今週の科学ニュース−9月6日

　皆様、こんばんは。巷では雨続きで日照不足が心配されます。降雨災害にもご注意ください。

・＜インフルワクチン＞乳児、中学生に予防効果なし(慶応大学他)
　慶応大学などの研究チームは、調査の結果、未成年者のインフルエンザワクチンの効果について、B型についてはあまり効果が認められないこと、A型、B型ともに、生後1年未満の新生児と13〜15歳でインフルエンザワクチンの効果が認められないことが確認されたと発表しました。B型については以前から効きが悪いこと、新生児についてはワクチンが効かないことは知られていましたが、13〜15歳でインフルエンザワクチンが効かないというのは新しいデータと考えられます。理由は不明とのことですが、確かに謎がある結果と思われます。
PLOS Oneの該当論文はこちら。

・睡眠不足の人ほど風邪にかかりやすい(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)
　睡眠時間が短くなると、体の病気に対する抵抗力が落ちる(少なくとも風邪を引きやすい)というのは、日本では経験則としてなんとなく知られていますが、今回、UCLAの研究チームは、データの上でもその経験則は正しいことを証明しました。調査では、被験者に風邪ウィルスを接種するという、かなり強引とも言える方法をとりましたが、結果はかなり明瞭に出ているように思います。ただ、「リスクの評価(倍率)」の計算方法がきちんと示されていないので、「5時間未満の睡眠時間の人は、7時間以上の睡眠時間の人より4.5倍リスクがある」と言われても、示された数字からはピンとこないのが正直なところです。とりあえず、皆様もきちんと睡眠をとるようにしましょう。
University of California, San Franciscoのプレスリリースはこちら。
Sleep誌の該当論文のAbstractはこちら。

・未来技術遺産：アイボや国産初期のＰＣ、２５件追加(国立科学博物館)
　未来技術遺産は国立科学博物館が定めた登録制により保護される文化財(重要科学技術資料)の愛称で、法律に基づき文部科学省が指定する重要文化財と比較すれば無名に近い存在ですが、科学技術立国日本にとっては、同じくらい重要な文化財(遺産)と考えられます。国立科学博物館の該当HPを見ればわかりますが、かなり渋いというか、その道の玄人やSFファンが興味を持ちそうなチョイスがなされていて、選択者の幅広い視野が感じられます。今年度は25件追加登録されましたが、その中にはあのAIBOや国産8ビットコンピューターなどが含まれていて、なかなかグッドなチョイスと思われます。来年は何が登録されますでしょうか。
国立科学博物館のプレスリリースはこちら。

・「細胞シート」承認へ…再生医療を早期承認化(テルモ他)
　厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は、脚の筋肉を使って心臓病を治療する細胞シートの製造・販売を承認しました。この細胞シートは、心臓病、特に、心筋梗塞により(心筋細胞が死んで)心機能が低下している心臓の治療に用いるもので、本人の大腿部の筋細胞を培養して作成するので、拒絶反応の心配がない細胞シートとして期待されているものです。すでに、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が中心となり、臨床研究が進んでいます。一定の効果もすでに確認されているとのことです。再生治療の一環としての発展が期待されています。
(株)テルモのプレスリリースはこちら。

　では、今週はこの辺で