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2015年11月16日14:06

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台湾紙が痛烈批判「馬英九総統は中国のシンパ」「台湾の人民を売り飛ばし、利益を侵害」

 下記は、2015.11.16 付の産経ニュースの記事【環球異見 中台首脳会談】です。

                      記

 中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が7日、シンガポールで1949年の中台分断後初めてとなる首脳会談を行った。中国メディアは「一つの中国」の原則が再確認されたと成果と意義を強調したが、総統選を2カ月後に控えた台湾では評価と批判が拮抗した。一方、中華系住民が多いシンガポールでは、歴史的な会談をおぜん立てした自国を“自賛”する声が聞かれた。


 「一つの中国」は変わらない

 □人民日報(中国)

 中国で「習馬会」と呼ばれる中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統の歴史的会談について、9日付の中国共産党機関紙、人民日報(海外版)は1面掲載のコラムで、唯一の成果と揶揄(やゆ)される「1992年コンセンサスの再確認」を会談の「重要な意義」と称賛している。

 「92年コンセンサス」とは、中国と台湾の交流窓口機関が92年に「一つの中国」の原則を口頭で確認したとされる合意を指す。明確な文書は存在せず、当時の台湾の李登輝総統や野党、民主進歩党(民進党)は存在自体を否定している。

 コンセンサスを「両岸関係の平和的発展の政治的な基礎」と定義するコラムは、台湾でコンセンサスに対する非難や否認がやまないことへの不満をあらわにしている。特に「現状維持」を唱える声については、「最も人々を惑わせるものだ」と敵意さえにじませている。

 「コンセンサスは台湾独立勢力に対する金縛りの法のようなものだ。島(台湾)内指導者は誰であろうと、かつての李や陳のように、ほしいままに海峡両岸(中台)に波乱を引き起こすことはできない」と、中国が「台湾独立派の代表」とみなす李登輝元総統や、独立志向で緊張を高めた陳水扁前総統を批判した。

 「コンセンサスの堅持は指導者の交代で変わるものではない」「台湾のどの党派、団体であれ、過去の主張がどうであれ、コンセンサスの歴史事実を直視し、認め、その核心的内容を認めさえすれば、大陸は交流する意思がある」−。コラムの論調からは、習近平指導部が、来年1月の台湾総統選での民進党政権誕生を見越していることがうかがえる。

 同紙傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)に至っては、台湾人民の自由の選択権などに言及しなかった馬氏を批判した民進党の総統選候補者、蔡英文主席を「人柄と格が小さい」とののしったが、それが逆に中国側が台湾の政権交代に恐々としていることを示唆している。(北京 川越一)


 台湾の利益を侵害

 □自由時報(台湾)

 台湾では来年1月の総統選の投票まで約2カ月に迫っている。政治的に敏感な時期に行われた中台首脳会談に世論の反応は割れており、各紙の論調にも政治的な色合いが表れた。

 中国当局の立場に近い中国時報は翌8日付社説で、会談は「台湾に再出発の機会を提供した」と主張。台湾は経済的にも文化的にも西側諸国と中国の仲介者になれるとし、会談を機に「両岸(中台)の接触の窓口と機会は拡大し、台湾は中国の台頭と共存共栄できる」とした。与党、中国国民党に近い聯合報も「世紀の会談の最も重要な効果は、1992年コンセンサス(合意)を強固にしたことだ」と主張。「一つの中国」を認めつつ「中国」の解釈は各自が行うとする台湾側の定義を、馬英九総統が中国の習近平国家主席に直接伝えたことを評価した。

 一方、野党、民主進歩党に近い自由時報は9日付社説で、会談は歴代総統が拒否した条件を全て受け入れた結果であり、「会談のための会談」だと批判。習主席が語ったのは、馬総統への「訓話」であり、馬総統は習主席の「気迫の前にひれ伏した」と揶揄した。同紙は10日付社説でも、馬総統を中国共産党の「シンパ」だとし、「台湾の人民を売り飛ばし、台湾の利益を侵害した」と指弾した。大衆紙、蘋果日報も8日付社説で、馬総統は「台湾が民主主義を堅持することを伝えなかったことで、指導者としての代表性を失った」とし、会談の合意内容は「国共(両党の)合意にすぎず、中台の合意ではない」と述べた。

 こうした中、各紙で共通するのは、両首脳が、総統選で優勢に立つ民進党の候補者、蔡英文主席を意識していたという見方だ。蘋果日報(電子版)は10日、国民党に近い評論家の論考を掲載。会談で「一つの中国」原則を確認したのは、92年合意を受け入れない蔡氏に向けたものだとし、「蔡氏が現場にいない蔡・習会談だ」と指摘した。(台北 田中靖人)


 「歴史的会談」演出を“自賛”

 □聯合早報(シンガポール)

 シンガポールの中国語紙「聯合早報」は9日付の社説で、中台首脳会談の舞台をおぜん立てした自国の外交手腕を「小国でも外交価値をつくりだすことができる」と自賛した。歴史的会談が実現した背景には中国側の譲歩があったと分析し、南シナ海での権益を拡大する動きをめぐって警戒を強める周辺国に向けて「中国の強硬なイメージ」を和らげる効果があったとも主張した。

 社説は今回の会談が国際的な関心を集めた理由について「中国の国力が強大になって地政学に変化が生まれ、中台関係の範疇にとどまらない影響が生まれている」と解説。会談実現の背景には、台湾が求める「対等で尊厳ある交流」に対する中国側の配慮と譲歩があり、「仁の者だけが大国でも小国を尊重して交際できる」との孟子の言葉を中国が体現したと持ち上げた。

 一方で社説は、「中国の台頭は世界経済に利益をもたらしているが、周辺国家は新たな地政学上の圧力を感じてもいる」と指摘。「南シナ海における米国の行動」が中国を悩ませる中で、中台首脳会談は間接的に国際社会に対して柔軟な態度を示す意義があったとの持論を展開した。

 シンガポールは7割超が中華系住民で、リー・シェンロン首相は「一つの中国」政策を支持する。同国は中国が実効支配を強める南シナ海でも「主権争いには直接関係していない」(聯合早報)との立場だ。

 社説の結論もこうした親中的な国情を反映している。1993年4月に中台の交流窓口機関トップがシンガポールで会談したのに続いて「再び歴史的な瞬間を目撃」することができたのは、中台双方が「シンガポールが心から中台間の融和を望んでいる」ことを疑っていないためだと誇らしげに語り、「もし中国が今回の首脳会談を通じて周辺国家に『善意』の外交メッセージを送っているとすれば、この地政学的変動の中でシンガポールが発揮できる役割はとても大きい」との楽観的で無邪気な見通しを示した。(西見由章)

 http://www.sankei.com/world/news/151116/wor1511160030-n1.html
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