昨日読んだ宮崎駿と養老孟司の対談集のなかで、養老さんが、
「蝶は、ランダムに気ままに飛んでいるようにみえるが、そうではなく、『蝶道(ちょうみち)』と呼ばれる彼らなりの厳密に決まったルートを飛んでいるのです」
と言っていた。今日読んだ水木さんのエッセイ集には、
「古来蝶は、さまざまな国で、死者が生者の前に現れるときの化身とされている」
ともあった。
ところでぼくは三十才を過ぎてから、よく蝶を見るようになった。なかでも一番驚いたのは、まだ名古屋に住んでいる頃、何車線もあるような大きな国道で信号待ちをしていたときに、車のフロントウインドー越しに大きな黒いアゲハチョウが、ひらひらと横切ったときだ。
そういえば、数年前に自裁した友人は生前よく、
「死んだらずっとオーハシのそばにおるでな」
と、うれしそうに言っていた。
だから、ぼくはときどき目の前を横切っていく蝶に、そっと話しかけてみたりしている。
DATA:Leitz minolta CL M-Rokkor QF 40/2 Kodak Tri-X 400 f8 1/1000
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