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2015年11月08日23:12

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今週の科学ニュース-11月8日

 皆様、こんばんは。今日は立冬とのことで、暦の上では、今日から冬です。お風邪など召されませんように。私も、そろそろストーブを出そうかと考えているところです。

0.6ミリの人工血管開発=世界で最も細く(国立循環器病研究センター)
 人工血管の開発は、少なくとも日本ではかなり以前から行われていて、1985年の時点で、私のいた大学の応用化学の研究室で主要テーマの一つとして盛んに実験を行っていました。その当時に研究を行っていた同期に話を聞いたことがあるのですが、詰まりやすい細い人工血管で、いかに血が詰まりにくくするかが大きなポイントだと言っていました。要するに、30年以上もの間、同じことで研究者達は悩んでいたわけです。今回の研究のポイントは、生体内に入ってきた異物をコラーゲンなどで覆って無害化する体の反応を利用したもので、患者本人の体を利用することにより、拒絶反応の心配も無く、生体へのなじみもよく、詰まりにくい細い人工血管を作れるという利点があります。ただし、まだ短い血管しか作れないこと、できたての人工血管は、単なるコラーゲンのチューブなので、本物の血管のような強靱さがないことなどが改善の余地として残っています。しかし、今まで考えられなかったくらい細い口径0.6mmの血管が作れるなど、画期的な部分も多い人工血管と考えられます。
国立循環器病研究センターのプレスリリースはこちら

液体金属の流れで電気 電池が不要に!?(東北大学他)
 電気の良導体である金属は、その中に自由電子を持っていますので、これを回転させることにより、擬似的に回転する電流を発生させ、磁気を発生させるという考え方は以前からありました。実際、地磁気は、地球のコアが鉄で出来ていることから発生していると考えられています。今回の東北大学の研究は、(水銀などの)液体金属が管の中を流れる際に管の内壁と液体金属との間の摩擦で生じる渦に着目し、液体金属中の電子とそのマクロな運動との相互作用による量子力学的作用による発電が可能であることを理論的(この辺は、私には理解できていません)に見いだし、それを証明したものです。ただし、その電力、1/1000mmの管を通しているとは言え、わずか1/1000万ボルト。まだちょっと実用には時間がかかりそうです。
東北大学のプレスリリースはこちら
Nature Physics誌の該当論文のAbstractはこちら

クラゲは引く力で前進、進化の前提覆す?(米スタンフォード大学)
 スタンフォード大学の研究者達に言わせると、生物が泳ぐ/飛ぶときには、後ろ/下の方向に圧力を水/空気にかけて前に進んでいるのがほとんどだと言っています。例えば、クラゲに関しては、傘をつぼめることにより、傘の内側にある水に(スポイトを押すように)圧力をかけて後ろに向かって絞り出すことによって進むと考えられてきました。スタンフォード大学の研究者達は、小さなガラス球が分散している水の中でクラゲを泳がせて、ガラス球の動きをコンピューターを使って調べたところ、傘の内側の水は動かさずに、傘の前面にある水を傘を使って「引っ張る」様にして進んでいることがわかったと発表しました。確かに、水を「絞り出す」ことによって進んでいるのではなく、「引っ張る」ことによって進むことがわかったというのは一つの発見だと思うのですが、クラゲが後ろに向かって圧力をかけて押し出すことには変わりなく、それほど特別なこととは思えないのですが、私の理解が浅いのでしょうか。
Stanford Universityのプレスリリースはこちら
Nature Communications誌の該当論文はこちら

南極大陸の氷、「実は増加していた」 (NASA)
 近年は、地球温暖化により北極・南極の氷が溶けて、特に、南極の氷が溶けることによって地上の海面高さが高くなりつつあるという論文には枚挙にいとまがありません。しかし、今回のNASAの発表は、メカニズムはわからないながら、南極の氷はむしろ増えているという結果が人工衛星からの観測結果から導き出されたとしています。ただし、この結論に対しては、異論・反論も多く、実際どうなのかという点についてはまだまだ議論の余地がありそうです。しかし、先週のWHOの発表といい、今週のNASAの発表といい、「理由はわからないけどこうなっているもん」的な重大発表がなされるというのはどうしたことでしょうか。
NASAの該当HPはこちら
Journal of Glaciology誌の該当論文のAbstractはこちら
National Geographic日本版誌による検証記事はこちら

相手の表情:「顔を読む」能力 身に着くのは3歳半ごろ(京都大学)
 京都大学の教育学の研究グループは、人間の幼児が他人の顔を見て心の状態を推論する(要するに、顔色を読む)ことが出来るようになるのは3歳半くらいという結論を得たと発表しました。なお、チンパンジーは、大人になっても相手の顔色を読むことはせず、行為に含まれる(操作している)物体に対して注意を払うのだそうです。
京都大学のプレスリリースはこちらこちら
PLOS Oneの該当論文はこちら

カザフスタンに謎の地上絵、NASAが撮影
 8年ほど前にグーグルアースを見ていて存在に気づいたとされるカザフスタンの地上絵が、最近、NASAにより詳細な衛星写真が撮られて、話題になっているようです。ナスカの地上絵と異なり、抽象的な図形ばかりで、規模も小さめなようですが、それが作られた年代・目的ともにまだ論争中なようです。
NASAの該当写真のリンク先(重い)はこちら

遺伝子操作細胞で英1歳女児の白血病を治療、世界初(英グレート・オーモンド・ストリート病院)
 白血病は、「血液のガン」とも呼ばれ、造血細胞に起こるガンが原因となる病気ですが、再発しやすい病気としても有名です。この度、グレート・オーモンド・ストリート病院の小児科のチームは、ドナーから採取した白血球とT細胞を、遺伝子操作により、白血病細胞を攻撃・死滅させるよう改変して、患者の子供に摂取したところ、効果があったと発表しました。このような遺伝子改変がどのようにして行われるのか詳細はわかりませんが、こういうことができるなら、白血病に限らず、転移しやすいとか、抗がん剤が効きにくい他のガンにも応用できることが考えられます。
Great Ormond Street Hospital for Childrenのプレスリリースはこちら

最古のスペインオオヤマネコ=160万年前の化石発見(西カタルーニャ古生物学研究所他)
 スペインのカタルーニャ古生物学研究所などの研究チームは、絶滅危惧種のスペインオオヤマネコの160万年前の先祖の化石をバルセロナ近くの洞窟の中で発見したと発表しました。化石から、当時のスペインオオヤマネコは現在の個体より大きく、毛も長かったと考えられるそうです。160万年前というと、リスの氷河期のまっただ中ですので、当時の地上の気候は今より寒かったと考えられます。ところで、この発表の元になった論文は、本年9月1日付で発表されています。時事通信社が、発表から2ヶ月もたってからこの発表を生地にした理由はわかっていません。
Quaternary Science Reviews誌の該当論文のAbstractはこちら

 では、今週はこの辺で
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