一世を風靡するような功績も、それを誇るようでは全て消えてしまう。
天下に知れわたるほどの罪や過ちも、深く悔い改めれば消えてしまう。
世を蓋(おお)うの功労も、一個の矜(きょう)の字に当たり得ず。天に弥(わた)るの罪過も、一個の悔(かい)の字に当たり得ず。(前集18)
以下、「野村克也の菜根譚」(宝島社)より。
途方もない功績や大記録を打ち立てて、世の中の注目を集めるものがいる。プロ野球選手であれば、その記録が注目されて、マスコミが群がってくる。なかなか平常心を保つのは難しい。功績によって注目され多忙に溺れているうちに、練習がおろそかなり、やがて成績も下降する。
世界一になった女子サッカー「なでしこジャパン」の選手を見ていて感心することがある。彼女たちが常に謙虚で、周囲への感謝を忘れないことだ。人気者になり、女性だからそのファッションを取り上げられる機会も増えているが、リーダー格の主力選手はそれでも毎日1時間以上の走り込みを欠かさず行なってから、テレビ出演したり、取材を受けたりしているそうだ。
不遇の時代を過ごして彼女たちは、もてはやされる時代が短いことも心得ている。女子サッカーが人気スポーツになっていけば、今後出てくる選手は謙虚でなくなるかもしれないが、少なくとも現在の「なでしこジャパン」は勝っておごらず、後進の手本になるよう努力している、」
プロ野球が忘れてしまいがちなものを、しっかり持っている。
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