツ、イタリアは3位、7位で、日独伊3カ国だけで全体の22%という膨大な負担を引き受けさせられております。一方、戦勝国側はというと、負担率こそトップながら分担金の支払いを保留している米国を除くと、仏・英・中・露はいずれも、日独伊を下回る負担率で4カ国分を合わせても、ようやく18%になるという極めて不公平な状況にあります。

 そこで日独にインドとブラジルを加えた4カ国を常任理事国に加えるという国連改革を推進する必要があり、安倍外交の焦点をここに定めることが急がれます。

 加速するアジアの中国離れ

 今般、安倍晋三首相が中央アジア諸国を歴訪し、地球儀外交の領域をさらに拡張しました。多くのジャーナリズムは、これを対露抑止力の面からの論評に終始していたようですが、私見では、むしろ対中挟み撃ち外交の方にこそ大きな意義を持たせるべきだと思量致します。

 ことに、トルコの総選挙で、予想を覆し親日派の与党が圧勝したことは、日本にとって、中国の独善的なシルクロード制圧外交に楔を打ちこんで、中立あるいは親日国群を中央アジアに確保できたことになり、地政学的にも大いなる外交成果であったと考えます。

 かてて加えて、中国の経済的影響力の失速と動乱により、国際的信望の喪失を肌で感じつつある近隣アジア諸国が次第に増えているようです。台湾を筆頭に、インド、フィリピン、ベトナム、トルコなどが対中姿勢を反転させ、シンガポール、マレーシア、ミャンマーなども是々非々に転じ、中には反中意識を高めつつあるやとも見受けられる高官やメディアの発言・論評が増えてきました。

 一方、欧米の有力調査会社が相次いで中国政府発表の統計値の“でたらめ”ぶりを指摘しております。中国政府はGDP成長率を6.5%に引き下げましたが、これも「嘘の上塗り」で、現実的な推計値では、今年度2%の成長がせいぜいで、来年は1%に減速するであろうとのことです。政府のさじ加減で数字を弄ることができる中国独自のGDP統計とは違って、相手国もある貿易統計の方は粉飾が難しいだけに、より信用できる数値が見られます。それによると、今年1〜9月で輸入がマイナス15%となったことから、どう考えても6.9%の成長率など有り得ないということは自明の理です。

 沈む船からネズミが逃げ出すごとく…香港財閥、台湾企業の“中国脱出劇”

 中国経済崩壊の火の手は、世界のジャーナリストの注目の的となったようで、あちこちから不穏な暴露情報が飛び交うようになってきました。

 習政権による“虎退治”と称する利権浄化と政敵排除の推進は、国有大企業の改革と幹部人事粛清を伴うだけに、抵抗勢力との暗闘や組織内分裂闘争なども惹起(じゃっき)しており、外部からは到底うかがい知れない熾烈(しれつ)な政争が繰り広げられているようです。これは国家経済崩壊の震源ともなりそうです。

 一方で、1億人、いや2億人に近いとも推定される中国人投資家が資産を国外へ逃避させていることが、中国経済の岩盤を揺るがす元凶となっている、との分析もあります。その代表例が香港最大財閥・長江実業の総帥・李氏のようで、すでに中国国内事業を手じまいし、香港の本社さえも、カリブ海かどこかのタックスヘイブンへ移転させたそうです。これに合わせて、台湾、香港、シンガポールをはじめ、日本も含む多くの外資系企業の撤退が相次ぎ、それによるトラブルも急増していることが報じられています。こちらの代表例が、台湾の超大手国際企業集団ホンハイ(フォックスコングループ)で、インドへの工場移設を決めたそうです。

 犠牲を強いられた華僑軍団の離反

 こうした激震が、アジアのみならず世界経済への衝撃を広げる恐れも出てきております。そのカギを握っているのが華僑資本と、その企業群ではないでしょうか。聞くところによると、中国全土には数千もの大小の開発区が造成されましたが、今やその大半が閑古鳥の鳴く工業団地、オフィス・商業ビル、住宅団地、倉庫などで、逃げ足の遅れた一部華僑と地方政府に膨大な損失をもたらせているそうです。

 このあたりは、中国の対外債務が5兆ドルにまで急増していること、輸入の急減による貿易黒字にもかかわらず外貨準備金が大幅に低減している(資金の海外逃避)こと、さらには、習政権による市場原理にもとる無謀ともいえる強引な株価維持対策や為替市場操作などからも類推可能です。華僑ビジネスの影響度が特に高いタイ、インドネシア、マレーシアなどアセアン諸国においても、貿易・金融業、不動産、農産品、自動車、小売業などの市場に黒い影が目立ってきたようです。共産党独裁政権による市場経済主義の犠牲を強いられた華僑軍団の離反は避けられないでしょう。

 TPPに押しつぶされそうな中国の新シルクロード作戦・AIIB

 中国の「国家資本主義」にとって、目下最大の頭痛は「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」の合意であって、世界のGDPの4割を占める大経済圏ができると、市場規模の大きさ(世界GDPシェアは1割)が売りであった中国の魅力が一挙にしぼんでしまいます。しかも、反TPPの動きを加速させた新シルクロード作戦やアジアインフラ投資銀行(AIIB)の主たる対象市場は、じり貧経済と難民問題の欧州と貧困および政情不安の中東、アフリカ、中央アジアであって、GDPシェアも2割強程度しか期待できないとなると、経済的にドン詰まりに追い込まれるでしょう。TPPに加入したくとも、共産主義、国家資本主義に手かせ足かせがはめられてしまうし、引くに引けないジレンマに立ち往生するしかなさそうです。

 WTO加盟後、国際競争力を損ねつつある農業(特に対米州と対豪州)に加えて、労務費急上昇の製造業の没落(特に対アセアン諸国)と、国営企業の改革と民営化が頓挫してしまった現状からは、TPPに押しつぶされそうな中国の日暮れが見え隠れしてきました。ここへ来て、韓国、タイ、フィリピンなどがTPP参加に前向き姿勢を見せているのは、中国にとって衝撃でしょう。

 裸になった習近平 石平氏の言をいれ、冷静な対中外交を

 「愛日主義者」を自称し、日本へ帰化した四川省出身の石平氏(拓殖大学客員教授)が産経新聞に寄稿された一文の見出しに「裸の王様となった習主席」とありました。

 石平氏は、習外交の一枚看板であった「新型大国関係構築」提唱が、今般の訪米首脳会談で「米政権から完全に無視された」上に、米国の「深刻な政治的挑発」を受けて、「習主席の訪米失敗が明々白々になったこと」、さらに「米海軍の南シナ海派遣に対し有効な対抗措置も取れなかった」ことで、「習主席の虚像が崩れ、政権基盤が弱まり、党内派閥が“倒習運動”を展開してくる可能性も十分あろう。習政権の余命はいかほどだろうか」と結んでおられます。

 今こそ、石平氏著のベストセラー「なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか」のタイトルを肝に銘じて、わが国の政財官各界が、中国を冷静に観察しつつ、より一層慎重な交流に徹すべき時であると警報を鳴らす次第です。 (上田和男)

                       ◇

 【プロフィル】上田和男(こうだ・かずお) 昭和14(1939)年、兵庫県淡路島生まれ。37年、慶応大経済学部卒業後、住友金属工業(鋼管部門)に入社。米シラキュース経営大学院(MBA)に留学後、45年に大手電子部品メーカー、TDKに転職。米国支社総支配人としてカセット世界一達成に貢献し、57年、同社の米ウォールストリート上場を支援した。その後、ジョンソン常務などを経て、平成8(1996)年カナダへわたり、住宅製造販売会社の社長を勤め、25年7月に引退、帰国。現在、コンサルティング会社、EKKの特別顧問。

 http://www.sankei.com/west/news/151120/wst1511200004-n1.html
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