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2015年09月27日23:22

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今週の科学ニュース−9月27日

 皆様、こんばんは。今週は、ニュースとしてフォルクスワーゲン社の違法ソフト組み込みスキャンダルに振り回された一週間だったように思います。

再生腎臓:ラットで排尿成功 「10年以内、人へ応用」(東京慈恵会医科大学他)
 腎不全などの腎臓病を発症している患者には、従来は、人工透析を行うか、他人の腎臓を移植する腎移植が治療法としてとられてきました。iPS細胞などによる、拒否反応を心配することのない、クローンによる臓器再生の可能性が開かれてきている現在、各国の研究機関で、様々な人間の臓器のクローン再生の研究が行われてきています。(さすがに、脳のクローン再生はまだ聞いたことがありません。)今回の慈恵会医科大学などの研究チームの結果は、現在、最も移植ある臓器の一つである、腎臓のクローン再生→移植の道を開く可能性のあるものとして注目されるべきものです。ただ、まだマウスでの成功に限られていますので、今後、ブタ、サルなどでの実験を経て臨床と、もうしばらく時間がかかるものと思われます。
東京慈恵会医科大学のプレスリリースはこちら
米科学アカデミー紀要の該当論文のAbstractはこちら

国内初の嚢頭類化石 東北大グループ発掘
 東北大学などの研究グループは、先の東日本大震災の復興工事の現場で見つかった2億5千万年前の地層から、すでに絶滅した嚢頭類(のうとうるい)の化石3種類、少なくとも200個を発見したと発表しました。しかも、そのうち1種類は新種とのことです。東北地方の太平洋沿岸にはジュラ紀〜白亜紀の地層が多く露出しており、発掘が進めばまだまだ古代生物の化石の獲得が期待できます。
東北大総合学術博物館のプレスリリースはこちら

STAP細胞、米大なども「作製できず」 133回試み失敗(理化学研究所他)

 あのSTAP細胞について、理化学研究所は正式に白旗を揚げました。(STAP細胞の論文を発表した)Nature誌に、STAP細胞はES細胞だった、と投稿しました。STAP細胞の再現実験に関しては、理化学研究所の他に、ハーバード大学や北京大学も行っていたとのことですが、合計133回の再現実験で一度も再現しなかったとのことです。理化学研究所は正式発表をしていませんが、今後は、その「ES細胞」がどこから入ったのかが焦点となると思われます。しかし、理化学研究所がその調査に本気で乗り出すかどうかは未知数です。
Nature誌の該当論文のAbstract(途中まで)はこちら

電気で生きる生物、初めて確認…理研と東大
 さて、理化学研究所は、「STAP細胞のことは忘れて、こちらに注目してよ」と言わんばかりに、この話題を猛プッシュしています。地球上の生物は、今までは化学物質を利用してエネルギーを作る生物(普通の動物がそうです。)と、光を利用してエネルギーを作る生物(光合成を行う植物がそうです。)はよく知られていますが、これに、第3のエネルギーである電気を直接エネルギー源として増殖を行う生物が追加されることになりました。電気をエネルギーとして使っているのではないかという細菌の存在は、比較的最近知られていましたが、今回の発見は、電気エネルギーを利用して「増殖している」ことが確認されたとのことで、非常に画期的となっています。ただ、今回の発見は、鉄酸化細菌と言って、鉄が酸化するときに発生するエネルギーを利用する細菌でのことなので、「純粋な電気だけでもOK」というのが正しい言い方です。今後は、「電気でないとOKでない」細菌がいるかどうかの確認に進むものと考えられます。
今回の発見に関するわかりやすい解説はこちら
理化学研究所のプレスリリースはこちら
Frontiers in Microbiology誌の該当論文はこちら

キリン、夜間に「ハミング」で意思伝達か(オーストリー・ウィーン大学)
 人間だけでなく、犬や鴉をはじめとして、言語とまでは行かなくとも、声でコミュニケーションをとる動物は多くいます。ウィーン大学の研究チームは、今まで鳴かないと思われていたキリンについて、飼育者に録音機を置いて24時間体制で録音したところ、夜間に、キリンが音声でコミュニケーションをとっていると考えられる鳴き声をとらえたと発表しました。これは、真夜中に、お互いの姿が確認できないときに、位置を確認するために発生するのではないかと考えられるそうです。ただ、この鳴き声、「ハミング」としか言い様がない声だそうです。ちょっと聞いてみたい気がします。
Bio Med Central誌の該当論文はこちら

「破骨細胞」の働き、宇宙で強まる…骨密度減少(東京工業大学)
 少なくとも人間に関しては、骨に関しても新陳代謝が有り、破骨細胞によって骨の一部が壊されると同時に、それを補う形で骨が出来てくるとされています。しかし、無重力状況下に長時間さらされる宇宙飛行士に骨密度が低下する現象が確認され、骨にかかるストレスと骨粗鬆症に関係があるのではと言われてきました。今回の研究は、メダカでのものですが、無重力状況下に長時間いた個体で破骨細胞が活発化していることが確認されたとのことです。(無重力状況下で破骨細胞が活発化するメカニズムはまだわからないようです。)無重力状況下と、運動能力の低下で動けなくなったり、寝たきりになったりしている老人の状況に共通点が多いことから、老人性骨粗鬆症発生のメカニズムの究明の一助になるのではと考えられているようです。
東京工業大学のプレスリリースはこちら
Scientific Reports誌の該当論文はこちら

多発性硬化症、発症に特定の腸内細菌の減少が関与か(国立精神・神経医療研究センター)
 神経系の難病の一つである、多発性硬化症について、国立精神・神経医療研究センターの研究チームは、多発性硬化症を自己免疫疾患の一つととらえ、その自己免疫に影響を与える腸内細菌叢と調査したところ、多発性硬化症を発症している患者の腸内にクロストリジウム属と呼ばれる細菌の数が著しく少ないことがわかったと発表しました。但し、(困ったことに、)このクロストリジウム属の細菌が自己免疫にどのような影響を及ぼしているのかはこれからの検討課題だそうです。また、プレスリリースの図2を見てもわかりますように、健常者と多発性硬化症患者との間の差異が微妙で、見方によっては、と言う気もしなくもないのも気になります。
国立精神・神経医療研究センターのプレスリリースはこちら
PLOS Oneの該当論文はこちら

 では、今週はこの辺で。

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