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2015年07月12日22:32

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今週の科学ニュース−7月12日

 皆様、暑いですがいかがお過ごしでしょうか。台風が近づいているようです。気象情報にはお気をつけください。

彗星に地球外「生命」存在の可能性(英カーディフ大学)
 イギリスのカーディフ大学の天文学の研究チームは、欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げて、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸させたフィラエ着陸機から送られてきたデータから、彗星、少なくともチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に生命(微生物)がいる可能性があるとの声明を英王立天文学会から出しました。確かに、声明によってフィラエ着陸機から送られてきたデータの一部を説明することが出来ますが、個人的にはちょっと強引なのではないかと思います。とはいえ、正しいかどうかの答えは、8月13日の近日点通過の頃にはわかると思われます。
Royal Astronomical Societyの該当HPはこちら

山形大ナスカ研が新たな地上絵発見 市街地近くに24点のリャマ確認(山形大学)
 人工衛星に搭載されるカメラの性能が上がった現代、雲に覆われていない限り、地上にあるもので検知できないものはなくなりつつあります。山形大学のナスカ研究所の研究チームは、以前からこのようなデータをフル活用してナスカの未発見の地上絵を次々と見いだしてきましたが、今回は現地調査(とは言え、写真から見て、少なくとも航空写真くらいは撮ったと思われます)で、小さめの地上絵を24個も見つけてきました。ナスカの地上絵と言えば、飛行機か人工衛星でない限り絶対見えないくらい大きな猿やアリの絵が有名ですが、少なくとも書かれていた時代の初期は、絵も小さめで、ラマの絵が多かったようです。昔の方が素朴だったとも言えるかもしれません。
山形大学のプレスリリースはこちら

冥王星に不思議な斑点、探査機「ニュー・ホライズンズ」が撮影(NASA)
 今週(もう明後日だ)に冥王星に最接近するNASAの探査機ニューホライズンですが、先日、一時通信関連に不具合が発生して関係者をはらはらさせていましたが、不具合も復旧し、今後どんな写真を送ってくるかみんなが興味を持って見守っています。ところで、7日にニューホライズンが撮影した冥王星の写真がNASAにより公開されましたが、冥王星が変な茶色をしているだけでなく、なにやら模様が一杯見えると話題になっています。冥王星の位置では、ガミラスあたりが基地を設営しているのでない限り何もかも凍った世界のはずなので、もっとのっぺりした表面をみんな想像していたのですが、どうもそうではないようです。今後の調査で模様の正体がわかるかどうかは定かではありませんが、興味深いものがあるのも事実です。やっぱり、実際に近くで見てみないとわからないことが天文学では多いようです。
NASAの該当HPはこちら

宮崎の森:新種のキノコ発見 岩肌に花びらのように群生(宮崎県木材利用技術センター)
 宮崎県木材利用技術センターで木材資源の利用に関する研究を行っている研究チームが、(朽ち木などの木材ではなく、)森の中の岩肌に群生する新種のキノコを発見し、論文の形で報告しました。欧州などで食用にされるアンズタケの仲間とのことで、このキノコも食用に出来る可能性があるようです。(当分は食卓に上ることはないでしょうが。)なお、食用キノコは木、もしくは木材と関連のあるものが多く、生えるためには松が必要な松茸だけでなく、椎茸や舞茸もボタ木などから養殖できるので、木材の有効利用という観点からは、茸の研究は重要と考えられます。
Mycological Progress誌の該当論文のAbstractはこちら

カールした角の新種恐竜発見、トリケラトプスの仲間(米クリーブランド自然史博物館)
 頭(と言うより、鼻面)に3本の大きな角を持つトリケラトプスは、化石として発掘される恐竜としては有名な存在ですが、これまたどういう進化の結果か、後頭部に襟のような骨で出来たフリルがあることも特徴の一つです。このフリルの縁には外向きに生えた小さめの角が生えているのが多いようですが、今回、カナダ・アルバータ州南部で見つかったトリケラトプスの化石に含まれるフリルは、どういうわけかフリルの内側に向けてこの小さな角がカールしていることがわかったと報告されています。もちろん、新種です。論文リンク先の下の方に想像図(Fig.16)が出ていますが、確かに、不思議な角の変形です。
PLOS One誌の該当論文はこちら

パンダはカウチポテト族?省エネレベルはナマケモノ並み(中国科学アカデミー他)
 以前、この日記でも取り上げました、パンダの食生活の話ですが、元々肉食のパンダの祖先がいつの間にか竹ばかりを食べるように進化してしまったわけですが、体、特に歯の構造も消化器の構造も竹を効率的に消化できるようになっていないままになっていることが謎の一つとしてあげられています。中国科学アカデミー他の研究チームは、パンダの行動を調査した結果、基本的にパンダは(けっこう維持にエネルギーを喰う)内臓臓器が小さめなだけでなく、動かないことで有名なナマケモノ並みに動かない(カロリーを消費しない)ことがわかったとのことです。つまり、消化の悪い竹だけを食べていても体を維持できるカロリーが得られているようだと言うことなようです。ちなみに、体型が似ている人間にカウチポテト族が食べているポテトチップは、竹なんかより桁違いにカロリーが高いことを指摘しておきたいと思います。
Science誌の該当論文のAbstractはこちら

マルハナバチの個体数と分布範囲の減少、気候変動が影響(カナダ・オタワ大学)
 マルハナバチ(英語で、Bumblebee、映画トランスフォーマーの主役の一人の名前でもあります。)は、ミツバチと並んで植物の受粉に大きな役割を持っているハチとして知られています。マルハナバチは、世界の農業にとっての重要なファクターの一つです。近年、このマルハナバチの個体数・生息地域の減少が見られ、一部で使用されている農薬などが原因ではないかといわれています。しかし、今回の研究結果は、農薬だけでなく、(研究者は人間が引き起こしたと言いたいようですが)地球気候の温暖化もマルハナバチの個体数・生息地域に大きな影響を与えていると言うものです。世界の農業に打撃を与える前に対策を、と研究者達は訴えているそうです。
カナダUniversity of Otawaの該当HPはこちら
Science誌の該当論文のAbstractはこちら

植物の受精卵:成長を生きたまま観察(名古屋大学)
 動物に関しては、受精卵を取り出せばその分裂・胚形成の様子を顕微鏡下で簡単に見ることが出来ますが、植物に関しては、それがめしべの中で栄養を補給されながら分裂・胚形成が行われるため、直接見ることが出来ていませんでした。要するに、めしべの中から受精卵を取り出すと、うまく分裂してくれなかったわけです。今回の名古屋大学の研究は、めしべの中からとりだした植物の受精卵を分裂・胚形成の様子をリアルタイムで見ることが出来るようにする手法の開発に成功しました。この方法の肝は、トレハロースを含む培地だそうです。やっぱりトレハロースって不思議な物質です。
名古屋大学のプレスリリースはこちら
Developmental Cell誌の該当論文のAbstractはこちら

 では、今週はこの辺で。
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