ジョン・ウェットンは、男性的な容姿に男性的な太い声で歌うが、シャウトすると高音まで出せる。その幅広い音域から繰り出されるメロディーは、心を打つドラマチックなものが多い。
今回は、２１世紀バンドの中から、ジョン・ウェットンに似た声や歌い方をしているものを選んでみた。
・ 曲 バンド アルバム
�� Farewell to a golden heart / Virtuel [ Conception of perception 2013 Bulgarie ]
ブルガリアのヴィルチュエルは、ヴォーカルの声質と言い、メロディーと言い、エイジアそっくり。少しメタルがかったギターだけ違うが、ウェットンの「４分間劇場」を再現しているサウンドだ。メンバーは３人だが、面白いのは出身国が皆違うこと。キーボードはアメリカ人、ギターはブルガリア人、そして、ヴォーカルとベースのローゼン・アンゲロフがイギリス人だ。張りのある声だけでなく、メロディーセンスまでジョン・ウェットンによく似ている。間奏でささやくようなピアノの技術も優れもの。
�� Bad thing / Kamera [ X-posure 2004 USA ]
アメリカのカメラは、基本編成の５人組で、専任のヴォーカリストは、グレッグ・フローレス。冒頭からハイトーンの声で、いきなりサビを持って来て盛り上がる曲作り。どの曲もウェットン似であり、男性的な哀愁を感じさせる。ギタリストがキーボードも弾くので、ツイン・キーボードになる部分があり、幅広いキーボード空間を出現させている。
�� Age of wonders / Time Horizon [ Living water 2011 USA ]
アメリカのタイム・ホライゾンは、４人組。ドラマーのブルース・ゲーテが、ヴォーカルを担当。キーボードとギターのサウンドだが、キーボードはモーグを引きまくるのでまるでキース・エマーソンのようなところがある。サウンドは本格的なシンフォ。アルバム全体が、キリスト教的なテーマで統一されている。「これほど学んだのに何も理解していない。不思議の時代。探し求める愛は隠されず、創造は顕れる。でも僕たちは、探し続ける」ヨッシー様の推薦。
�� Metamorphosis / Blue Mammoth [ Blue Mammoth 2011 Brazil ]
ブラジルのブルー・マンモスは、４人編成で、キーボード奏者のアンドレ・ミケーリがヴォーカルを担当。しかし４人のメンバー中２人がフルートも吹くし、１人はチェロも弾く。コンパクトな楽曲を組み合わせて、アルバム中に３つの組曲を作っている。こうしたことから見られるとおり、サウンドは本格シンフォだが、気負ったところはなくてメロディアスだ。ジャケットは、青いマンモスの頭に王冠が陽を受けて輝いている。ヨッシー様の推薦。
�� Visa for an other world / Anoxie [ Pastales 1984-87 France ]
フランスのアノクシーは、このバンドだけ８０年代の未発表音源集だ。８０年代には発表することができなかったものと思われる。メンバーは６人記載されているが、キーボードのパスカル・ラチェーズのプロジェクトだと思われる。曲によってバンド風だったり、１人シンフォ風だったり。この曲は、しっかりバンド風でドラマチックなヴォーカルにメロトロン風の幅広いキーボード。ヴォーカルは、レミー・ソリアノが担当している。
�� Artificial light / Also Eden [ It's kind of you to ask 2008 UK ]
イギリスのオルソー・エデンは、５人編成で、ヴォーカルは、ハウ・ロイド・ジョーンズ。鳩森様の説では、ジョン・ウェットンの声は、アングロサクソン・ゲルマン系の骨格から出るのだそうだが、確かにイギリス人だとこうした雄々しい声が出しやすいようだ。男性的な太い声で、やや上ずった感じのシャウト。そして、哀感のあるメロディーの曲が多いところも, さすがは英国。ヨッシー様の推薦。
�� Sign on the wall / 5 Bridges [ The Thomas tracks 2008 Holland ]
オランダのファイブ・ブリッジズも５人組。ヴォーカル専任は、ピエト・ロエロフセン。低い声で始まるところはあまりウェットンに似ていないが、途中から男性的なシャウトを聞かせる。声域の広さがこのヴォーカリストの特徴だろう。メロディーも豊か。 そして、バックのキーボードは空間を埋めており、ときおりメロトロンも聴こえる。ヨッシー様の推薦。
�� Stranger in the looking glass / Dead Heroes Club [ A time of shadow 2009 UK ]
イギリスのデッド・ヒーローズ・クラブは、４人組で、キーボードとヴォーカルのリアム・キャンベルを中心とするバンドだと思われる。キーボードが壮大で、空間を埋め尽くす。「エピタフ」みたいだ。ジョン・ウェットンが「エピタフ」を歌ったら、こうなるといったような重厚な曲。曲の長さも９分２０秒もあって、すっかりこれはシンフォなのだ。間奏のギターは粘っこい泣き。
�� Nature's voice / Abarax [ Crying of the whales 2005 Germany ]
ドイツのアバラックスは、４人組。アンドレ・ブラユーレは、専任ヴォーカルなので、あとの３人が演奏している。ギタリストがドラムスもベースもできる。このバンドは、ともかく泣きギターがものすごい。そしてコンセプトは、自然派。バックのキーボードが幅広い空間を描き出して、本格シンフォなのだ。そして、ヴォーカルを聴くと、やはりゲルマン系にはウェットン似がいるものだと感心した。
�� Solitary witness / Landmarq [ Infinity parade 1993 UK ]
イギリス９０年代のランドマークは、５人編成。ダミアン・ウィルソンが専任ヴォーカルを務める。冒頭バグパイプ風の音で、アイリッシュ・トラッドを奏でる。ヴォーカルが始まると、よくのびる太い声で歌うポンプ・ロックだ。私はポンプ・ロックはあまりメロディーが良くないという先入観を持っているのだが、これくらいきれいなメロディーなら文句ない。サビのメロディーに翳りが見えるところが英国らしい。
[次点] Artificial world / Unitopia [ Artificial 2003 Australia ]
オーストラリアのユニトピアは、５人組で、専任ヴォーカルは、マーク・トル―アック。楽器は基本的な編成だが、バックにサックスの音が入って来て、音を分厚くしている。軽快で疾走感のある曲によく伸びる声。ポップなメロディー。オーストラリア人もまた、アングロサクソン系として、ウェットン似となる資質があるのだ。
[番外] The parting / Keith Emerson Band [ Kieth Emerson Band featuring Marc Bonilla 2008 UK]
キース・エマーソンが、キース・エマーソン・バンドで組んだのがギターとヴォーカルのマーク・ボニーラ。ボニーラのヴォーカルを聴くときに、グレッグ・レイクの替わりだと思うと違和感がある。しかし、ボニーラは、ウェットン似なのだと思うと、なぜか妙に納得してしまう。もしもウェットンがエマーソンと組んだらというもう一つの夢を彷彿とさせるではないか。エマーソンらしい速弾きの指使いも堪能できる。
○このほか、候補にしたバンド
Atlantis, Eclips, Et Cetira, Every Waking Hour, Index, Lifesigns, Manning, Martigan, Mogador, November, Pilgrym, Pinnacle, Press, Shadow Circus, Space Opera, Taurus & Pisces, Zello
○ジョン・ウェットン似バンドの哀愁の曲１０選（２０１２年２月５日）
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1819666687&owner_id=9666295
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