今までの失敗は、今日以降の取り返しでもって、すべて償える。自信を持ちなさい。
「失敗は成功のもと」というが、現実には「成功は失敗のもと」ともいえる。
熱海の八百屋からスタートした「八百半」は、後の海外に進出して国際的評価も高く大成功をした。とくに中国の上海進出は、開店当時のニュースが全世界に報道された。
しかし、その後間もなく八百半は倒産し姿を消した。八百半経営者の和田一夫氏は、当時を述懐してこう言った。「大成功こそ、最も危険なときだった。今から思えば、あの時、会社を飛躍させることばかり考えてお客のことはすっかり忘れていました。つくづく成功は失敗のもとです」と。
いま彼は、九州で若い有望な人材を集めて、失敗を教訓に活かし、情報技術による世界進出をめざしている。
「勝敗は兵家の常」というように、成功と失敗は人生の常ということができる。それはまた「禍福は糾(あざな)える縄の如し」で、失敗は、失敗に学ぶことによってそれが勲章となり、次の成功の保証となり得るのだ。
二歩後退しても、三歩前進すればいいではないか。失敗したことに釘づけになるのではなく、失敗した中から学ばせてもらったものは何か。それをどう活かすか。それがわかったら、過ぎたことは忘れよう。
サッカー競技のように、後半45分を過ぎたわずかなロスタイムの間に、逆転優勝ということあった。
強く学び、強く願い、自信をもってのぞめば、奇跡は起こるのだ。
清水榮一「中村天風に学ぶ絶対積極の言葉」より。
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