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2015年08月20日10:13

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言葉は、心の姿を現す

清水榮一「中村天風に学ぶ絶対積極の言葉」より。

ある日、高級官僚と一緒にホテルで食事をした。食事もようやく終わりかけたとき、遠く離れたホステスに、大きな声で呼びかけた。

「おいッ、姉ちゃん。早く水もってこんかッ」、そしてふんぞり返っていた。まさに時代劇に出る威丈高な悪代官の姿そのものだった。これが頂点を極めた高級官僚である。日頃、もっていた親しみと尊敬の念がいっぺんに消え失せた。

日頃、気にかかることがあると、夢に現れたりする。しかもそれが深刻なほど寝言となって口に出してしまうことがある。

またあるとき相手から突然思いがけない言葉を浴びせられて呆然とする。ところが後で「つい心にもない事を申しまして・・・」と言って謝ったりする。心にあるからつい出てしまうのではなかろうか。

ほんとうに心にもない事を云えば、必ず相手の心には「慇懃無礼」となるものだ。表面はていねいにみえても、実は傲慢、横柄といった態度である。口先だけのお世辞や挨拶では、人の心を動かすことはない。

心の働きが思考となる。そして、思考の表現が言葉である。しかし、人は思考するとき、自分の知っている言葉で思考する。心に力があるように、言葉にも霊妙な力がある。わが国ではコトバのもつ霊妙な力を信じてそれを「言霊」と呼び、大切にしている。だから人によって言葉が生まれ、言葉によって心が生きる。

人はだれでも、自分の言葉に責任をもたなければならない。心の姿は見えなくても、その人の言葉によって、その人の心は白日の下にさらされるのだ。


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