mixiユーザー(id:372432)

2015年08月22日03:51

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"Shadows in the Night"

これも書こうと思って時期を逸した日記、其の弐。

ん?其の参?まあ、いいや。

ボブ・ディランが、今年の2月に2年半ぶりのスタジオアルバムとなる"Shadows in the Night"をリリースしてまして、内容はなんとフランク・シナトラのカバー・アルバム。

ディランが「枯葉」歌ってます。

そう、あの/~枯葉よ〜♪です。

シナトラが歌うようなアメリカン・ポップスはディランとは対極にあるイメージだったので、この企画をネットで見かけたときは驚かされました。

ディランが曲を自作自演することで有名になったため、アメリカのティンパン・アレーが衰退したんだしね。

ユダヤ人のディランがクリスマス・ソングをカバーした、2009年の"Christmas in the Heart"以来の衝撃。

(こちらでは「サンタクロースがやってくる」を歌ってます)。

でも、ディランは本当にシナトラが好きで、様々なミュージシャンがシナトラの代表曲をカバーするトリビュート・ライブのステージに立ったり、彼が亡くなったときは葬儀にも参列していたそうです。

知らんかった。

そう思うと去年の日本ツアーでステージの真ん中にトレードマークのギターも持たずに立って、朗々と歌い上げていた彼の姿は、たしかにフランク・シナトラに被るかも。

で、"Shadows in the Night"ですが、初めて聴いたときはドラムレスで音数も少なく、地味〜な印象でした。

参加ミュージシャンは、去年の来日公演でもバックを務めたここ数年不動のツアー・バンドのメンバーで、曲によっては控えめなフレンチホルンが加わって良い効果を出しています。

ドラマーのジョージ・リセリはこのアルバムでは、ブラシでパーカッションを擦ってるようです。

ところが、地味ながら聴くたび良くなるアルバムで、隙間のある音と抑えたヴォーカルの背後からフツフツと情感が立ち上がってくる音像は、ダニエル・ラノワがプロデュースした"Oh Mercy" 、"Time Out of Mind"の二作を彷彿とさせる。

そういえば、フランク・シナトラってちゃんと聴いたことなかったな、と思って"Shadows in the Night"を聴いた後に、シナトラのベストアルバムを買って聴き比べてみるとシナトラの曲はジャズ・ヴォーカルのカテゴリーに入るので、すごくジャンプしてスウィングしてます。

片やディランの"Shadows in the Night"は、とってもブルージー。

しかし、わたしが買ったシナトラのオールタイムベストには、今回ディランが歌ったレパートリーが一曲も選ばれていないという、オチがつきました。

シナトラは自分で曲は作りませんが、もっと有名な十八番があるもんね、それこそマイ・ウェイとか。

シナトラ・トリビュートというよりは、もっと広範なアメリカン・ポップスを視野に入れたアルバムなのかもしれません。

近年のディランは自分を大きなアメリカ文化の担い手であり、同時にただの一人のシンガーだと捉えているのかもしれませんね。
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