東京プリズン」の主題は「天皇の戦争責任」だ。
戦後日本のありかたの原点であり、日米関係の原点であり、
靖国問題や集団的自衛権にまでつながっているけれど、
しかしそのままでは小説になじまない話題。
それを作品化するために作者は実に周到な準備を重ねる。
富士山のあの高さのために広い裾野が必要なように、
一見したところ脈絡のない、
しかしチャーミングなエピソードの数々を読者に辿らせる。
赤坂真理さんの「東京プリズン」に対する、池澤夏樹さんの書評の一部である。
毎日文化賞、司馬遼太郎賞、紫式部賞を受賞した本作品を
読みたいとのマイミクさんの言葉に、
セブンイレブンで発注すれば2日余りで届くので、
「読み終えたらまわすよ」といったのだが、
3日に発注したものの連休のため受け取ったのが7日夜。
しかも530ページにもわたる大作。
とても来週読み終えて回すことはできない。
早く後半の東京裁判等を読みたいとの誘惑を押さえて読みだしたが、
なにか幻想的でポエムのような美しい文ではある。
例えば、
「しかし男のあれっていったいどうやってこんなところに入るというのだろう?
不思議でならない。普通に対面して入るようなところに穴はない」
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