mixiユーザー(id:5089039)

2015年10月14日15:29

599 view

言志録31「忙しいというのは禁句」


【現代語訳】
今時の人は、口ぐせのように忙しいという(こんな多忙では、本も読んでいられないという)。しかし、そのしているところを見ると、実際に必要なことをしているのは10の中の1、2に過ぎず、つまらない仕事が、10の中の8、9である。そして、このつまらない仕事を必要な仕事だと思っているのであるから、これでは忙しいのももっともなことだ。本当に何かしようとする志のある者は、こんな穴に入り込んではいけない。

「今人」:現代の私たちもまた今人である。私なども「忙しい」が口癖です。
「実事」:実際に必要なこと。
「閑事」:無駄なつまらないこと。
「料理」:始末する。
「窠」 :あな


【原文】
今人(こんじん)率(おおむ)ね口に多忙を説く。其の為す所を視るに、実事を整頓するもの十に一二。閑事を料理するもの十に八九、又閑事を認めて以て実事と為す。宜(うべ)なり其の多忙なるや。志有る者誤ってこの窠(か)を踏むこと勿れ。


【解説1】
実事(実際に必要なこと)を見誤ってはならないという一斎の処世訓の一つ。一斎が美濃岩村藩の重臣に与えた「重職心得箇条17条」にも、これに類する戒めがある。
「重職たる者、勤め向き繁多という口上は恥ずべきことなり。たとえせわしくとも、せわしと言わぬがよきなり(後略)」(第八)。
(重職たる者は忙しいと言うべきではない。たとえどんなに忙しくても、忙しいと口に出して言わない方がいい)。

ここで一斎は、重職の多忙の多くは権限を部下に委譲することができない自己愛からきていると手厳しい。
実事か閑事かを見分けることは実に大切なことで、大所高所に立った判断力は、例えば受験勉強でも大いに必要とされる。その学科の中で重要なことは何か、何がキーポイントかを見極めなかったら、すべてをまんべんなくやらざるを得ないことになる。

「あの人は実に手際よく仕事をさばくなあ」
と感じられる人は、実はこうした大所高所に立った判断、実事か閑事かを見分ける判断が優れた人と言える。こうした迅速な判断はポストが上になるほど多く必要とされる。

経営者は判断する人であるといっても過言ではない。就任したその日から懸案が持ち込まれ、判断を仰がれる。何が本質的な問題か、何がそうでないかを見極めていれば、慌てることはない。

仕事ができる人のところには、ますます仕事が集中し、できない人のところにはますます仕事は来ない。あの人は忙しすぎて物理的に時間がないのではないかという人ほど、部下への仕事の割り振りがうまく、締め切りまでにキチッと仕上げてくるものだ。

・・・・・神渡良平「佐藤一斎・言志四録を読む」より。

【解説2】
いつも赤字が出ている店があった。店長を呼んで「キミは何をしているのだ」と聞くと、
「私は毎日、トイレ掃除をピカピカになるまでやってます」と自慢げにいう。「店を繁盛させるように考えるのが店長の役目であって、そんなことは新人にやらせばいではないか」というと、「研修の講師からトイレ掃除は繁盛店の第一歩と教わりました」と平然という。何が大切で、いま何をしなければならないかをわかっている者は、上役でも意外と少ない。

・・・・・岬龍一郎「言志四録」より。





思い当たる方が多いと思います。
「忙しい! 忙しい!・・・」。
「大変だ! 大変だ!・・・」。
佐藤一斎の言葉、耳に痛いですね。




4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年10月>
日 月 火 水 木 金 土
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031