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2015年09月21日00:28

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今週の科学ニュース−9月20日

 皆様、こんばんは。ようやく秋雨も落ち着きを見せてきたところです。今のうちに洗濯をして置いた方が良いかもしれません。

「触覚」が感じられる義手を開発(米国防総省米国防高等研究計画局)
 米国防総省米国防高等研究計画局(DARPA)が義手の触覚センサーの信号を人間の脳のしかるべき部分に神経信号として伝えることにより、触覚のある義手の開発に成功したと発表しました。これにより、例えば事故などで手を失った人にこの義手を取り付けることにより、手を失う前までとは行かなくとも、手の感触をかなり蘇らせることが出来るようになります。ただ、DARPAが開発した物ですから、当然、その先には軍事利用がある訳で、例えば、リアルタイムで遠隔操作できるロボット型兵士の開発に一歩進んだことになると考えられます。
DARPAの該当HPはこちら

海洋生物、40年間で半減=温暖化や乱獲阻止へ取り組み訴え(世界自然保護基金)
 毎年、世界自然保護基金(WWF)は年次報告書を作成して発表していますが、人類の未来に関しては悲観的なその内容に、マスコミなどでは毎回のように話題になっています。今回の報告書(Living Blue Planet Report 2015)では、「海洋脊椎動物の個体数は1970年から2012年の間に49%減少している。」「人類が食用に出来る魚類は半減し、より重要と見なせる魚類に関してはさらに減少している。」などと読んでいて気が重くなる内容ばかりです。地球は六回目の大量絶滅イベントに入っているのかもしれません。
WWFのLiving Blue Planet Report 2015はこちら

土星の衛星エンケラドス、星全体が海に覆われている(NASA)
 米航空宇宙局(NASA)は9月15日、土星の衛星エンケラドスは、衛星表面の氷の下に広がる海が星全体を覆っていることが分かったと発表しました。エンケラドスについては、宇宙探査機カッシーニから送られてきたデータで、表面が氷に覆われていて、ところどころ間欠泉があることから、氷の下に海があると考えられてきましたが、今回、エンケラドスが土星の周りをまわる際に完全固体の衛星では考えられないほど大きな「ふらつき」があることがわかり、「表面の氷の下は完全に海で覆われている」と結論したとのことです。このことはすなわち、エンケラドスの内部には意外と強力な熱源があること、生命の誕生に適当な温度の領域がある可能性が高いことが言えるとのことです。いよいよ氷の下に探査機を打ち込むべき時期が来ていると考えられます。
より詳しいNational Geographic日本版の記事はこちら
NASAの該当HPはこちら

夜のコーヒーに体内時計乱す作用(米コロラド大学ボルダー校他)
 University of Colorado at Boulderなどの研究チームは、被験者五人(ちょっと少なくないか?)に対して就寝前にカフェインを摂取させて、睡眠に関する体内時計を調節するホルモン「セロトニン」の唾液内量を調べたとのことです。その結果、就寝前に珈琲を飲むと眠れなく理由はカフェインの興奮作用ではなく、カフェインが睡眠に関する体内時計を遅らせることによるものとわかったと発表しました。この結果が本当だとすれば、カフェインを利用して時差ぼけを治すことが出来る可能性があることを示唆しており、今後の研究が待たれます。(まずは、誰か再現性を確認してくれるとありがたいのですが。)
Science Translational Medicine誌の該当論文のAbstractはこちら

チンパンジー、名場面を記憶?=実験動画、24時間後も反応(京都大学)
 京都大学霊長類研究所の研究チームは、このほど、類人猿のチンパンジーとボノボは、動画を記憶することが出来ることが実験でわかったと発表しました。それによると、チンパンジーとボノボに動画を見せて、24時間後に同じ動画を見せてチンパンジーたちの視線を追ったところ、動画の進展を先取りする形で視線が動くことが確認されたとのことです。これまで、静止画でなく、動画のような長期記憶が出来るのは人間だけというのが通説でしたので、この結果は、動物たちの知能の研究に一石を投じるものとなる可能性があります。
京都大学霊長類研究所のプレスリリースはこちら
Current Biology誌の該当論文のAbstractはこちら

極小サイズの「透明マント」開発成功(米ローレンス・バークレイ国立研究所他)
 いろいろ調べたのですが、「「ナノアンテナ」として知られる金製の微細構造を用いて、厚さ80ナノメートルの構造物を作成し、それで生体細胞数個ほどの大きさの3次元物体を覆うことによって、物体表面での光波の反射の仕方を変え、物体を目で捉えられなくする」という記述ばかりで、「どうして、物体の後ろの光が手前に出てくるのか」の説明がありませでした。そうでないと、「透明」ではなく、物質から来る光を目がとらえられなくなるわけですから、「真っ黒」になるような気がするのですが、どうなのでしょうか。なお、「「ナノアンテナ」として知られる金製の微細構造」は、メタマテリアルと言う、特殊な光学特性を持つ物質として2000年には知られており、それほど特別な発明・発見ではありません。また、その応用として、光学迷彩があることも(引用文献にあるように)広く知られており、「透明マント」の概念もそれほど新しいものではありません。ただ、設計の難しさから、十分な大きさの「透明マント」はまだありません。「私には障害は何も見えない」のなら、早めに開発してほしいものです。
Lawrence Berkeley National Laboratoryのプレスリリースはこちら
Science誌の該当論文のAbstractはこちら

キスでアレルギー緩和=日本人医師にイグ・ノーベル賞
 日本は、イグノーベル賞大国の一つであることはすでに広く知られているところですが、今年度もまた、日本人がイグノーベル賞を受賞しました。これで9年連続で日本人が受賞していることになります。今回の受賞は、「激しいキス、その他の親密な人間相互間の行動の、生物医学的な利益や生物医学的な結果を研究しようとした実験に対して」日本人医師木俣肇氏とスロバキアの研究チームに医学賞、とのことです。木俣肇氏の研究は、従来からアトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚に現れるアレルギーの緩和に関するものが多く、今回の授賞は、その一連の研究に対する授賞となりました。なお、アトピー性皮膚炎に効果があるのは、恋人とのキスで、母親のお休みのキスは効果が無いようです。また、同様に、恋人との性交も同様の効果があると記述しています。病は気からとも言いますが、木俣医師は「人間本来の自然治癒力とも言うべき豊かな感情を大いに利用し、アレルギー反応を弱めてほしいと切に願っている」とコメントしています。(実際にアトピーで苦しんでいる人に対しては不謹慎ですが、)確かにこの研究も「笑えるけど考えさせられる」研究であり、イグノーベル賞にふさわしいと考えられます。
木俣肇氏のプロフィールはこちら
木俣肇氏の受賞論文のAbstractはこちらこちらこちら

 では、今週はこの辺で。
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